
前回の終盤では、先代の上様の跡取りの命を奪った謎の手袋が出てきたうえに、それに関連した5人の人たちが蔦重を待ち受けていました。
第45話・その名は写楽
初放送日・2025年11月23日(日)午後8:00
定信(井上祐貴)らに呼び出された蔦重(横浜流星)は傀儡好きの大名への仇討ちに手を貸すよう言われる。歌麿(染谷将太)は自分の絵に何も言わない本屋に苛立っていた…。
5人のアベンジャーズ
その5人
松平定信(越中守)
高岳(大奥の筆頭老女)
長谷川平蔵(ご存じ鬼平犯科帳)
柴野栗山(現将軍の勉学の師匠)
三浦庄司(田沼意次の側近)
この人たちの共通点は、一橋治済を「諸悪の根源」だと思っていることです。
黒幕が一橋治済だと気が付いている人たちですね。
それぞれが化かし合い騙し合いをしてきた人たちが、「打倒・一橋治済」という共通点で立ち上がったということなのです。
5人は蔦重に対して「源内先生が生きているように仕掛けろ」と依頼します。
断ってその場を去ろうとする蔦重に、隠れていた武士たちが刀を構えます。
まあ、ほぼ脅しです。
蔦重に断る権利はないものの、最終的には蔦重も妻のおていさんの協力を得て、とことんやってやろうということになります。
源内先生の生存説に乗っかって江戸を活気づかせたいという気持ちは、蔦重にもあるわけです。
さらに、ドケチの越中守が蔦重に1000両渡してバックアップするという、なかなか本気の待遇でもありました。
不景気のあおりを受けたのは芝居小屋も同じです。
歌舞伎の芝居小屋も休演が続くほどでした。
そんな中で「曽我祭」をしようと言うのです。
「曽我祭」は人気役者たちが通りに出て踊るのです。一般の人たちも観ることができます。
蔦重はその役者の絵を描いて、それを観ながら役者本人を見るという様子を頭の中で描くわけです。
そして、その絵は「平賀源内によるもの」という噂を流すのです。
これは一大イベントになるわけです。
絵師の先生や筆を折ったはずの先生たちが蔦重の元に集います。
大事なのは二つ。
・絵をたくさん用意すること
・その絵を描いた人の雅号(ペンネーム)を考えること
「写楽」爆誕
ここで「洒落者(しゃれもの)」「しゃらくせえ」をもじって「写楽」という画号が誕生します。
とうとう、写楽プロジェクトの誕生というわけですね。
実は「写楽」という人物のことはよく分かっていません。
彗星のように現れて彗星のように去っていった人物です。
とにかく、一時期に江戸の浮世絵界を席巻しました。
正体が分からない以上、諸説あるという前提でのお話になりますが、「写楽」は「写楽プロジェクト」であったというのが、私も支持する説です。
つまり、複数の描き手がいて、「写楽」という名前でプロデュースしたのではないかという話なのです。
今回の大河ではこの辺が素地になっているように思います。
写楽が作られていくその過程は全くのフィクションですが、こういう工程で写楽が作られていったというのは、あながち荒唐無稽ではないと思います。
上様とその父の「溝」
上様は相変わらずの子だくさんなのですが、なかなか子供たちは思うように育ってくれていません。
次々に生まれるものの、夭折してしまっていたのです。
前の上様に祟られているのではと思うくらいです。
ただ、上様の父である一橋治済は我が世の春を謳歌しているわけです。
自分の血筋の子供たちで他の徳川家も牛耳ろうという考えなわけです。
だからこそ、先代の上様の跡継ぎに毒を盛り、自分の息子を将軍の座につけたわけですからね。
上様とその父の一橋治済の心に溝ができてしまっているのですね。
一橋治済はそれでも悪魔の笑顔で応じます。
さらに、行方不明になっていた実行犯の大崎という女性が、出家した姿で現れます。
さすがに困っているようですが、悪魔の一橋治済は笑顔でまた引き入れます。
大崎も治済の手先だった時は良かったのでしょうが、離れると後ろ盾がなくなり、自分の命が危なくなったようですね。
歌麿と和解か?
蔦重がダメ出しを散々して完璧な絵にした歌麿の絵を持って、おていさんが歌麿の元を訪れます。
歌麿も活動は続けているものの、一切ダメ出しをされないことが納得のいかないものになってしまっていました。
もう、「歌麿」の名前さえあったらどんな絵でも良いという感じになってしまっているのです。
そんな中で、おていさんの持ってきた歌麿の絵は、微細な部分までこだわった素晴らしいものでした。
この絵は「5枚の女性の絵」でした。
歌麿が蔦重の元を去る際に置いていった絵です。
その絵をカラー絵、つまり錦絵にして持ってきたのがおていさんなのです。
この時期の浮世絵の素晴らしさがあります。
浮世絵の「髪の毛」一本までのこだわりは、今でも評価されている技法です。
これを彫師が彫り、摺師が摺るわけですから、非常に高い技術であると言えると思います。
これが大河の中でも再現されたというわけなのですね。

この素晴らしい出来上がりの錦絵を見て心を動かされたのは、歌麿の方でした。
これが蔦重の元に帰るきっかけになるのでしょうか?
次回に希望が持てる終わり方でした。
おまけ・放送後のアンケート
放送後のアンケートにご協力いただきましてありがとうございます。
1位はダントツで歌麿が蔦重の元に帰ってきたことでした。
これで写楽プロジェクトは歌麿も参加するということになって行くのでしょうか?
*写楽の正体はよく分かっていないために歌麿も参加しているという設定はあっても良いと思っています。
1位:歌麿、蔦重の元に帰ってきた???
2位:写楽プロジェクト始まった
3位:「しゃらくせえ」から「写楽」になった
4位:源内先生、やっぱり死んでいた
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!

