(14)星落ちてなお
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/episode/te/46JN2WQQKK/
初回放送日:2024年4月7日
仕え先を探すまひろ(吉高由里子)は、土御門殿からの帰りに道長(柄本佑)と鉢合わせてしまう。久しぶりの再会だったが・・・。ある日、兼家(段田安則)は道長らを呼び、道隆(井浦新)を後継者にすると告げる。道兼(玉置玲央)は納得がいかず、激高する。やがて兼家が逝去。跡を継いだ道隆が摂政になり、独裁を始める。一方まひろ(吉高由里子)は、たね(竹澤咲子)に読み書きを教えていたが、厳しい現実が待ち受けていた。
兼家・没
栄耀栄華を極めた兼家が天寿を全うします。
ここまでの栄達をするにしても恨みもものすごく買っているので呪詛する源明子の気持ちも分からないではありません。
源明子は道長の妾ですが、自分の父を兼家に失脚させられています。
本気で呪詛していても何の不思議はありません。
それにしても、この源明子の子供たちが藤原家の終焉に関わっていきます。
トータルで明子の呪詛は叶ったと言って良いのかもしれません。
源明子は本気で兼家を呪詛した?
蜻蛉日記の母が兼家を看取る?
兼家の妾だった蜻蛉日記の道綱の母(寧子)ですが、この時点ではもうとっくに縁は切れていたと言われています。
平安文学の対比という事で「蜻蛉日記」を出すために寧子を登場させたと言って過言ではないと思います。
この寧子が兼家を看取り、兼家がさも「蜻蛉日記」を読んでいたという設定もなかなか面白いものでした。
寧子は「百人一首」で「なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは いかに久しき ものとかはしる」でも有名な歌人です。
これは兼家の妾として「待っていてもあの人は来ない」くらいの意味です。
ですが、現実的に蜻蛉日記も歌人としての寧子も兼家のプロパガンダであっただろうという事が言われていて私もその説に同意します。
つまり、兼家にしても「こんなに歌がうまくて賢い女が自分の妾」である「この話に出て来る男は自分自身である」という事は醜聞どころか喧伝であったという事です。
そして、道綱の母の寧子にしても「私って中流貴族だけれど美人で歌がうまいからこんなすごい人と恋愛してたの!」というマウントでもあるわけです。
息子の道綱は他の息子たちに比べると出世したとは言えませんが、長寿であったため藤原家の生き字引のようなポジションであった事も付け加えておきます。
更にガイドブックを読んでいると、この寧子は「まひろ」の友達としても今後描かれていくようです。
何で蜻蛉日記が何度も出て来るのかと思われた方もいると思いますが、この辺も注目点です。
蜻蛉日記はスキャンダルではなくてプロパガンダだった!
位人臣(くらいじんしん)を極める道隆
兼家の死後、嫡男の道隆が権勢をふるいます。
次男の道兼は自分が泥をかぶってきたのに父が道隆を指名した事に不信感を得ますが、この2人は10歳以上の年の差があったと言われているので順当であると思います。
(そもそも道兼が人を殺した云々は大河ドラマのフィクションです)
ですが、ここでポイントとなるのがあまり本編で触れられていなかった道兼の妻です。
道兼の放蕩ぶりに離縁を申し出るシーンがありますが、この女性が一条天皇の乳母でもあります。
つまり、一条天皇の母代わりの女性が自分の妻である道兼がないがしろにされていた事はあまり考えられません。
史実としても、道兼はこの政権下で「一応」関白になります
短命の関白だったのですが…。
この時点で跡を継いだ道隆が自分の長男・伊周を要職に就け、自分の長女・定子を中宮にします。
兼家からすると長男から、またその長男が要職に就いたのですから、そんなに驚く事はりません。
ですが、この伊周が若くてイケメンで文武両道、美丈夫で女性からもモテモテだったので面白くない人も多くいたわけです。
大河では分かりにくいですが、この時点で伊周は17歳で今の高校生くらいです。
そう思えば、他の公卿たちが面白くないと思うのは当然です。
伊周は超絶イケメンだった!
定子も美女だった!
