
『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第27話「願わくば花の下にて春死なん」は、
視聴者にもスタッフにも“地獄回”と呼ばれるほど緊張感と悲劇が濃厚でした。
以下、私の感想をまとめました。

(27)願わくば花の下にて春死なん
初回放送日:2025年7月13日
蔦重(横浜流星)は、意知(宮沢氷魚)が誰袖(福原遥)を身請けする話がなくなると聞く。一方、道廣(えなりかずき)は、治済(生田斗真)に蝦夷地の上知の中止を進言する
「治済(生田斗真)」の恐怖感
冒頭から登場した一橋治済が「面白くないのう」と笑顔で呟くという恐ろしいシーンから。
女郎にもてあそばれた松前藩兄弟がひれ伏するその上座で、あのイケメン・生田斗真くんの「圧」がものすごいものでした。
佐野政言の積み重なる悲劇
矢本悠馬さん演じる政言は、田沼意知への妬み、老父の介護ストレス、そして“丈右衛門だった男”による巧妙な陰謀によって、心が追い詰められていきます。
佐野家の嫡男である彼は、女の子ばかりが連続して生まれた後の初めての跡取りでもあったため、大事に育てられた「お坊ちゃま」です。
親にとっても、年を取ってからできた子どもです。
その親は老父となり、おそらくは認知症になっているのでしょう。
「耄碌しているから」と言えば終わり、ということでもなくなっていきます。
誰袖(福原遥)の盾としての強さ
吉原からの身請けを巡る物語でも、誰袖の本音が蔦重に向かうシーンは、彼女の内面と蔦重への信頼が光った瞬間。
福原遥さん自身も、その演技を通じて「強さの裏にある弱み」が見えたと語っています。
誰袖花魁は「かをり」として登場し、蔦重に付きまとうような女の子でしたが、自分の意思で身請けされていくという形になっていくのだなあと思いました。

花魁は身請けされたからといって、必ずしも幸せになれるとは限りません。
瀬川も身請けされたものの、幕府から「離縁」を申し立てられ、その後のことはよく分かっていないそうです。
誰袖花魁も、ハッピーエンドとは限らない気がします。
米問題から切腹へ???
米の問題は、今もあるタイムリーな話題ですね。
歴史的な出来事でありながら、現代にも通じるテーマでした。
まさか、その米問題が政治的な問題、恨みつらみへとつながって、膨大なものになっていくとは。
最後のワンシーンは、佐野様が斬りつけるという形で終わりました。
次回予告では、佐野様の切腹シーンが映り込みました!

第27話は「地獄回」と呼ばれるにふさわしく、見た後もしばらく余韻が消えません。
続く第28話への期待も高まる内容でした。
次回は7月27日(日)、どんな展開が待っているのか、今から楽しみです。
各話リスト

今までのお話の感想を書いています。
たまに蘊蓄も追加しています。
よろしかったらどうぞ。
第1話「ありがた山の寒がらす」
第2話「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸」
第3話「千客万来『一目千本』」
第4話「『雛形若菜』の甘い罠」
第5話「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
第6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」
第7話「好機到来『籬(まがき)の花』」
第8話「逆襲の『金々先生』」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第11話「富本、仁義の馬面」
第12話「俄(にわか)なる『明月余情』」
第13話「お江戸揺るがす座頭金」
第14話「蔦重瀬川夫婦道中」
第15話「死を呼ぶ手袋」
第16話「さらば源内、見立は蓬莱(ほうらい)」
第17話~乱れ咲き往来の桜
第18話「歌麿よ、見徳(みるがとく)は一炊夢(いっすいのゆめ)」
第19話「鱗(うろこ)の置き土産」
第20話「寝惚(ぼ)けて候」
第21話「蝦夷桜上野屁音(えぞのさくらうえののへおと)」
第22話「小生、酒上不埒(さけのうえのふらち)にて」
第23話「我こそは江戸一利者(えどいちのききもの)なり」
第24話・げにつれなきは日本橋
第25話・灰の雨降る日本橋
関連書籍一覧

ドンドン追記していきます。
私も精読中。
また、感想の方も上げて行きますのでお楽しみに!