
冒頭には一橋治済の運命が!
瀬川のその後も?
蔦重は最期まで蔦重だった?
店を再開した蔦重(横浜流星)は、写楽絵を出し続け、更にその後、新たに和学の分野に手を広げたり、本屋として精力的に動いていた。しかし、ある日、蔦重は脚気の病に倒れてしまう。てい(橋本 愛)や歌麿(染谷将太)たちが心配する中、病をおして政演(古川雄大)や重政(橋本 淳)、南畝(桐谷健太)、喜三二(尾美としのり)ら仲間とともに作品を作り、書を以って世を耕し続ける。そして蔦重は、ある夜、不思議な夢をみて…。
一橋治済、雷にうたれる
冒頭、すり替えられて連行中の一橋治済が脱走を図ります。
前回、捕まって箱に連れられて終了かと思いましたが、彼は最後のあがきをします。
トイレ休憩を執拗に求めて箱から出ます。
付き添いの人の脇差を奪ってその人を突き刺して逃げます。
「ここで、逃げ切るのか?」と思いましたが、雷に打たれて絶命という驚きの展開になりました。
何とあっけない最期でした。
…とは言え、この大河ドラマの中での一橋治済の運命は決したと言えます。
一橋治済の遺体のそばには変わった髷の男が立ち添っていて、他の人が駆けつけたらいなくなっていたという算段になりました。

この変わった髷の男が平賀源内の後ろ姿を彷彿させるものでした。
雷に打たれるということでエレキテルの源内を想起させるということです。
源内も一橋治済に恨みはあったでしょうからね。
すり替えられた斎藤十郎兵衛をして、「天罰」と言われてしまった一橋治済。
こうなって同情する人もいないというのも皮肉なものです。
斎藤十郎兵衛は写楽かも?

ここですり替えられた斎藤十郎兵衛は蔦重によって「写楽かもしれないという仕掛け」をしたいという提案が出てきます。
写楽は正体不明の人気作家です。
今をもって誰であるかは断定されていません。
ただ、写楽の正体は斎藤十郎兵衛であるというのは現在、一番推されている説であるということも事実です。
ここで「東洲斎写楽」の「東洲斎」をばらしてみると「とう・しゅう・さい」となります。
入れ替えると「さい・とう・しゅう」となり、最後に濁音を付けると「さい・とう・じゅう」。
「斎藤十郎兵衛」になるではないかという仕掛けです。

蔦重は偶然ひらめいたということになっていますが、ここで写楽の正体を斎藤十郎兵衛説でも辻褄が合うようにしているわけです。
国文学の大家、本居宣長が登場

最後の最後に本居宣長が登場します。
何故、彼がここに出てきたのかと言うのは面白いです。
この時代の幕府は朱子学は徹底的な厳格なルールの上で規制する方法でした。
結果、栄えていた江戸市中の人々は無理な倹約を強いられ、犯罪率も上がってしまったのです。
一方で国文学の本居宣長はその体制を批判しながらも、柔軟的な対応をしようという日本古来のフレキシブルな体制を提唱した人です。
この本居宣長は一生を江戸に出ることなく伊勢に留まります。
考えてみると、この辺も面白いです。
江戸は政治の中枢ですが、伊勢は天皇の斎宮がいらっしゃる非常に栄えた都市でもあったのです。
天皇家のおひざ元ですから、国文学の本居宣長が活躍したのも納得の話です。
この本居宣長を発掘し、江戸に広めたのも蔦重と言うわけです。
蔦重の店には本居宣長によるインテリ本も並んだのです。
つまり、蔦重は娯楽本に限らず、知識層にも受ける今のビジネス書も出版したということですね。

本居宣長の本は江戸幕府の体制を批判しているものと言えなくはないです。
これを娯楽本に紛れさせてうまい具合に落とし込んだのです。
瀬川のその後が???
長谷川平蔵が蔦重を誘います。
ある駕籠屋の女将がいる店の前でした。
ハッキリとは言いませんが、瀬川ではないかと思わせる表現でした。
・本が好きな駕籠屋の女将
・子宝にも恵まれている
・駕籠屋の職人たちにも慕われている
その女将さんも後ろ姿だけが映し出されて、顔を見ることはありません。
ただ、蔦重はその姿をかつて恋した瀬川と思ったのでしょう。
涙が流れます。

吉原の第一級の花魁「瀬川」
その後は分かっていないのです。
ただ、こうあってほしいと思いました。
脚気になる蔦重
脚気になって死期を悟った蔦重。
今となっては治る病気ですが、この時代は死病でした。
ビタミンB不足である事も広く知られていますが、この原因が分かったのは近代の事です。
つまり、こんな簡単な原因が分かりませんでした。
田舎に行けば治るとのセリフもありましたが、それもこのビタミンB不足が解消されるからです。
このビタミンB不足は江戸市中の食生活によるものが大きかったのです。

脚気が田舎に行ったら治るというのは荒唐無稽なことではなくてあり得た話です。
本屋を盛り上げてくれた先生たちに次々と依頼し、最後の仕事を始める蔦重。
子供に恵まれなかった蔦重は「みの吉」に店を任せるようにおていさんに遺言します。
おていさんは、蔦重に言われる前にたくさんの書付をしています。
蔦重が死んだ後の事ですから「ゴミになってしまえばいい」と本気で思っています。
マジメなおていさんは下準備はするものの、それが不要なものになるということは蔦重が生き続けるということだからです。
蔦重、午の刻に旅立つ
蔦重は多くの人に見守られながら彼岸に旅立ちます。
本を書いた先生たち、ライバルの本屋たち。
吉原の関係者。
本当にたくさんの人たちです。
目をつぶってしまった蔦重の為にその人たちが「屁」を唱えながら、踊ります。
一瞬、目を開けた蔦重は「拍子木聞こえねえんだけれど」と言い、この物語は終わります。

蔦重、臨終のシーンは彼の墓碑銘に書かれたことが再現されています。
この長い墓碑銘は作中でも紹介された通り、宿屋飯盛(又吉直樹)によるものです。
午の刻に死ぬと言っていたとか拍子木の件はこの墓碑銘に本当に書かれています。
都心部のビル内にある墓碑ですが、ご興味のある方はどうぞ。
おまけ~アンケート結果
放送後のアンケートにお答えいただきありがとうございました。
1年間、本当にありがとうございました。
楽しみにしてくださった方、何度も訪れてくださった皆様に改めて御礼申し上げます。
1位:蔦重、丑の刻に死す
2位:瀬川、普通の家庭の女将さん
3位:九郎助稲荷、蔦重にお告げ
4位:一橋治済、雷で落命
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
第44話・空飛ぶ源内
第45話・その名は写楽
第46話・曽我祭の変
第47話・饅頭こわい
最終話・第48話・蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!


