光る君へ~第16回~華の影

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(16)華の影 - 大河ドラマ「光る君へ」
石山寺からの帰路、まひろ(吉高由里子)は思いかけず、さわ(野村麻純)を傷つけていることを知り落胆する。宮中では、後宮に伊周(三浦翔平)や弟の隆家(竜星涼)らが集い賑わう中、詮子(吉田羊)が現れる。一条天皇(塩野瑛久)らが緊張する中、伊周は・...

(16)華の影
初回放送日:2024年4月21日
石山寺からの帰路、まひろ(吉高由里子)は思いかけず、さわ(野村麻純)を傷つけていることを知り落胆する。宮中では、後宮に伊周(三浦翔平)や弟の隆家(竜星涼)らが集い賑わう中、詮子(吉田羊)が現れる。一条天皇(塩野瑛久)らが緊張する中、伊周は・・・その頃、都で疫病がまん延していた。ある日、たね(竹澤咲子)がまひろを訪ね、悲田院に行った父母が帰って来ないと助けを求める。悲田院でまひろが見たのは・・・

https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/episode/te/WK2VG3V7MN/

疫病(えきびょう)とは?

劇中で疫病が出てきます。
「疫病」は「えきびょう」と読み、感染症の事です。
感染症全般の事を「疫病」という言い方をしたので、具体的に今の医学上は何という病気だったのでしょうか?
「天然痘」であったであろうという事が通説です。

さて、この疫病が都で蔓延してしまった理由を考えて行きます。
感染対策や治療方法がほぼなく、感染してしまったら、死に至る病気とされている事でした。
更には、命を落としてしまった人の葬儀も丁寧にされたわけでもなく、遺体がそのまま放置されることもしばしばでした。
劇中でも主人公たちが石山寺詣での帰りに倒れている人々に遭遇します。
これが誇張された表現でもなく、実際にこういう状態ではなかったかと推測されます。
つまり、ここからさらに感染が拡大しただろうという事が考えられ、都の人々からすると脅威でしかなかったのです。
この疫病は貴族たちにも襲い掛かります。

有名な所では和泉式部の恋人であった為尊親王が命を落としています。
(この為尊親王は道長の姉の超子の息子でもあります)
https://graceblog21.com/hikarukimiheizumisikibu

感染症の歴史が書かれた本
同じことが繰り返されている事がよく分かります
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帝と定子は麗しのカップル

宮中では権謀術数が繰り広げられていますが、現実的には親戚の足の引っ張り合いです。
若く美麗な帝には若い公達たちもメロメロのようです。
なかでも、行成は見目麗しい帝に見惚れるほどです。
行成は自分の書を献上します。
行成は「字がうまい」ことで有名な人物です。
ここでも、帝に直接、字のうまさを褒めらます。
帝は隣にいた定子にもその書を見せて褒め合うほどです。
行成はこの帝にすっかり魅せられたようでした。
(定子も行成の書のファンでもある事は「枕草子」にもかかれています)

「少納言、香炉峰の雪は?」と清少納言に訊ねます。
これは枕草子でもクライマックスのシーンです。
清少納言は他のお付の女房達に「御簾をあげるように」言います。
これが白楽天の「香炉峰の雪は簾(すだれ)を掲げて観る」という言葉の引用なのです。
質問した定子もすごいですが、それを知っている清少納言もすごいという話です。
ここで、帝と中宮・定子は庭先に出て雪遊びを始めます。
公卿たちも参加するように促します。
まだまだ、それだけ幼いという事です。
演じる俳優さんが大人なので違和感がありますが、この時点でまだ雪遊びをするくらいの子供だという事を演出で表現していると考えられます。
ただし、庭先に出て雪遊びをしたという点はフィクションです。
(香炉峰は本当の事、雪遊びは演出です)

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疫病が蔓延しだす

宮中の華やかさとは裏腹に都中では疫病が蔓延しています。
星読みをする安倍晴明も疫神(えきしん)がくるから門を閉めるように言うくらいです。
関白の道隆も帝には疫病が流行っている事を伝えたくないようです。
帝はよく勉強しているので国が滅びた皇帝は民からの信頼を得られなくなったから滅びた事を知っています。
(貞観政要という中国の史書を引用しています)
だからこそ、民が苦しんでいるなら助けたい意向を伝えますが、関白は応じません。
関白は死ぬのは貧乏な者だけと本気で思っているのです。