そして、定子はそれよりも年下の女の子です。
14歳か15歳くらいです。
この時点で一条天皇の中宮となります。
これは今で言う皇后の事でです。
定子は中学生くらいの年で子供も生まれていないのに中宮となったのです。
異例だらけで自分の身内を優先して政権固めをしたのです。
道長は検非違使の改革を提案
道長は兄に何度も検非違使の改革を提案します。
この後の話になりますが、道長の政権時には処刑は劇的に減っています。
道長が主導で減らしたと言われています。
この話を持って行くために散楽の人達の処刑があったと思えば、脚本の持って行き方の妙は素晴らしいなと感じました。
「まひろ」と「ききょう」
久しぶりに出てきた清少納言(ききょう)でしたが、漢詩の会はつまらないとか、夫と離婚を考えているとか、意外に紫式部(まひろ)とは気が合っているという設定です。
これはおもしろいですね。
このくだりは100%フィクションなのですが、ききょうがまひろの家にまでわざわざ行ってお互いの近況を話し合うのは何となく楽しかったです。
ライバルと思われがちな二人ですが、実際に面識はなかったと言われているので、「妄想」部分とは言ってもこういう交流があったら良いなと思いました。
定子の中宮が異例だった理由
定子が「中宮」という地位に就くときに「異例」だと公卿たちが言うシーンがあります。
「中宮」というのは天皇の入内した后の中で一番偉い女性です。
その時の帝が自分の后を「中宮」にするのだから当然だという意見も散見します。
ですが、ここで問題になるのは既に「皇后」がいるのに「中宮」を置くのがおかしいという話です。
実は「皇后」と「中宮」は、ほとんど同じ意味で言い方が違うくらいの感覚です。
ですから、「皇后が二人いるのはおかしい」という意味でとらえると良いと思います。
そこでこの時の「皇后」は誰かというと円融院の皇后の藤原遵子(公任の姉)です。
とっくに引退したはずの天皇の皇后という事なのですが、存命です。
つまり、「皇后は既にいる状態」なのです。
存命の皇后がいるのにもう一人皇后がいるのはおかしいという論理です。
皇后・藤原遵子がいるのに定子も中宮(皇后と同じ意味)になった!
皇后が二人になった!
実はもう一つ理由があります。
劇中では触れられませんでしたが、こういうお后さまは「立后」(りっこう)と言って他の女官や入内した女性とは別格で扱われます。
この別格の女性が最大で三人までと言われていました。
「皇后・皇太后・太皇太后」の三人です。
皇后:天皇の正妻
皇太后:天皇のお母さん
太皇太后:天皇のおばあちゃん
現実的に考えて三人くらいが常識的に思います。
ですが、この時に天皇の代が次々に変わった事や一人の天皇に付き、皇后と皇太后がいるという異常事態も起こりました。
この大河でも描かれている通り、円融帝(出家して円融院)には皇后・藤原遵子(公任の姉)と皇太后・藤原詮子(道長の姉)がいます。
更に先々代の冷泉天皇の皇后である昌子内親王が太皇太后であったため、既に三人いらっしゃったわけです。
そこへ、定子が4人目の立后となるので、公卿たちは異例だと反対したのです。
既に三人「立后」しているのに、ごり押しで定子が中宮になった!
まさかの四人立后
中宮とは皇后の事です。(言い方が違うだけで同じ意味)
即ち、定子が中宮となる事で皇后が二人になるという異常事態になりました。
おまけに、本来、立后は三人なのに四人になるという慣例からもあり得ない事態になりました。
予告ではついに清少納言出仕!
予告ではついに清少納言(ききょう)が本格的に出仕デビューの様子が出てきました。
これは「枕草子」(まくらのそうし)でも書かれていますが、初対面の定子の可憐な可愛らしさに清少納言は一目ぼれしてしまうのです。
「こんな綺麗な人がこの世にいるなんて!」って感じなのですよ。
実際に定子とその兄の伊周は周囲も認める眉目秀麗だったようです。
そのおかげで一条天皇に覚えがめでたい一方で多くの貴族のやっかみもあったであろうと思われます。
予告ではききょうがついに出仕して定子さまと対面するシーンが描かれていましたね。
以後、楽しみです。
光る君へ~第13回~進むべき道⇐前の回
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実