べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜第28話・佐野世直大明神

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(28)佐野世直大明神 - 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」
意知(宮沢氷魚)は佐野政言(矢本悠馬)に斬られ、息絶える。蔦重(横浜流星)は亡き意知の仇を討つ方法を考えていた時、政演(古川雄大)がある一枚の絵を持ってくる…。

(28)佐野世直大明神
初回放送日:2025年7月27日
意知(宮沢氷魚)は佐野政言(矢本悠馬)に斬られ、息絶える。蔦重(横浜流星)は亡き意知の仇を討つ方法を考えていた時、政演(古川雄大)がある一枚の絵を持ってくる…。

田沼意次は死なず、息子の意知が・・・

前回の最後、佐野政言に刀で斬りつけられる田沼意次と、それを庇って重傷を負ってしまう意知おきともの場面でした。
この時、そもそも城の中で刀を振るうなどというのは許されないことです。
意知は即死ではなく出血多量で亡くなってしまいますが、このあたりも史実を踏襲していましたね。
この時点で、城の中で刀を抜いた佐野政言は重罪にあたるわけです。

「刃傷沙汰」で思い浮かぶのは、やはり忠臣蔵だと思います。
これも城の中で、恨みのある相手を斬りつけた事件です。
忠臣蔵では、斬りつけたものの死に至ることはなく、当人だけが切腹させられました。
その後、不服を持った家臣たちが仇討ちに向かうという話です。

今回の事件は、忠臣蔵の後の出来事です。
ですから、幕府としての裁きというものがすでに確立されていたのだと思います。
意知が亡くなったため、「喧嘩両成敗」として佐野政言にも切腹の沙汰が下ったわけです。

斬りつけた佐野政言が悪いのですから、彼自身は切腹。
その後、佐野家は断絶となってしまいます。

大河ドラマの中でも「やっと生まれた跡継ぎ」であったことが描かれていました。
彼以外に跡取りがいなかったのです。
また、何代か後に復活することすらできませんでした。

実質的に佐野家は断絶となった一方で、田沼意次の血筋は残りました。

佐野家と田沼家の諍いは、田沼意次が佐野家の持参した「家系図」を池に捨てたことから始まります。
家系図は当時、とても貴重なものであり、それを捨てられたことで恨みを買うのも無理はありません。
おまけに、かつては栄耀栄華を極めた佐野家が田沼意次に頭を下げたにもかかわらず、足蹴にされたことで、恨みはさらに増幅したのでしょう。
忠臣蔵の後の話であるため、「相手を斬りつけたらとんでもないことになる」というのは周知のことだったはずです。
そんな中での刃傷沙汰ですから、厳しい処分が下されたのは当然のことだったと思います。

斬りかかるのを、誰も止めていない――。

田沼意次に斬りかかる佐野政言を、その場にいた人々が誰も止めなかったという描写もドラマで描かれていました。
まさか、殿中で刃傷沙汰を起こすような人物がこの時代にいるとは思わなかったでしょうし、平和ボケしていたのだと思います。
田沼意次に恨みを持っている人が多かったため、誰も止めなかったという話も描かれていましたが、私は「平和ボケ説」を推したいです。

今回の事件は、「田沼が悪、佐野が善」というふうに、江戸市中では語られていました。
分かりやすい勧善懲悪の構図になってしまっていたのです。
蔦重はそれに対して違和感を持ち、「本」の出版という形で真実を伝えたいと須原屋に相談するわけです。
ですが、本屋の事情どころか幕府の裏側にまで通じている須原屋は、これに反対します。

幕府のことを書くのは罪になる――という話なのですが、これは忠臣蔵も同じです。
忠臣蔵も幕府に関する事件なのに、なぜ庶民が知っているのかというと、それがあくまでフィクションとして広まったからです。
忠臣蔵では、実際の名前を用いず、浅野内匠頭を「塩冶判官えんやはんがん」などと変えて語られていました。

グレース
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蔦重はこの事件を本として出版できるのでしょうか?
次回が楽しみです。

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各話リスト

グレース
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今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄うんちくも追加しています。
よろしかったらどうぞ。

第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵

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関連書籍一覧

グレース
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ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!

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