(48)物語の先に
初回放送日:2024年12月15日
まひろ(吉高由里子)は倫子(黒木華)から道長(柄本佑)との関係を問いただされ、2人のこれまでを打ち明ける。全てを知った倫子は驚きと共に、ある願いをまひろに託す。その後、まひろは「源氏物語」に興味を持った見知らぬ娘と出会い、思わぬ意見を聞くことに。やがて時が経ち、道長は共に国を支えた公卿や、愛する家族が亡くなる中、自らの死期を悟って最後の決断をする。まひろは道長が危篤の知らせを聞き…
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/episode/te/VVKKQ626PG/
まひろVS倫子さま
倫子さまは「気づいてないとでも思った?」と問いかけたのはまさかのまひろ自身にでした。
まさかの直接対決となりましたが、倫子さまは自分の目的は自分の産んだ子供を入内させてその子供を帝にする事が目的です。
この時点で自分の孫が二人も帝位についているので倫子さまの目的は達成されていると言って良いでしょう。
まあ、勝った女性の余裕と言った感じですね。
まひろも真実を語りだします。
「9歳から出会っていた」という事に倫子さま少し驚きます。
そもそも、貴族社会の女性が外に出るなんてありえません。
まひろは「そこまで高い身分ではない」からだと言いますが、この時代では倫子さまの方が常識的です。
まひろも貴族という生まれで幼い時とは言っても外に出るのはなかなか難しい身分です。
大河ドラマならではの設定という事になりますが、道長とまひろのロマンスは飽くまでフィクションという前提で書いていきます。
まひろが倫子さまに語った事
9歳で出会った少年三郎が道長
まひろの母が殺され、殺したのは道長の兄
それでも結ばれた。
ただし、まひろの娘の父が道長である事だけは告げなかった。
倫子さまはまひろを妾に迎えようとしますが、まひろは真実を語ることで断ります。
ただし、倫子さまにしてみれば娘の彰子に仕えていたまひろはどういう心境だったのかだけは気になったようですが、まひろの本心を引き出すことなく、「このまま胸にしまっておいてください」とだけ告げます。
最終回で出会う人、再会する人
市で会ったという少女は源氏物語の大ファンでした。
この少女が後の更科日記の作者でないかなと思わせる形で終わりました。
自分の物語を楽しそうに論説する少女の話を楽しそうに聞くまひろ。
更級日記の作者はその日記のなかに「源氏物語」を全巻読むのになかなか苦労した話があります。
たくさんの帖に分けられた源氏物語は写本が普通でした。
それを全巻持っている事はなかなか難しく、親戚縁者で持っている人がいれば頼み込んで読ませてもらうのです。
元祖・源氏物語オタクと言って良い彼女。
まひろにしても作者と言わずファンに遭ったのは嬉しい出来事だったの違いありません。
清少納言と仲直り?
清少納言(ききょう)もまひろの家を訪ねます。
すっかり年老いてしまった清少納言がまひろを訪ね、楽し気に自分たちの作った話を語り合うのはやっぱり見ていて嬉しいものですね。
まひろのファンとすれ違ったので「私が作者よって言えばいいのに」といった具合です。
清少納言と紫式部は史実ではあった事がないのではないかというのが通説です。
この大河ドラマでは二人が文学という趣味の時点で友情を育んで、時に対立するも最終的には友達として終わって良かったです。
枕草子も源氏の物語も「まつりごとを動かした」のです。
隆家は中納言を辞し…。
刀伊の入寇で大宰府のみならず日本を救った英雄となった隆家でしたが、公卿として中納言も辞した事をまひろに告げます。
隆家は中関白家の最後の生き残りとなりましたが、やんちゃな彼が最終的に次の時代の武家の時代の一翼を担って行くというのは不思議なものですね。
「偉くならなくて良かった」という隆家の言葉は貴族社会ではという意味でした。
道長は出家したのに延命を祈願
道長の具合がいよいよ悪くなって読経を始めます。
これは今で言う延命を祈願するもので道長自身は出家して死んだも同然なはずです。
現世に留まるための祈願は当時の価値観では「あれっ?」という感覚でした。
出家した人が祈祷して生きていたいというのは矛盾しているという事なのです。
