光る君へ~第12回~思いの果て

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(12)思いの果て - 大河ドラマ「光る君へ」
道長(柄本佑)の妾になることを断ったまひろ(吉高由里子)。為時(岸谷五朗)が官職に復帰する目途もなく、生計を立てるためにまひろの婿を探すことを宣孝(佐々木蔵之介)が提案する。その頃、まひろと決別した道長(柄本佑)はかねてから持ち上がっていた...

(12)思いの果て
初回放送日:2024年3月24日
道長(柄本佑)の妾になることを断ったまひろ(吉高由里子)。為時(岸谷五朗)が官職に復帰する目途もなく、生計を立てるためにまひろの婿を探すことを宣孝(佐々木蔵之介)が提案する。その頃、まひろと決別した道長(柄本佑)はかねてから持ち上がっていた倫子(黒木華)との縁談を進めるよう兼家(段田安則)に話す。一方、姉の詮子(吉田羊)は、藤原家との因縁が深い明子(瀧内公美)と道長の縁談を進めようと図るが…

https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/episode/te/V7N3YYZ387/

為時の妾の死

まひろの父・為時の妾の死に際に接する処から始まる今回。
高倉の女と呼ばれたこの女性は「なつめ」というらしい。
それにしても、病気になってものすごい貧困だったのだろう。
死に際になってムシロの上で寝ているところからも分かる。
京都の吹きっ晒しで御簾も扉もない中でこの人はどうやって生きてきたんだろうと思うくらいの貧困。

「得度」すると言うシーンがあるのですが、出家するという事です。
死ぬ直前に仏門に入るのです。
お坊さんになるという事なのですね。
平安時代には死ぬ前に「得度」とすると極楽浄土出来ると信じられたためによく行われていたのです。
この「得度」して「出家する」というのも劇中で表現されていましたが、「髪を一房(ひとふさ)そぐ」くらいの事で終了します。
(お坊さんのお経が終わった後にちょっとだけ髪を切ったら終了です)
要は気持ちの問題と言う事なのですが、この儀式的な事が当時の人々にはとても深く信じられていたのです。

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なつめの前の夫との間の娘「さわ」

為時の妾として生涯を終えた「なつめ」ですが、何と前の夫の間に出来た娘に対面したがります。
きっと前の夫が自分よりも裕福だったから娘を託したという事なのでしょうね。
(自分はムシロの上で死ぬほど貧困だから)
娘の「さわ」は割に良いものを着て「なつめ」と再会して間もなく亡くなります。

この「さわ」が「まひろ」と仲良くなっていくようです。

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まひろの夫捜しに奔走する宣孝

まひろの親戚の宣孝おじさんはまひろの夫捜しに世話焼きを始めます。
(最終的にこのおじさんはまひろを妾にするのでそれが分かっているとかなり滑稽なシーンです)
夫候補に挙がったのは、小右記の藤原実資です。
前回までは藤原実資には「妻」がいました。
実資が政治への愚痴をこぼすときに「日記でも書いたら」と言っていたあの女性です。
実はその女性が実資の妻だったのですが、この時期に亡くなってします。

これ幸いと宣孝おじさんはマジメで学問にも通じている実資なら「まひろ」でもうまくやれると真剣に思っていたわけです。
宣孝おじさんは実資にそれとなく話を持って行きますが、当の実資は赤痢で病気になりながらも人に支えられて出仕するぐらい具合が悪そうです。
*赤痢は急性腸炎です。この時の実資はかなりひどい下痢であったろうと推察されます。

実資も「鼻くそみたいな女との縁談があった」と書きなぐっています。
宣孝おじさんも「こんな具合の悪い男はアカン」と思い、
実資側も「妻が亡くなってすぐに無神経な!」というお互いの思いが錯綜していたのではと思います。
*これらは脚本中の演出です。でも、ありそうな感じがしますね。

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明子女王って誰?

