べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺・第8話「逆襲の『金々先生』」

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花の井が名跡の「瀬川」の名前を継いだことが書かれた吉原細見「まがきはな」はバカ売れ!
吉原には「瀬川」を観たいために客が殺到します。
押し寄せた客の相手は瀬川だけでなく他の女郎も疲弊するほどでした。
そのなかで、盲目の大富豪がやってきます。
この人はどうも瀬川に惚れこんだようで…。

(8)逆襲の『金々先生』 - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
蔦重(横浜流星)が手掛けた瀬川(小芝風花)の名を載せた細見で、吉原には客が押し寄せる。そんな中、瀬川の新たな客として盲目の大富豪、鳥山検校(市原隼人)が現れる。

(8)逆襲の『金々先生』
初回放送日:2025年2月23日
蔦重(横浜流星)が手掛けた瀬川(小芝風花)の名を載せた細見で、吉原には客が押し寄せる。そんな中、瀬川の新たな客として盲目の大富豪、鳥山検校(市原隼人)が現れる。

盲目の大富豪・検校けんぎょうって?

この回から出てくる盲目の大富豪は「鳥山検校」という人物です。
鳥山というのは苗字だというのは分かりますが、「検校けんぎょう」とは聞きなれない方も多かったと思います。
「検校」とは目の見えない人の中で最高の地位の事です。
つまり、鳥山さんという目の見えない人の中でとても偉い人ということです。
この時代の盲目の人は幕府のみならず、朝廷からも手厚い保護を受けていたので高利貸しなども許されていました。
その中でも鳥山検校は大成功した人だと言って良かったのです。

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鳥山検校役の市原隼人さんはグレーのカラーコンタクトで鳥山検校を演じています。
目が見えなくても目力めじからがあります。

目が見えなくても瀬川の魅力に気がつく

鳥山検校は目が観ないながらも観察能力が抜群です。
ちょっとした物音から相手の様相を言い当てます。
これには瀬川(花の井)も驚きます。
瀬川は目の見えない鳥山検校が自分の為に双六や本をプレゼントしてくれた心遣いにも心を寄せます。
瀬川のような一流の花魁に初めて会う時は座っているだけなので瀬川が退屈しないようにという思いからでした。
これに瀬川も応えます。
目の見えない鳥山検校の為に瀬川もその本を音読してあげるというサービスをします。

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花魁とお客が初めて会う事を「初会」と言います。
この初会では花魁は座っているだけです。
第1話で鬼平犯科帳の長谷川平蔵が花の井(現:瀬川)との初会で大あくびをする花の井を楽しませようとお金をばらまくシーンがありましたね!
普通はこうやって花魁がお客側に何かしてあげるということはなかったのです。
それだけ瀬川にとっても心を動かされた人物が鳥山検校だということです。

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鱗形屋・カムバックするもパクリ疑惑?

偽版(海賊版)を作った事で捕らわれた鱗形屋の旦那はわび金(賠償金)を払って放免となりました。
そんな彼が次に出したのは「金々先生栄花夢きんきんせんせえいがのゆめ」というタイトルでの本でした。
ですが、内容は蔦重が走り回って聞き集めた話でした。

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えっ?今度はパクリ疑惑?

江戸の地元問屋は蔦重を利用したいだけだった

蔦重は細見を倍売っても、一生懸命ネタを書いても江戸市中の地本問屋は認めません。
むしろ、地本問屋は吉原の人間なんかに同じ地位を与えようとは全く思っていないような感じも見受けられるほどです。
蔦重は今回も利用されただけのようですが、そろそろ江戸市中の親方たちもライバル視されているような様相です。
そんな人たちを何と吉原の亡八達がぶっ飛ばします!

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蔦重が女郎たちの為に必死に頑張っているのとは裏腹に地本問屋も亡八で金儲けがしたいだけのようです。
今回出てきた盲目の鳥山検校と瀬川の行く末も気になります。
続きは次回に!

