(46)曽我祭の変
初回放送日NHK総合テレビジョン11月30日(日)午後8:00
てい(橋本愛)とともに、歌麿(染谷将太)は蔦重(横浜流星)のもとに、再び戻ってくる。そして蔦重は、歌舞伎の興行に合わせて、絵師・東洲斎写楽の役者絵を売り出す!

さて、今週もどんでん返しが目白押しでした。
もう、何からまとめて良いか分かりませんので以下の3点に絞って感想を書きました。
・歌麿を含めて写楽プロジェクト開始!
・大崎、とうとう。
・えっ?一橋治済さまが二人???
歌麿、蔦屋に帰還
冒頭で蔦重の妻のおせいさんに連れられて歌麿が帰ってきます。
歌麿は自立していたものの、イエスマンの編集者たちにうんざりしていた模様。
また、蔦重と共に仕事をしたいと思ったのですね。
「写楽プロジェクト」始動
ここから歌麿を含めた「写楽プロジェクト」の開始です。
「写楽」と言うのはお江戸の時代も「正体不明のイラスト作家」だったのです。
今で言えば、ゴーストライターなんて感じでしょうか?
一体、本当は誰が描いたのかわからない。
おまけに活躍した時期は半年から1年と言われています。
彗星のように現れて彗星のように去って行ったこの人気作家のことは後の世でも明らかになる事はなかったので、「妄想し放題」というのが醍醐味でもあるわけです。
写楽の代表的な絵は「大首絵」と呼ばれるドアップの絵。
役者の名シーンを切り取ったような全身のポーズを取ったような絵。
今のブロマイドのような役者一人一人の顔の表情やしわまで判別できる絵。
…等々があげられます。
写楽の絵の特徴と「複数人説」
短期間で多岐の画法を駆使している事から、「一人で描いたものではない」というのが通説となっていて私もこの説を支持しています。
ただし、前述のように「正体不明」であり、その後も真相が語られたわけではないので大河としても妄想し放題な訳です。
大河ドラマで描かれた写楽像
そこで、今回、大河での写楽像は
・歌麿を中心とした当時の蔦重のお抱えの絵師で形成されている
・役者の顔が本人と分かるほど特徴をとらえている
・写楽のフルネームの「東洲斎写楽」の「東洲斎」の名前は越中守・松平定信による命名。
これらのエピソードが追加されたのです。
面白いですね。
何と写楽プロジェクトに松平定信も関わっていたという話になってきました。
江戸中から倹約で庶民たちに嫌われていた松平定信。
江戸の文化を復帰させるために写楽に関わっていたというわけです。
この写楽プロジェクトは大当たり。
今も伝わる写楽の絵はこの当時の人気ぶりをうかがわせるものです。
真の傀儡師・一橋治済
蔦重が写楽プロジェクトで頑張っている一方で松平定信たちは一橋治済を失脚させるために躍起になっています。
元々、一橋治済の手先で数々の毒殺事件の実行犯であった大崎を抱き込みます。
今までは一橋治済の庇護下でやりたい放題だった大崎は、今度は命を狙われる立場になり尼となって身を隠していたのです。
今度は松平定信の手先となるわけですから、彼女も身の置き場がないのですね。
影の権力者の元なら毒殺しても罪に問われることはありませんでしたが、フリーになってしまった今、誰も大崎を庇ってくれないのです。
越中守・松平定信の作戦は一橋治済をおびき出してすり替えてしまおうということだったのです。
何と、一橋治済にそっくりな人物が最後に出てきました。
この人が一橋治済にとって双子なのか?そっくりさんなのかは分かりません。
一橋治済は大崎が寝返った事も最初からお見通しだったのです。
大崎が持ってきた文書のタイトルを見て「越中守が書いたもの」と見抜いていたのです。
この時点で、目の前にいる尼姿の大崎が裏切っている事も分かって作戦に乗ったわけです。
もう、一橋治済にとっては陰謀に乗っかって、それを潰してやることですら「娯楽」な訳ですね。

大崎は一橋治済に当たり前に毒まんじゅうを渡されます。
「では、これを食してからいくとするかの。そ・な・た・が・な」
今回の超恐ろしいポイントでした。
一番、おっそろしいのは傀儡師の一橋治済であるわけです。
自分がはめられることを承知の上で騙されたふりをして相手を貶めるわけです。
彼にとってそれは「娯楽」そのものです。
普段から楽しんでいる人形を操って遊ぶ「傀儡」と何ら変わりないのです。
一橋治済の手先として暗躍していた大崎は自分自身が一橋治済の「人形」だったのです。
つまり、大崎が一橋治済をはめるなんて事は土台無理だったわけですね。
大崎は一橋治済に差し出された毒まんじゅうを食べさせられます。
この後、その結果、大崎が死んでしまうので、その毒まんじゅうを拒否するすべがなかったのかなと感じました。
毒物を仕込んで人を殺めてきた大崎は毒で命を落とすことになってしまったのです。

急展開になってきました。
あと、二話ですが、本当に話は終わるのでしょうか?
次回のサブタイトル「まんじゅう、怖い」ですが、まだ毒まんじゅうネタが続くのでしょうか?
*ちなみに「まんじゅう、怖い」は古典落語のお話です。
このお話では人は死にませんのでご安心ください。
おまけ~アンケート結果
放送後のアンケートにお答えいただきありがとうございました。
写楽プロジェクトでも大崎が毒まんじゅうで亡くなってしまったことよりも…。
一橋治済にそっくりな侍が出てきたことで全部持っていかれてしまった感じでした。
本当にあと2回で話はまとまるのでしょうか?
*アンケート内で「鼻の大きな侍」としましたが、大河ドラマ内では「鼻の立派な侍」でした。
意味が通じるので、このままで行こうと思います。
1位:一橋治済、鼻の大きな侍
2位:次回、毒饅頭???
3位:大崎、毒まんじゅうで絶命
4位:歌麿、写楽プロジェクトに参加
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
第44話・空飛ぶ源内
第45話・その名は写楽
第46話・曽我祭の変
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!

