

まさかの妻子を失うという衝撃の展開に揺れた新之助。
絶望の中でも闇落ちせず、人々のために立ち上がる姿が描かれました。
次回は「打ちこわし」が正当な抗議へと変わるのか、目が離せません。
(32)新之助の義
初回放送日:2025年8月24日
蔦重(横浜流星)は新之助(井之脇海)を訪ねると、救い米が出たことを知る。蔦重は意次(渡辺謙)の対策が功を奏したと言うが、長屋の住民たちから思わぬ反発にあう…。
新之助、闇落ちせず
先週、まさかの妻子を亡くすというとんでもない結末になってしまった新之助さん。
吉原から駆け落ちして、闇落ちすることなく生きてきた新之助さんとおふくさんの二人。
災害に遭い、飢饉に遭い、飢えても彼らはその人生を貫いていたのです。
最後まで小さな幸せを守り抜いていくものだと思っていました。
でも、子宝にも恵まれ、貧しいながらも幸せに暮らしてほしいという勝手な視聴者の思いはブチ切られました。
ここで、新之助さんも闇落ちしていくのかと思えば、彼は怒りを抱えながらも蔦重を案じ、正当な仕返しをしていく姿には心打たれました。
米が高値になってとにかく手に入らない。
「御救い米」と言って貧困者に分け与えられるはずのお米も、すべての人に行き渡るわけではなかったのです。
困窮している人で家族の多い人、さらに働き手があまりいない人に限られていました。
とにかく、貧困の中でもさらに困窮している人に分け与えられていたのですね。
それでも十分な量ではなかったのでしょう。
「打ちこわし」開始。
ここで打ちこわしが始まります。
打ちこわしは都市部の新之助のような住民たちが起こしました。
住民が米屋や質屋を襲った事件です。
売り惜しみや、そこに米があると思っていたからです。
ここで百姓一揆と違う点を挙げておきましょう。
百姓一揆は農村の百姓が年貢の減免などを求めたものに対して、打ちこわしは江戸市中など都市部の住民たちが米を求めたという点に大きな違いがあります。
新之助は仇で返すのではなく、最終的には正当な抗議活動に切り替えていくのが素晴らしかったです。
自分たちで考えたキャッチコピーをのろしに書いて人々を先導していきます。
打ちこわしという事件や暴動ではなく、喧嘩で済ませようというのです。
「喧嘩は江戸の花」と言われるのにかけようというのです。
喧嘩だったら、大した罪にならないからです。
新之助が闇落ちしなくて良かった。
さらに、新之助は字が上手です。
生田斗真君、物乞い姿にまでなる!
徳川治定というより、生田斗真君ですね。
裏の悪役として徹底しています。
今度はとうとう市中に出て、物乞い姿にまでなって打ちこわしをしようとする江戸市中の人々を煽りまくります。
あまりに生田斗真君の悪役っぷりがものすごくて「彼の演じる徳川治定は何者だ?」ということになりますよね。
今の将軍のお父さんなわけです。
前の将軍は実の子である跡取りを亡くしていますから、この時点で次の将軍になれるのは、暴れん坊将軍でおなじみの八代将軍の子孫であることが必要になります。
吉宗は御三卿と言って、自分の三人の息子に徳川の親戚としての地位を与えています。
御三家なら知っているという方も多いと思いますが、この時点で御三卿は御三家よりも上というルールになっています。
ですから、前の将軍の子供ではないけれど、八代将軍吉宗が作った御三卿の中で一番勢力が強かった徳川治定の子供が、この時点の将軍になっているわけです。
何ともややこしいルールですね!
ですから、跡継ぎを暗殺したのでは?毒殺したのでは?というストーリーがあってもおかしくないわけです。
田沼意次、職位を失うもカムバック?
前回でも分かりにくかったのですが、前の将軍は自分が毒を盛られたと思っています。
ですが、知保の方という自分の側室が作った料理で具合が悪くなっていますから、表沙汰には出来なかったのです。
そこで、田沼に秘密裏で医者を工面してもらったわけですが、「田沼のせいで将軍様が死んだ」ということにされ、田沼は失脚しました。
ですが、田沼意次は後継者を自分の息のかかった人物たちで固めているので、殿中に赴けたのです。
そこで、殿中にいる人物たちに色々吹き込んでいたという形になったわけですね。
良くも悪くも、それでは今の将軍は田沼意次の意のままにあるように思われます。
これでまた彼はやっかみを受けてしまうわけですね。

さて、次回は新之助が率いる正当性のある打ちこわしに発展するのでしょうか?
予告を見る限り、かなりの惨状になっているようなのですが…。
楽しみです。
おまけ~アンケート結果
放送後のアンケートにご協力ありがとうございました。
やはり衝撃的だったのは生田斗真君の物乞い姿でした。
私としては、NHKの副音声で「物乞い姿に」というアナウンスが出たの衝撃でした!
第1位:生田斗真君、物乞い姿に?
第2位:新之助、字がうまかった!
第3位:田沼さま、復活
第4位:蔦重、ボコられる
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!