映画『海街diary』地上波の感想

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グレース
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海街diaryは一番美しい四姉妹と言われたほどの美女そろいの映画です。
複雑なヒューマンドラマが日常に落とし込まれたとても美しい物語です。
目次からジャンプできます。

映画『海街diary』が地上波放送されたので、久しぶりに観た。

この作品は2015年に公開された映画だ。今年は2026年なので、公開から11年が経ったことになる。

原作は『吉祥天女』などで知られる吉田秋生さん。
若い世代には馴染みが薄いかもしれない。
私自身、正直なところ『吉祥天女』はそれほど好みの作品ではなかったのだが、『海街diary』はものすごくお気に入りの作品である。

非常に複雑なヒューマンドラマのはずなのに、登場人物たちを見つめる温かなまなざしと愛情のある筆致によって、多くの人の共感を得た不思議な作品だと思う。

この作品に出合ったのも、原作が少しずつ評判になっていた頃だった。

複雑すぎる四姉妹

グレース
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あまりに複雑すぎて一気に頭に入らない人間関係。
図式にしています。
これを参考にしながら、説明していきます。

物語は、三姉妹が父の訃報を受け、15年以上会っていなかった父の葬式に出席するところから始まる。

そこで出会ったのが異母妹のすずだった。

これだけでも十分に衝撃的だが、三姉妹の父はかなり女癖の悪い人物だったようだ。三姉妹の母親と別れ、愛人と暮らし始める。その愛人が父の新しい妻となり、三姉妹にとっての異母妹であるすずが生まれる。

しかし、その新しい妻も亡くなってしまう。その後、父はさらに別の女性と再婚する。新しい妻には連れ子がおり、父の死によって、すずは実質的に身寄りのない状態になってしまう。

……というように、説明するだけでも大変なほど複雑である。普通ならサスペンスドラマで殺人事件の一つや二つ起こっていてもおかしくないような前提だ。

ところが、この三姉妹は違った。

自分たちを苦しめた原因ともいえる女性が生んだ異母妹を引き取り、一緒に暮らそうとするのである。

私は最初、「そんなことあるの?」と思った。

感情的には憎しみの対象になっても誰も責めないような状況である。それなのに三姉妹は、すずを驚くほど自然に受け入れる。

最初に提案したのは長女の幸だった。

しかも葬式の別れ際、電車のドアが閉まる寸前に突然提案する。

すずは「行きます!」と答え、三姉妹を見送る。

二女の佳乃と三女の千佳も、閉まりかける電車の中で急いでメモを書き、「待っているからね」というメッセージをすずに見せる。

(原作ではこの描写だが、映画版では笑顔で手を振る。)

つまり長女の提案に対し、ほかの姉妹たちもほぼ一瞬で同意したのである。

父の葬式の段階で、すずが今後つらい立場に置かれるだろうことを察したのだと思う。

グレース
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どんな作品なのかを分かってもらうために前提を書いてみたが、改めて考えると本当にすごい話である。

鎌倉の人々の温かさ

その後も四姉妹を取り巻く環境は決して単純ではない。

三姉妹の親戚から心ない言葉を投げかけられることもあるし、映画では描かれていないが、原作ではすずの母方の親戚とも多少の騒動が起こる。

それでも三姉妹から四姉妹になった彼女たちは、なんだかんだ言いながら仲良く暮らし、互いを支え合って生きていく。

素晴らしいのは、彼女たちが複雑な事情を特に隠そうとしないことだ。

そして鎌倉の人々も、そんな四姉妹を温かく受け入れている。

事情はどうあれ、今幸せに暮らしているのならそれでいい。

グレース
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そんな空気が作品全体を包んでいるように感じる。

みんながどこかでつながっている

原作を読むと、人間関係の入り組み方も面白い。

知り合いの知り合いくらいの距離感で、みんなどこかでつながっている。

「友達の友達はみんな友達」というのは言い過ぎかもしれないが、それくらいの勢いで人と人が結びついている。

例えば、二女・佳乃の年下の彼氏は、長女・幸の同僚の弟である。

鎌倉は人口の多い地域だと思うが、それでも意外なほど人の縁が重なり合っている。

恋愛もある。不倫もある。揉め事もある。

しかし、この作品のすごいところは、そうした大きな揉め事を日常の中へ落とし込んでいくことだと思う。

普通なら怨恨や憎悪の連鎖になりそうな出来事でも、この作品はそうならない。

人は傷つきながらも、それでも前を向いて生きていく。

そんな穏やかな強さが作品全体に流れている。

漫画でこれほど泣いた作品はない

原作『海街diary』は12年にわたる不定期連載の末、全9巻で完結した。

作中で描かれた時間は数年程度だが、連載期間が長かったため、ところどころに時代の変化も見える。

分かりやすいのは携帯電話だろう。

初期はガラケーが中心だったのに、後半になるとスマートフォンが登場する。

また、この作品は吉田秋生さんの『ラヴァーズ・キス』ともクロスオーバーしている。

『ラヴァーズ・キス』が1995年、『海街diary』が2006年から2018年の作品なので、足掛け23年にも及ぶ世界観の積み重ねがあることになる。

私は漫画でこれほど泣いた作品をほかに知らない。

なぜそんなに涙が出るのか。

それは読んでみれば分かると思う。

未読の方には、ぜひ一度手に取ってみることをおすすめしたい。

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