
江戸の米騒動で、新之助が守ろうとしたものは何だったのか。
黒幕として暗躍する生田斗真君、ついに動き出す長谷川平蔵。
涙と衝撃の展開が続く今回の大河を振り返ります。

(33)打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
初回放送日:2025年8月31日
打ちこわしが発生し、蔦重(横浜流星)は、意次(渡辺謙)のもとを訪れ、ある策を進言する。一橋邸では治済(生田斗真)が定信(井上祐貴)に、正式な老中就任を告げるが…
新之助の正義を貫く
新之助の先導で始まった「うちこわし」。
米を売り惜しみした米屋を中心に打ち壊していきます。
「盗みはしない」ということを徹底させていきます。
これで、喧嘩で済ませようというのです。
石つぶての男
「石つぶての男」が出てきます。
今まで何かと江戸市中の人たちをたきつけて騒動を起こしてきた人物です。
今度は小判を手にしてばらまき始めます。
その小判は、打ち壊しに入った先で手に入れたものです。
つまり新之助が「やってはいけない」と言っていた“盗み”をするのです。
食べる米にも困窮している人たちの前で小判を投げたら、多くの人は飛びついてしまいます。
もちろん「石つぶての男」は騒動を悪い方向に持っていくのが目的です。
この男は奉行所が取り締まりに来ても、さらに民衆をけしかけて追い払うほどの勢いです。
鬼平犯科帳の長谷川平蔵・登場!
とうとう死者が出るありさまになり、御先手組が出てくることになりました。
御先手組とは、弓や鉄砲を扱うことができる幕府の治安部隊です。
ここでやってきたのが、なんと長谷川平蔵!
この大河では、生真面目で吉原でも真面目に女郎を口説き、そのせいで親のお金を使い果たしてしまったあの人です。
お金がなくなったから女郎の元へ通えないと、正直に手紙を出すくらいの人です。
そんな人が、蔦重に斬りかかった「石つぶての男」に弓を放つのです。
ものすごい腕前です。
一発的中で胸を射抜きます。
そこで、騒ぎを起こしていた人たちは一気に大人しくなります。
しか~し、新之助が!
「石つぶての男」が蔦重に斬りかかった時に、庇ったのが新之助でした。
刀傷は少し負っただけでしたが、刀には毒が盛られていたようで、彼は命を落としてしまいます。
それまでに新之助は、蔦重に今までの礼を言います。
好きな女郎と二度目の駆け落ちに成功。
貧しいながらもその女性を妻とし、子どもにも恵まれた。
しかし、その二人を守ることはできなかった。
自分には才能もなく、身分も低く何もできなかった。
でも最後に、蔦重を守ることができた。
新之助は微笑んで死んでしまいます。
新之助を弔った「どまんじゅう」の前で嘆く蔦重のもとに、義弟の歌麿がやってきます。
歌麿はその場で初めて新之助の死を知るも、「良い顔して死んでいなかったか?」と言うのです。
新之助は自分の思いを遂げて、笑顔で死んでいったのです。
嘆き悲しむ蔦重を抱きしめながら、歌麿も涙します。
全ての黒幕は生田斗真君。
役名が一橋だったり徳川だったり分かりにくいので、生田斗真君で統一していきます。
今回も一番の黒幕は生田斗真君ということで終わりました。
あのイケメンの素晴らしい笑顔がブラックに覆われているとは!
蔦重を殺そうとした「石つぶての男」も、白眉毛に毒を盛った大崎の真の主人も、生田斗真君なわけです。
恐ろしいのは、毒を盛った大崎が前将軍の跡取りにも、手袋に毒を仕込んだ張本人であることが匂わされ、大奥総取締の高岳を脅迫するという、ものすごい展開になりました。
将軍家の整理をしておくと、生田斗真君は自分の息子を将軍にするために、どんどん毒で殺していき、その実行犯はもちろん自分の配下である、ということです。
田沼意次ピンチが続く!
史実では田沼意次は最終的に落ちぶれていくのですが、なかなかそこに行きつきません。
何度も何度も生き返る不死鳥のようです。
私は中盤で田沼意次の失脚があるかと思っていたので、このままでは最終回まで彼は行きつくのかもしれません。
田沼意次は眉毛がかげり、白髪が増え、体力も落ちているように演じ切る渡辺謙さんがすごいのかもしれませんね。
島本須美さんが!
オープニングのテロップで島本須美さんの名前がありました。
「たか」という名前です。
蔦重の店で働く女性です。
土間で米を炊いています。
最初は気がつきませんでしたが、やり取りの声で分かりました。
「お百姓さんが泣きますよ…。一生懸命作ったお米を…。」
島本須美さんは「風の谷のナウシカ」のナウシカ、
「カリオストロの城」のクラリス姫です。
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
第26話・三人の女
第27話・願わくば花の下にて春死なん
第28話・佐野世直大明神
第29話・江戸生蔦屋仇討(えどうまれつたやのあだうち)
第30話・人まね歌麿
第31話・我が名は天
第32話・新之助の義
第33話・打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)
第34話・ありがた山とかたじけ茄子(なすび)
第35話・間違凧文武二道(まちがいだこぶんぶのふたみち)
第36話・鸚鵡(おうむ)のけりは鴨(かも)
第37話・地獄に京伝
第38話・地本問屋仲間事之始
第39話・白河の清きに住みかね身上半減(しんしょうはんげん)
第40話・尽きせぬは欲の泉
第41話・歌麿筆美人大首絵
第42話・招かれざる客
第43話・裏切りの恋歌
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!


