
おていさんの安否が分からずに、終わった前回。
源内先生の生存説がささやかれ、将軍様の跡取りの命を奪った謎の手袋が出てきます。
さて、黒幕は誰なのでしょう?
(44)空飛ぶ源内
初回放送日 11月16日(日)午後8:00
配信期限11月23日(日)午後8:44
蔦重(横浜流星)の前に駿府生まれの貞一(井上芳雄)と名乗る男が現れる。耕書堂で書きたいと売り込みにきた貞一は、源内(安田顕)が作ったという相良凧を持っていた…。
おていさんは無事…しかし哀しい現実も
冒頭、おていさんが無事だと分かり胸を撫でおろしたのもつかの間…。
寝床から動かないおていさん。
ああ、お子さんは残念なことになったんだなということが分かります。
話が進むにつれて、おていさんを大事に思う人たちがどんどんお見舞いに来ます。
お見舞いに来てくれるのは蔦重の育ての親の駿河屋の女将おふじさん。
更には蔦重の義理の兄のお嫁さんのおとくさんがおいしいお菓子を持って訪れます。
もちろん、子供を失ってしまったおていさんの為に訪れたのですが、蔦重の産みの母の仏前にもさりげなく供えます。
これでおていさんが気兼ねすることなく、そっと励ましているわけですね。
おていさんも、そんなおふじさんに「義母上様」と呼びかけます。
持ってきてくれたお菓子をちょっぴり食べるおていさんを、おふじさんはニコニコと笑顔で応じます。
ずっと寝たきりで食事もままならなかったおていさんがちょっと元気になるきっかけを作ってくれたように感じました。

素敵な義理の家族ですね!
旅がらすの正体は十返舎一九!
そして、ここで驚きの正体が明らかに。
旅がらすとして登場した人物は、なんと十返舎一九。
あの『東海道中膝栗毛』の作者です。
演じるのは井上芳雄さん。
若々しさと軽妙さを併せ持つ芝居が相まって
「芝居がかった感じが絶妙」
まさに十返舎一九らしさ全開の好演でした。
十返舎一九の作品を「よそで書いたら良い」と評した蔦重。
その意味が「どこへ出しても受け入れられるだけの筆力」ということなのです。
蔦重の編集者としての敬意と慧眼を感じました。
蔦重の言葉には、職人への深いリスペクトがいつも隠れています。

一見冷たく突き放したようですが、十返舎一九の才能を最初から評価していたということになります。
源内先生の生存説が残った理由
世の中に広がった源内先生の生存説。
これはきっと「生きていてほしい」という多くの人の願いの現れなんでしょう。
才能のある人ほど、人々の心に生き続ける──そんな切なさがあります。
久々の登場!杉田玄白と吉原のつながり
久しぶりに登場した杉田玄白『解体新書』。
彼が行った解剖には吉原の遊女の遺体が多く関わっていたため、
吉原出身の蔦重と縁があったという設定も、なるほどと思わされます。
時代の知と哀しみが交錯する一幕でした。
変わりゆく花街の姿
かつて蔦重や瀬川がいた時代の華やぎから一転、
今の吉原はどこか地味に。
紙花を撒く人も見かけなくなり、
隔世の感を覚えます。
時代の流れが街の風景をも変えてしまうのですね。
源内先生が命を落とすきっかけとなった禁断の文章
源内先生が捕まる直前に書いた文章。
それは前将軍の跡取りを死に追いやった事件の真相に触れたもので、
その内容が真実だったがゆえに消されたという…。
歴史の闇、権力の恐ろしさが背筋を凍らせます。
安徳寺に集結した「かつての敵」たち
蔦重が安徳寺へ呼び出されると、そこにいたのはかつての敵対した人たちでした。
安徳寺にいた5人。
松平定信(越中守)
高岳(大奥の筆頭老女)
長谷川平蔵(ご存じ鬼平犯科帳)
栗山先生(現将軍の勉学の師匠)
三浦庄司(田沼意次の側近)
これまで敵対してきた面々ばかり。
この並びはさすがに緊張感が凄まじい…!

この5人の話を聞いていて黒幕はやはり生田斗真さん演じる徳川治済(現将軍の実父)ということになりそうです。
謎の手袋が示す真実
将軍家の跡取りを奪った事件の「毒入り手袋」。
この毒を盛ったのは大崎という女性、
そして主犯とされるのが生田斗真さん演じる「現将軍の実父」。
ここで全員がその事実を情報共有する場面は
まるで歴史が大きく動く瞬間を見るようでした。
高岳は共犯者ではなかった?
高岳が共犯していると疑われていたものの、
彼女自身が疑われることを恐れて
「手袋」を公表しなかっただけだったと判明。
これもまた、権力の影に生きる女性の苦しさが出ています。
右近の将監=白眉毛
最後に出てきた「右近の将監」。
つまり白眉毛の人物のことだったのですね。
大崎に毒殺されたのではと思われている老中首座の松平武元。
白眉毛絶命の詳細はこちら
石坂浩二さんが演じられた人物です。
いよいよ物語は核心へ向かって加速していきます。

次回はさらに大きく動き出しそうな予感。
「写楽」と言う言葉からいよいよ写楽プロジェクト到来か?
明るい展開になると良いなと思います。
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!