大河ドラマでは当時の価値観ではなくて現在の価値観で描かれます。
倫子さまの夫の少しでも長く生きてほしいという感覚なのです。
正妻の倫子さまは高僧にも頼みます。(お金がある)
何なら寺もまるごと寄進します。(お金がある)
倫子さまの夫に一日でも長生きしてほしいというスタンスで話は進みます。
何と!まひろに付き添ってくれとまで頭を下げる倫子さま。
まひろは道長に毎夜、寄り添って物語を聞かせます。
速攻で作って、聞かせます。
ただし、最期に看取るのは倫子さま。
まひろも倫子さまも道長に対して務めは果たしたという感じになりました。
そして、奇しくも道長と共に歩んできた行成も同日に世を去る事になりました。
(史実です)
太皇太后彰子さまは戦略家へ。
今の帝に親王が産まれないので別の家から女御を入内させることを提案される彰子さまですが、「自分の家」以外から帝が出る事を拒みます。
他の家が外戚になったら自分たちの権力が失墜するかもしれません。
自分の意見も言えなかった彰子さまは女院となり、戦略家にもなりました。
一条天皇の系統である自分自身の栄華をさらに極めようというわけです。
ちょっと史実を言うとこの拘りこそが貴族社会の衰退につながってしまいます。
藤原家の女性が帝の母になれない場合、その権力が他の家にうつっていくからです。
最後のセリフは「嵐が来るわ」
道長の死後、まひろは乙丸を伴って旅に出ます。
旅の途中、馴染みの武者に出会います。
双寿丸という青年です。
まひろの娘の賢子の恋のお相手でした。
馬に乗り、駆け抜けて行く双寿丸と数人の武者を観てまひろは
「嵐が来るわ」と言って終わります。
平忠常の乱が始まる事を予見しています。
この平忠常の乱が起こったのは1028年と言われており、この年の初めに道長が亡くなっています。
大河ドラマでは道長が死んでしまったから平和な時は終わり乱世が始まるという結びになったのかなあと思いました。
感想
まひろは大河ドラマの中で紫式部とは言われずに終わりました。
ドラマ内でその説明も特になかったのは「これはフィクションです」という事かなとも思いました。
史実としてはわずかな史料の中なので大半はフィクションというわけです。
まひろと道長のロマンスも「本当はなかった」というのが真実だと思います。
この48話の大河の中でフィクションの部分は絶対に必要だし、そうでなければ大河ドラマは成立しなかったと思います。
私としては「史実じゃないなあ…」と思いつつ、全話鑑賞できたので、やはり面白い趣向だったと思います。
フィクションパートが多い一方で史実に裏付けた演出も多々ありました。
平安の宴や貴族たちの趣向など再現されていたのはさすがとしか言えません。
少し無粋な事を言えば、当時はお風呂や洗濯も行き届いたものではなかったのでテレビ画面に映るような美しい様相ではなかったのかな…とは私のちょっぴりうがった視点でもあります。
ですが、面白かった!平安朝。
道長が権力者ブラック道長としてはあまり書かれなかった事もこの大河では「平安朝」は「平和」であったという願望かもとも思いました。
大河の最後でのセリフが「嵐が来るわ」で終わりました。
もうちょっとハッピーエンドで終わるかと思っていたのでちょっと意外な終結となりました。
平安時代はここから衰退を迎えて武士の時代に移り変わっていきます。
まひろの死まで描かれる事はありませんでしたが、老いたまひろの一言には波乱が含まれているなと思います。
平安時代の煌びやかな演出は大変な高額であったとも聞いています。
この貴重な平安絵巻をリアルタイムで視聴出来ましたこと幸せでした。
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
第44回「望月の夜」-2024年11月17日
第45回「はばたき」-2024年11月24日
第46回「刀伊の入寇」(といのにゅうこう)-2024年12月1日
第47回「哀しくとも」-2024年12月8日
第48回(最終回)「物語の先に」-2024年12月15日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実