源氏物語って?
「光る君へ」の放送後から「源氏物語」がどんなお話か気になる人がたくさんいらっしゃるようですね。
1,000年前の古典だけれど小説。
女性が書いた初の長編。
古典の授業で習ったけれど、全編は分からない。
みんな、こんな感じではないでしょうか?
源氏物語は54帖に及ぶ大長編です。
「帖」というのは「話数」くらいの感覚で良いと思います。
ただし、この一つ一つのお話の長さはそれぞれです。
ものすごく長い「帖」もありますし、数ページで終わってしまうものもあります。
内容は天皇の子供に生まれた親王が皇族から離れて一般人となりますが、官位としては上り詰めるところまで上り詰める物語です。
そして、その主人公はあらゆる恋愛遍歴を繰り広げます。
分かりやすく今の言葉で説明すると
・義理のお母さんに恋をする
・年上の未亡人を愛人にする
・行きずりの女性と一夜の関係を持つ
・生霊に愛人を殺される
・義母の姪をさらって養育し自分の妻にする
・義母をとうとう手籠めにする
↑ これ、序盤の話です。
もう、今の昼メロや不倫ドラマもビックリの話です。
この主人公が「光の君(ひかるのきみ)」です。
大河のタイトルでは「光る君へ」となっていますが、作中では「光るの君」と呼ばれる事が主流です。
他に「源氏の君(げんじのきみ)」や「光源氏(ひかるげんじ)」というのもこの人の呼び名です。
現代語訳はたくさんの作家さんが手がけています
1,000年以上のロングセラーでベストセラーです。
今も多くの現代訳になって刊行されています。
一番最近の現代訳は角田光代さんのものですが、近年で有名なものは亡くなった瀬戸内寂聴さんであると思います。
他に田辺聖子さん、円地文子さん、与謝野晶子さんなど女性による現代訳がとても多いと思います。
与謝野晶子
私が最初に手にしたのは与謝野晶子さんのものです。
与謝野晶子さんは大阪府堺市出身の有名な歌人です。
「君、死にたもうことなかれ」という言葉は聞いた事があるという人も多いのではないでしょうか?
この与謝野晶子さんによる現代語訳はなかなかシャレていました。
それぞれのタイトルにちなんだ和歌を与謝野晶子さん自身が1句ずつ添えているのです。
これが何とも絶妙で粋な感じがしましたね。
私はこの与謝野訳を最初に読んだので、こうやって最初に和歌があるのかと思っていたのですが、これは与謝野晶子さんの拘りであり、ファンサービスであったのかなと思います。
今の若い方たちなら「文豪ストレイドックス」に出ていた女性作家と言った方が分かりやすいかもしれませんね。
まさにこの女性です。
角田光代
一番新しい現代訳は角田光代さんです。
「八日目の蝉」「対岸の彼女」などとにかく多作の作家さんです。
何と3年をかけて他の仕事を一切断って翻訳しきったというのがこの源氏物語です。
実は、私自身はこの作品を冒頭しか読んでいないのですが、今の私たちの言葉に一番寄せている印象を受けています。
読みやすいと思います。
こちらが一番手に入りやすいです。
以下続刊です。
瀬戸内寂聴
瀬戸内寂聴さん。
僧侶として99歳の天寿を全うした瀬戸内寂聴さん。
ご自身の若い日々も恋多き女性であり、それらをネタに小説にした逞しい女性という女性です。
その恋多き女性が現代訳に蘇らせた源氏物語はエロティックな部分が随所にあったと思います。
また、源氏の君と藤壺の不義密通の話は「源氏物語」の中では仔細は語られないのですが、寂聴先生は何とこれを一冊の本にしてしまいました。
この作品も「藤壺」というタイトルでよく知られたものです。
ですが、今で言うと二次創作と言った感じで受け止めておいた方が良いと思います。
*ちなみに「源氏の君」は主人公の事で「藤壺」は主人公の義理のお母さんです。
かなり読みごたえがあります
藤壺
漫画もありきで
まあ、そうは言っても長い話で、時代背景もつかみにくい話です。
日本には漫画という素晴らしい文化があります。
その当時の事をよく調べていて漫画で再現されているのでまずはこちらから入るのが良いと思います。
「あさきゆめみし」大和和紀
源氏物語のコミックと言えば、もう「あさきゆめみし」でしょう。
これは源氏物語の全編を漫画化している珍しい作品でもあります。
ほとんどの漫画化したものは主人公が死ぬまでで終わります。
「あさきゆめみし」は主人公が死んだ後の「宇治十帖」まで描かれています。
これで全編を読むことが出来ます。
ただし、漫画になる時点で作者が分かりやすくするためにオリジナルのエピソードが挿入されていたりします。
この作品で再評価されたのは主人公の妻「葵上(あおいのうえ)」だと言います。
ほとんどの作品では「葵上」は高慢で嫌な感じで描かれる事が多いのですが、「あさきゆめみし」の「葵上」はとても可憐で人と接するのが苦手な不器用な女性という印象を持つ人が多いのです。(私もです)
是非、読んでみてください。
長谷川法世 源氏物語(全3巻)
マンガ日本の古典シリーズの中の作品です。
この漫画日本古典シリーズは私のバイブルになっている作品です。
この中の3冊が「源氏物語」(上・中・下)です。
主人公が死ぬ「雲隠(くもがくれ)」までです。
3冊でまとめているだけあって、話が飛ぶように流れます。
これをここまでまとめたのは素晴らしいのですが、入門的に読まれるのが良いと思います。
牧美也子 源氏物語(全6巻)
マンガでもとても綺麗な源氏物語があったなあと記憶の片隅にあったものです。
折角思い出したので皆さんにもご紹介したい作品です。
牧美也子さんによる源氏物語です。
牧美也子さんは2023年に亡くなられた松本零士先生の奥様です。
美人画で有名な「悪女聖書(あくじょばいぶる)」の絵を描かれた方です。
(原作は別の方です)
とても、美しい絵で引き込まれたのを覚えています。
全6巻持っていたのですが、私の手元にはもうありません。
読むことは不可能かなと思いましたが、今は電子書籍などで読むことが可能です。
全編ではなくて、「六条院」を建てて妻や愛人たちを住まわせたところで物語は終わります。
だいたい全体の3分の1くらいで終わっています。
*ちなみに六条院って言うのは自分の愛人の家の跡地に建てた家の事です。
(怖いよ~~~)
最後に
色々書いてきましたが、皆さんが読んでみたい源氏物語はありましたでしょうか?
他にもいくつも読んだシリーズはありますが、今も入手可能なものを中心に紹介してきました。
もし、よろしかったら、皆さんのこだわりの源氏物語を教えていただけると幸いです。
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実