道長の妾の一人となる「明子女王」が前回から出てきています。
「源明子」とクレジットされているのに「明子女王」と呼ばれる事に違和感を感じる方も多いと思います。
この実はもの「源明子」は実の父は元皇族で臣籍降下(一般人)になって「源」という名字になった後に生まれた女性です。
ですが、その後に政変に巻き込まれて孤立していた源明子は皇族の地位にあった叔父の養女となります。
ここで「明子女王」となるわけです。
ややこしいですね。
更にはその叔父も臣籍降下して源となりますから最終的に源明子となるわけです。
皇族と一般人の間を行き来している感じですね。

おまけに実父を政変で追いやったのは兼家な訳です。
その兼家の娘の詮子に後見となられているので、何とも複雑で不遇な感じがします。
ですが、この時期の皇族もすべての人が天皇になれるわけでもありません。
必然的に政変に巻き込まれることもあり、後ろ盾がなくなり、食べるにも事欠いた皇族たちが零落していくというのは結構あった話です。

ですから、この時の「明子女王」の立場は実父を追い込んだ首謀人物の娘に囲われているという屈辱的なポジションにいます。
(生きていけないからです)

明子女王が道長の妾になる事を承知するのも兼家に少しでも近づいて呪い殺してやろうという気持ちがあったのも不思議ではありません。

後日談になりますが、道長の妾となる源明子ですが、その子供たちは母の怨念を晴らすかのように藤原家の凋落の為に動いていきます。

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倫子さまの下へ

左大臣家の倫子さまはとうとう父である左大臣に自分の思いを告げます。
父である左大臣はいつの時代の父親と同じくオロオロしますが、倫子さまの母の後押しもあって倫子さまと道長は晴れて夫婦になります。

倫子さまは「まひろ」とのやり取りでも嫡妻になるための心構えを話したりもします。
何があっても夫を支えるというポジショントークもなかなか良かったです。
私自身はすっかり「倫子さま推し」になりました。
決して自分は優れているわけではないけれど、自分の立場をよく理解している女性です。

この後、倫子さまは道長の子供たちで栄華を極めて行きます。
前述の妾の明子女王とはこの辺も大きく違ってきます。

まひろと道長のコイバナは当時の立場を明確にするため?

まひろを道長のコイバナは別にそういう間柄が言明されている史書も文献もありません。
100%フィクションです。
そういう訳でこの二人の下りはどうでも良いと思っていたのですが、当時の「妻」や「妾」の立場がどうであったのかと明確にするという事で必要な脚本だったのかなと思います。
(今更ですが)
夫の昇進は「妻の実家」の力が非常に重要になってくるので、身分も低いし、実家の財力のないまひろは「妻」どころか「妾」になるのも微妙な訳です。

グレース
グレース

次回以降がまた楽しみになりました。
予告で小さな帝が「定子とかくれんぼをしておりました」というシーンがあるのですが、この後の展開を思うと既に滂沱になりました。
(小さな帝と定子の恋物語は純粋だと私は信じています)

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放送リスト

第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
第44回「望月の夜」-2024年11月17日
第45回「はばたき」-2024年11月24日
第46回「刀伊の入寇」(といのにゅうこう)-2024年12月1日
第47回「哀しくとも」-2024年12月8日
第48回(最終回)「物語の先に」-2024年12月15日

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キャスト一覧

主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ)   吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが)   柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき)   岸谷 五朗
ちやは   国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり)   高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ)   段田 安則
時姫 (ときひめ)   三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか)   井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね)   玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ)   吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ)   板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん)   ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら)   ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ)   黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ)   瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ)   秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう)   町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ)   金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり)   渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた)   本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ)   益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ)   石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ)   橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか)   佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ)   高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ)   見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか)   三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう)   坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう)   本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう)   塩野 瑛久
直秀 (なおひで)   毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん)   凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる)   矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ)   本多 力
いと   信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな)   上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ)   財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ)   竜星 涼
さわ   野村 麻純
絵師 (えし)   三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ)   井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか)   高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう)   木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ)   宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン)   浩歌
周明 (ヂョウミン)   松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎

スタッフ一覧

脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実

「光る君へ」記事一覧

光る君へ
2024年大河ドラマ「光る君へ」のコラムです。感想、ネタバレ、あらすじ、考察、解説、リアルタイム視聴のアンケートなど盛りだくさんです。各話の紀行や旅行リンクも参考にどうぞ!