(35)中宮の涙
初回放送日:2024年9月15日
道長(柄本佑)は中宮・彰子(見上愛)の懐妊祈願のため、息子の頼通(渡邊圭祐)と共に御嶽詣へ向かう。しかし険しい行程と悪天候に悩まされ、目的地である金峯山寺への到達に手こずっていると、伊周(三浦翔平)が武者を引き連れ、不穏な動きを見せる。その頃、まひろ(吉高由里子)の書く物語に興味を持った一条天皇(塩野瑛久)が、まひろに物語の真意を尋ねては、自身の境遇を重ね…。さらにまひろは彰子の本心を知り…
御嶽詣(みたけもうで)
御嶽詣に出かける道長一行。
この御岳詣の場所は今の奈良県の吉野地方です。
京都から奈良まで徒歩というとかなりの脚力も必要に思います。
おまけに断崖絶壁を超えた向こうに参拝先があるわけですから、牛車でいけるわけでもありません。
つまり、何が何でも自分の力で「徒歩」で行かなければなりません。
行くまででも100日間の酒・肉・欲・色を断っての御嶽詣。
この時点でご利益はものすごくありそうです。
伊周・隆家の思い
伊周は少しでも政治の中枢にありたいという気持ちがあります。
参議にも復帰し、それ相応の地位についているのですが、彼は満足しません。
一方で弟の隆家は今とこれからを考えるという前向きな考えでいます。
伊周は御嶽詣の道長を自分の配下に命じて命を奪うことを考えていたのですが、それを阻止したのは弟の隆家でした。
道長一行に追いついた隆家は「この先に大きな岩がある」と道長達に告げ、それを観ていた伊周は矢をいかけることを諦めざるを得なかったのです。
隆家が救ったのは道長一行だけではなくて兄の伊周も救うことになりました。
(成功したところで、政権が大きく変わることは考えられず、むしろ立場が悪くなる可能性の方が高かった)
伊周・隆家がここで道長一行の暗殺未遂に関わっていたというのはフィクションパートだと思われますが、道長は狙われる要素はたくさんありました。
御嶽詣の目的
お詣りの目的は中宮の懐妊祈願です。
皇后が亡くなってからもう6年になると言うのに中宮は帝に相手にされていません。
無理もありません。
入内した時点で小学生、6年たったこの時点でもやっと高校卒業くらいの年齢です。
実は、大河では描かれませんが、帝は他に女性がいなかったわけではなくて、皇后定子の妹を寵愛していました。
どうしても皇后定子を忘れられなかったのはこの辺にもあります。
中宮は子供すぎて、他にお気に入りの女性がいる。
それも亡き皇后の身内。
なかなか中宮に帝の御渡りがないのはこの辺にも事情がありました。
一条天皇は皇后定子が忘れられなかったために定子の妹を寵愛していた!
中宮の絶叫!「お慕いしております」
中宮が帝に直談判して「お慕いしております」と涙ながらに絶叫するシーンがありましたが、さすがにここはフィクションパートだと思います。
ですが、前述した通り、帝には定子の妹がお気に入りとしてそばにいました。
帝に気にいられたい一心で帝が好きな和歌や漢文も一生懸命勉強します。
その一環が、藤式部に勉強を教えて欲しいということにつながっていくのです。
中宮彰子が一条天皇に振り向いてもらいたくて一生懸命勉強したのは紫式部日記にも書かれています。
若紫のパート
源氏物語の「若紫」は他のお話と比べてとても長い話になります。
光源氏、若紫に出会う→若紫をさらってくる→一緒に生活するようになる→親子のように一緒に寝る
この辺がまだ前半くらいの話です。
「若紫」には光源氏と藤壺の不義密通を匂わせるシーンも出てきます。
(この藤壺というのが光源氏の義理の母親なのです)
光源氏は藤壺に似た若紫という少女をさらってきた一方で義理の母親と不倫をしていたわけです。
でも、こんな「若紫」に中宮は自分自身を重ねます。
子供の時に訳もわからずに入内して、ずっと宮中にいる訳です。
まひろ(藤式部)に対して「若紫は妻に光る君の妻になると良い」と願います。
藤式部に嘆願するようなその中宮の様子は自分自身を投影しているようでした。
そして、中宮自身の決死の行動「お慕いしております」につながります。
いよいよ結ばれる
中宮の想いは届き、帝と中宮は結ばれることになります。
劇的な展開になりましたが、ここでめでたく懐妊しそうな気配を匂わせて次回へと繋がります。
紀行;吉野山
御嶽詣のその場所となった吉野山が紹介されます。
桜の頃になると桜が咲き乱れます。
その上空からの一面の桜が映し出される事になります。
(よくニュース映像で紹介されると思います)
桜の季節も美ししいですが、春歌秋冬の趣があり、いつでも堪能できると思います。
(ただし、冬は雪が深すぎて近寄ることが困難になりますのでご注意ください)
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実