
(20)望みの先に
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/episode/te/QW49LVRR79/
初回放送日:2024年5月19日
為時(岸谷五朗)が淡路守に任命され、惟規(高杉真宙)、いと(信川清順)も大喜び。しかしまひろ(吉高由里子)は、宋の言葉を解する父は越前守の方が適任だと考え…。一方内裏では、花山院(本郷奏多)の牛車に矢を放った一件で、一条天皇(塩野瑛久)が伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)に厳しい処分を命じた。さらに、定子(高畑充希)は兄弟の不祥事により、内裏を出ることを命じられる。絶望のふちに立った定子は…
長徳の変

前回の終盤でいきなり出てきた花山院。
道兼に騙されて帝位を追われ、出家したあの方です。
出家した後にも女性の元に通うという事が表にバレて騒動になる事も花山院にとっては不名誉な事です。
だからこそ花山院も矢を射かけられながらも何とかなかった事にしたかったのです。
そういう背景を知っておけば、今回の話も分かりやすいと思います。
伊周の弟の隆家が花山院に矢を射かけた事で「長徳の変」が始まります。
この人たちは中宮定子の兄弟であった事もあり、道長にとっても彼らを追い落とすチャンスです。
ドラマではたまたま矢を放った先に花山院がいて間一髪で逃れます。
この騒動で花山院側の従者の命は失われます。
もちろん、人を殺める事はあってはなりません。
実はこれ以前に「矢を射かける」ことや「高貴な人に射かける」という時点でNGな訳です。
それを官職にある人たちがやったわけですから、タダではすみません。
更には「呪っていたんだろう」とか散々言われるきっかけを作ってしまいます。
この時代に「呪う」というのは今で言う「殺人計画を実行する」くらいの意味になるので大罪となってしまいます。
ここまでの罪になってしまうと、帝の中宮である定子にも影響があります。
メンタル的にも中宮定子が追い込まれてしまうのは無理もない話だったのです。
何と呪詛した先が「女院様」なのでこれは分かりやすい構図になりました。
女院様への呪詛の筋書きは道長の嫡妻の倫子の陰謀のような気がしましたが、もうここでは「人に矢を射かけるような人間」が「呪詛くらいするだろう」という言い逃れが出来ない状態になっているという事になっています。

伊周はさすがにビビり始める
さすがに帝にまで知られ、謹慎させられ、ひょっとしたら死刑になるかもしれないくらいの動きがある中で伊周は初めてビビり始めます。
ここまでは自分が何かの罪に問われる事は露ほども思っていなかった伊周ですが、叔父である右大臣・道長に嘆願するくらいの気持ちになっています。
今まで関白でもないのに白い装束を着ていたり、帝にまで自分の意見を押し通してきた伊周を思うと「取り返しがつかない事をやった」という意識がやっと芽生えてきたことが分かります。

為時は国司へ
無事に国司として任命された為時。
国司とは今で言う県知事のようなポジションですが、この時代は一つの国の一番偉い人という感じでした。
ですので、豊かな国に任命されたらその国の利益をたくさん得る事が出来て大金持ちになる事が出来ます。
また、貧しい国に任命されてしまうと、かえって負担が大きいだけであるというジレンマがあります。
国司の赴任先として大きく4つに分けられます。
・大国(たいこく~13カ国)
・上国(じょうこく~35カ国)
・中国(ちゅうこく~11カ国)
・下国(げこく~9カ国)
律令国の等級の順番として「大国」→「上国」→「中国」→「下国」となります。
最初に為時が任命されたのが「下国」の淡路国(あわじのくに)で
再任命されたのが「大国」の越前国(えちぜんのくに)です。
即ち一番下から一番上にジャンプアップした事になります。
為時の漢文能力
為時が越前に赴任する事になった理由はいくつか言われています。
私が好きなエピソードは折角任命されたけれど下国では辛すぎるという漢詩の歌を送ったという話です。
その素晴らしい漢詩が帝の目に留まって採用されるという話です。
大河ドラマでは何とこの漢詩の代筆をまひろがした事になっています。
苦学の寒夜、紅涙襟を霑す 除目の後朝、蒼天眼に在り
(*苦学の寒夜、紅涙襟を濡らし、除目の早朝、蒼天眼にあり)
(表記違いもありますが、今回の大河では上記が採用されました)
この文章は「今昔物語」の説話集の中にもあるお話なので、この文章が帝の目に留まったの本当の事なのでしょう。
(意味)寒い夜も我慢してずっと勉強してきました。
血の涙が出る思いもしました。
でも、折角任命いただきましたが低い位でビックリしています。
かなり意訳しましたが、「めっちゃ、勉強したのにこんな下の国なんて」くらいの意味です。
下手をすると帝をディスっていますが、これだけ漢文が出来る為時を発掘できたのは道長にとっても超ラッキーだったのです。
大河ドラマではまひろへの思いが道長を動かしたようになっていますが、実際の所は為時は時の人だったのです。
越前には宋から来た70人の商人たちがいます。
宋とは今の中国の人達の事です。
つまり、外国人です。
この時点で言葉が通じません。
貿易をしようとして宋人たちはやってくるわけなのですが、現実的に言葉も通じないでは朝廷側も苦慮していた事があげられます。
漢詩が出来さえすれば、「漢字」で意思疎通をする事が出来ます。
現実的に言葉としての外国語としての発音までを会得していたかは分かりません。
それでも、いきなりやってきた宋人たちの対応をしてもらうのに漢文学者であった為時は朝廷側にとっても至れり尽くせりであった事が考えられます。
それにしても為時もかなりの高齢になった時点で見知らぬ土地へ行くわけですから、かなりの難儀をしたことも容易に想像できます。
この時にまひろも同行します。
そして、書き始めたのが「源氏物語」という事になります。
為時にとっても老体に鞭打つような感覚です。