帝が例に挙げた「貞観政要」は史書の中で
成功例だけでなく失敗例も書かれている珍しいものです。
これが今も多くのビジネスマンに読み継がれています。
解説本などで読まれるのが良いと思います。
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当の関白も病気に…。

関白の道隆も体調が悪いのです。
実はこの時に道隆は糖尿病であったという事が言われています。
何度も水を飲むシーンや、体がだるくて出仕できない日があったりしますが、この大河でも糖尿病だったという事にするのだと思います。
また、出仕する際に道隆は牛車の中から都の民が疫病で死んでいくのを観ていますから、知らないわけはないのです。
でも、自分の権力の安寧の為に見て見ぬふりをするのです。

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まひろの元にも疫病はやってくる

まひろが文字を教えていた少女の両親が帰ってこない事が分かります。
調子が悪くて悲田院(ひでんいん)という診療所のような所に行ったきり帰ってこないのです。
状況から見て、疫病にかかったのであろう事はすぐに分かります。
少女を連れて悲田院にいきますが、少女の両親は亡くなってムシロの上にいました。
まひろは悲田院の手伝いをします。
従者の乙丸にも何度も帰るように促されますが、それでもやめません。

悲田院(ひでんいん)=診療所
薬師(くすし)=医者

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都の様子を見に来た道兼と道長

一族の汚れ役を担う道兼は都の様子を見に行きます。
もう、不敵な笑みをたたえながらです。
また、道長も後になって同行します。
そこで、悲田院のまひろが倒れて瞬間に道長はまひろを抱き止めます。

自分は病気にならないという妙な自信がある道長はまひろを家に送って、そこから付きっきりの看病をします。
まひろは命を取り留めて道長は倫子の元に帰ります。
倫子は道長の中に自分や妾の源明子以外に「特別の女性」がいる事を察します。

道長とまひろのシーンは100%フィクションなのは変わりません。
ここでの着目点は疫病患者があふれ出す悲田院では人手が足りていなかった事が忠実に再現された事です。
薬師というのは医者の事ですが、この時の医者も自分以外は誰もいないことを示唆します。
他にも医療に従事する者がいてもその人たちが罹患してしまい、どんどん死んでいったのです。
また、明らかに高位の公卿である道兼と道長に「手伝え」というくらいひっ迫していたのも実情であると考えられます。
実際に、薬師が公卿に物を言う事はあり得ない事ですが、それくらいの苦難であったという事です。

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橿原神宮

エンディングでは橿原神宮が紹介されましたが、ちょうど桜の時期で素晴らしい所です。

グレース
グレース

次回は道隆がきっと…。

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放送リスト

第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
第44回「望月の夜」-2024年11月17日
第45回「はばたき」-2024年11月24日
第46回「刀伊の入寇」(といのにゅうこう)-2024年12月1日
第47回「哀しくとも」-2024年12月8日
第48回(最終回)「物語の先に」-2024年12月15日

登場人物が書いた本

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キャスト一覧

主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ)   吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが)   柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき)   岸谷 五朗
ちやは   国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり)   高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ)   段田 安則
時姫 (ときひめ)   三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか)   井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね)   玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ)   吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ)   板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん)   ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら)   ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ)   黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ)   瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ)   秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう)   町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ)   金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり)   渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた)   本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ)   益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ)   石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ)   橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか)   佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ)   高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ)   見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか)   三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう)   坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう)   本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう)   塩野 瑛久
直秀 (なおひで)   毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん)   凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる)   矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ)   本多 力
いと   信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな)   上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ)   財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ)   竜星 涼
さわ   野村 麻純
絵師 (えし)   三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ)   井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか)   高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう)   木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ)   宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン)   浩歌
周明 (ヂョウミン)   松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎

スタッフ一覧

脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実

「光る君へ」記事一覧

光る君へ
2024年大河ドラマ「光る君へ」のコラムです。感想、ネタバレ、あらすじ、考察、解説、リアルタイム視聴のアンケートなど盛りだくさんです。各話の紀行や旅行リンクも参考にどうぞ!
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