
歌麿、蔦重の元を去るのでしょうか?
おていさんの出産は?
越中守、ついに失脚?
大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
(43)裏切りの恋歌
初回放送日・11月9日(日)午後8:00
蔦重(横浜流星)は歌麿(染谷将太)が描く五十枚の女郎絵の準備を進めていたが、ある日歌麿が西村屋と組むと耳にし…。一方定信(井上祐貴)は“大老”の座を狙っていた。
吉原の花魁も不況
吉原の世界にも変化の波が押し寄せています。
なんと、身請けの上限が500両に。
蔦重の幼なじみ・瀬川の時は1400両だったのに──時代が進んでも、むしろ厳しくなっていく現実。
そりゃあ新しい着物も買えないという嘆きにも頷けます。

花魁の身請けの金額は1400両から500両に激減。
不景気のあおりは吉原にも影響します。
歌麿と蔦重、それぞれの「別れ」
歌麿が新しい恋のお相手を探しているのかと勘ぐる蔦重。
けれど、視聴者から見ればそれは違うとすぐに分かります。
もし蔦重の母・おつたさんが生きていたら、「そんなわけないだろ!」と喝を入れてくれそう。
おつよさんも含め、蔦重にとって家族の声がどれほど大きな支えだったかを思い知らされます。

歌麿の恋心は蔦重なのでは?
「つよきち」という名に込められた想い
おせいさんが「男の子ならつよきちと名付けたい」と言う場面。
蔦重の幼名そのものです。
自分の名を我が子に――これは、歌麿を大切に思う蔦重らしい照れ隠しでもあり、彼の過去と現在が重なる瞬間でした。

「つよきち」と言う名前の原案は蔦重の実母の「つよ」さんからです。
強蔵みたいで嫌だという蔦重。
この名前は却下されそうです。
将軍と越中守、そしておろしや国酔夢譚の時代
将軍様は面倒事を越中守に押しつけがち。
「おろしや国酔夢譚」を思わせるロシアとの国交が動く時代背景が見え隠れします。
重臣たちもまた、やっかいごとを越中守に丸投げ。
権力の座にある人々の軽薄さが浮き彫りになります。

当時のロシアとの交渉はまず漂流して帰ってきた大黒屋 光太夫から始まります。
ロシアのトップはエカテリーナ女帝。
世界史と照らし合わせると面白いですね
歌麿、「飛ぶ鳥あとをにごさず」
「おれ、蔦重とはもう組まねえ」
ついに歌麿が本音を口にします。
西村屋から吹き込まれたこともあり、これまでの関係に決別を告げる瞬間。
蔦重は「大事にしていたつもり」でも、実際はそうではなかった――そのずれが胸を刺します。
ここで思い出されるのは、やはり母・おつたの不在。
彼女がいれば、蔦重も違う道を歩めたのかもしれません。
おつよさんがかすがいであったことも、改めて実感する回でした。

おつたさんが生きていれば…。
出産シーン、豪華キャストに驚き!
産気づくおていさん。
おたか役の島本須美さんが「お嬢様!」と声をかけ、産婆役にはまさかの榊原郁恵さん!
このキャスティングには思わず声が出ました。
早産となり、緊迫した場面で「産むしかない」と腹をくくるおていさん。
蔦重もただ祈るしかない…。
彼もまた、ひとりの人間であり、父であることを思い出させられます。

おていさんが無事であったかどうかは次回に持ち越されます。
越中守、天狗からの転落
越中守はついに失脚。
「表向きには関わらなくていい」──つまりクビ。
「ささ、下城されよ」という生田斗真さんの一言が、冷たくも印象的。
また、江戸市中の民衆は大感激。
過度の倹約が人々の生活を圧迫していたのですから無理もありません。
それでも、生田斗真さん演じる上様が江戸の町にお忍びで出向き、民の様子を自ら確かめる姿は印象的。
この大胆な行動力こそ、彼の魅力でもあります。

一橋もしくは徳川治済と書くべきですが、ここでは生田斗真さんで統一です。
そして、旅がらすの井上芳雄さん登場!
旅がらす姿の井上芳雄さん。
まさにミュージカルのスター降臨の瞬間でした。
視線ひとつで場の空気を変える存在感。
次回への布石を感じさせます。
第43話は、蔦重と歌麿、それぞれの道が別れを迎える節目の回でした。
母の不在、仲間との溝、そして新しい命。
「栄華の夢」はまだ続きますが、そこにあるのは光と影の対比。
次回、どんな運命が待ち受けているのか――期待と不安が交錯する、重厚な一話でした。

何と、ミュージカルスターの井上芳雄さんがシレッと登場しました。
エリザベートのルドルフ皇太子からトート閣下を演じた方です。
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!