感想

蔦重の出版した吉原のガイドブック「籬乃花」(まがきのはな)は大評判です。
そりゃ、名跡だけれど縁起の悪い「瀬川」の情報が入っている最新情報誌です。
おまけに他の本の半額ですからね。
売れないわけがありません。

でも、売れまくったために吉原は瀬川見たさに大繁盛。
人がごった返してしまいます。

事実上、「身を粉にして」働く瀬川や他の女郎たち。
途中、「強蔵」の相手を瀬川がする事が描かれます。
この強蔵というのも江戸時代の小説で『好色一代男』に出てくる隠語です。
精力の強い男性ということなのですが、まさかこれをNHKの大河ドラマで持ってくるとは!

花魁や女郎がそういう意味で働くのは当然なのですが、よりによってそういう客をただでさえ忙しい瀬川にぶつける事を蔦重は怒ったわけです。
ここには愛があります。

べらぼうは性的な表現が非常に多いので批判も多いと伺っています。
確かに日曜日の夜8時台では難しいテーマではないかとも思います。
ですが、吉原や性風俗をきっちり描かないと「世の中」というものの本質は表現しきれないと思うのです。

訪れた平賀源内先生もこういう男女の仲には敏感なようで、蔦重に「瀬川を身請けすればどう?」と提案したのは面白い演出でした。
この大河ドラマで平賀源内が男色だった事を初めて知った私でしたが、それでも平賀源内が粋な人であったのでこうやって「男女の仲」にも気づくのでしょうね。
幼い時の蔦重と瀬川の思い出はほろ苦いものです。
女郎に恋をしてはいけないと叩き込まれている蔦重。
瀬川も本当は蔦重に誰よりも信頼を置いているし、蔦重の為に縁起の悪い「瀬川」の名前を継いだのですからね。
恋とかそういうものは超越している感じがありますね。

蔦重は瀬川を身請けするには千両以上かかると考えています。
(それだけ、蔦重は瀬川を最高の花魁と評価しているということでもあります)

盲目の大富豪、鳥山検校がいよいよ登場したのも注目点でした。
またこの時代の目の不自由な人たちが幕府からは手厚い保護が受けられていて「高利貸し」など人が嫌う商売も認められていたため、世間からは忌み嫌われていたということも大河ドラマ内のアナウンスで紹介されていたことにも驚きました。
NHKは、この大河ドラマをただのエンタメにしないでかなり踏み込んでいるなあと思います。
今は性被害などが何かと取沙汰されていますが、だからこそ、こうやって性風俗で働く女性たちが「仕事の上でのこと」と「自分の本当の愛情(マブ)」とはきちんと線引きされているというのもとても重要だと思いました。
男性陣は蔦重以外はなかなかの亡八ばかりです。

亡八とは、江戸時代の遊女屋(遊郭)の主人を指す隠語。
「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」という儒教の8つの倫理をなくしたことから。


吉原遊郭の亡八のみならず、江戸市中の本屋さんたちもなかなかの亡八です。
そんな中で里見浩太朗さん演じる須原屋市兵衛だけが常識人です。
この方が後に「解体新書」を手掛ける方です。
大河では杉田玄白や解体新書も描かれるかなあとそれがまた、楽しみです。

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杉田玄白の「解体新書」出てくるでしょうか?

おまけ~アンケート結果

放送後のアンケートにご参加いただいた皆様。
今回もありがとうございました。
第1位は盲目の大富豪、登場でした!
第2位は同率です。
細見バカ売れ、吉原大繁盛
繁盛し切れ女郎たち疲弊

主人公の蔦重の事よりも周りの事の方が注目されているよなあと思う今回の大河ドラマです。
みなさんは、どう思われるでしょうか?

各話リスト

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今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄うんちくも追加しています。
よろしかったらどうぞ。

第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」

関連書籍一覧

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ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!

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