淡路の国に飛ばされた人もいる
為時が異例の人事を受けた事を考えると、問題なのは代わりに淡路の国に飛ばされた人もいます。
この人は源国盛と言って道長の乳母子です。
そういう気安さもあって道長はこの人事を実行したのかなとも考えられます。
この源国盛はあまりの冷遇にショック死したなんてことも言われています。
大河でも詮子(女院様)の推薦で越前の国(大国)に任命されていた源国盛はあまりに使い物にならない事が分かったので推薦した女院様も引くほどでした。
ここで推薦した女院様も「仕方ない」と思う程の分かりやすい無能ぶりで、ここで源国盛の任命の変更をしても女院様のメンツも付売れないという体裁になっています。
儀同三司の母
伊周、隆家、中宮定子の母の高階貴子が出てきます。
この長徳の変の一件で彼女は毒親や子育てを間違ったと散々叩かれる事になりますが、彼女自身が漢文学に通じた当時には珍しいインテリ女性だった事は間違いありません。
そもそもなのですが、帝である一条天皇に難しい漢文を教えたのは彼女の息子の伊周なのです。
帝に教えられるほどのエリート教育を授けた女性なのです。
こう思えば何とも皮肉な話になりますが、だからこそ、高階貴子や伊周、隆家は甘んじて罰を受けるということにもなります。
官職を離れ、都を離れる事となりますが、彼らも地方では裕福な生活を送る事になります。
「都落ち」なんて言葉が使われますが、生活レベルとしては地方の方が良いというのもこの時代のよくある話でした。
(それでも都が良いという感覚はあった事は否めません)
定子さま…。
そんな中で一人、辛い境遇となったのは定子さまです。
自分の身内はみんな地方に追いやられます。
母である高階貴子も亡くなってしまいます。
この時点で誰も後見はいなくなったのです。
絶望の中で自分で髪を切る定子さま。
でも、帝は一度遠ざけた定子さまを忘れられず、また自分の元に呼び戻します。

まひろとききょう
定子さまに「清少納言に何かあったらいけないから」と里に下がるように言われるききょう。
言うとおりにするものの、また女子トークをするためにまひろの元を訪れます。
どうしても定子さまが気になるききょう。
まひろをさそって定子さまの実家へ行きます。
何と庭にまで二人は冠者のように忍び込みます。
折しも検非違使(警察)が伊周、隆家を捕らえに来たその時に遭遇します。
中宮定子は丁重に牛車に乗る事を促されますが、定子さまは検非違使の刀を奪って自分の髪を切ってしまうのです。
フィクサー・安倍晴明
久しぶりに安倍晴明が登場しました。
彼は陰陽師で政治の裏の世界を操るような存在ですが、だからこそ黒幕として暗躍した人物だと思います。
道長の二人の兄の政権が長くない事も彼は予兆していました。
道長本人にはその世が長く続く事を予見します。
今回の「長徳の変」で道長は自分の甥たちの行く末を聞きます。
隆家(次男)は、あなたの補佐になる。
伊周(長男)は、あなた次第。
これが本当にそうなっていきます。
本日の注目の人物は?

放送終了後のアンケート結果です。
今回もお答えいただきありがとうございました。
最終的に自分で髪を切った中宮定子さまに注目が集まりました。
1位:定子(中宮)
2位:倫子(道長の嫡妻)
3位:詮子(女院様)
4位:伊周
紀行:検非違使
検非違使が紹介されます。
今の警察であった検非違使ですが、命令するのは貴族で捕縛などの実行部隊は身分の低い人たちでした。
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放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
第44回「望月の夜」-2024年11月17日
第45回「はばたき」-2024年11月24日
第46回「刀伊の入寇」(といのにゅうこう)-2024年12月1日
第47回「哀しくとも」-2024年12月8日
第48回(最終回)「物語の先に」-2024年12月15日
登場人物が書いた本
源氏物語
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キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実
