ザ・プロファイラ―
書き尽くせぬ思い「源氏物語」作者 紫式部
初回放送日: 2024年1月4日「源氏物語」は平安時代の貴族社会を舞台に書かれた登場人物400人以上、全54巻におよぶ超大作の文学作品。恋愛模様、権力争い、そして“光源氏”たち登場人物の人生が描かれ、貴族たちがむさぼるように読み、大人気作になる。作者は大河「光る君へ」の主人公・紫式部。文学の才に優れ、藤原道長に命じられ、宮廷に使えた。そこで書かれたのが「源氏物語」。物語冒頭から衝撃の展開なこの物語。どうして書くことができたのか?
出演者
https://www.nhk.jp/p/profiler/ts/WX9M3XW537/episode/te/LRK1YRPPXK/
【司会】岡田准一,【出演】大塚ひかり,西村和彦,ファーストサマーウイカ,【語り】笠間淳
はじめに
「光る君へ」の放送を前にして紫式部やその周辺に関する番組がたくさん放送されているのが楽しいです。
今回はザ・プロファイラーで放送された感想を書いていきます。
司会進行は岡田准一さん。
ご出演は大塚ひかりさん。
古典のエッセイをたくさん書かれている方です。
ファーストサマーウイカさんは「光る君へ」で清少納言を演じられます。
他に時代考証の倉本一宏先生も別撮りでご出演されるなど、贅沢な番組でした。
以下、私の一方的な感想になります。
今後再放送や配信があると思いますので詳しくはそちらをご覧ください。
源氏物語の成り立ち
紫式部はコミュ障だったのだと思います。
積極的なタイプでもないし、友達もたくさんいたわけでもない。
お父さんの任地にくっ付いていくと言ったら親孝行な感じがするけれど、居場所もなかったんだろうなと思いました。
そんな中で、時間を持て余してうっぷんを書き出したのが「源氏物語」だったのかなと感じた番組でした。
紫式部日記って?
紫式部自身が書いた自分の記録です。
「日記」と言っても私たちが想像する普段書く日記とは違って他の人が読むこともあるかもしれない事を前提に書かれた記録と言った方が良いかもしれません。
そんな「紫式部日記」ですが、まあ自画自賛日記というか承認欲求がものすごいというか…。
改めて話を聞いてみると「そりゃあ、この人は嫌われただろうなあ…」という事が透けて見えます。
「漢詩が得意」「帝にも褒めらた」なんて自分で書くくらいだから、相当「私って出来るのよ~」ってアピールしちゃったんでしょうね。
まあ、コミュ障だからそれが嫌われる原因になるって思わなくてついついやっちゃったってところもあるでしょうからね。
紫式部が同僚にめちゃくちゃ嫌われていて「日本記のお局」(にほんぎのおつぼね)なんて言われていたのもこの頃です。
日本記とは「日本書紀」の事で当時は男の人で相当賢い人しか読まない(むしろ読めない)とされていた本です。
「そんな難しい本も御存じなのね~鼻にかけちゃって!」て感じでしょうか?
これらも、出来ない人たちの僻みでしかないのでしょうが、そりゃうまくいかなかっただろうなという事は察して余りあります。
司会進行はこうやってコミュ障だの承認欲求が強いとかは言われないんですけれどね。
私の意訳です(察してください)
清少納言に夫の悪口を言われた?
紫式部のライバルとして比較される清少納言ですが、この2人が同時期に顔を合わせた事はありません。
番組内でもそこは明確にされていました。
清少納言が先で紫式部が後です。
彼女たちの主人が同じ帝の后(きさき)で権力争いをしていたわけですから、比較されるのは仕方ないことかもしれません。
紫式部が日記の中で明確に清少納言に批判的事を書いています。
その理由は…。
枕草子(清少納言の書いたエッセイ)で紫式部の夫の事を「空気の読めないむさ苦しい男」って書いちゃったからなんですね。
かなり意訳が入っています。
分かりやすくするためです。
紫式部にしてみたらたいして長い期間いた男でもないし、他に女もいた男です。
でも、自分の夫(死別)で自分の子供の父親です。
書かれていい気分な訳はありません。
おまけに宮中の人はそういった事情をみんな知っていて、あけすけに言う人もいた事でしょう。
コミュ障で根暗で承認欲求の紫式部は陰湿に思っていた事でしょう。
ディスっているようですが、ある意味リスペクトしています。
まあ、そんなこんなで政権闘争も相まって紫式部が清少納言に対抗意識があった事は間違いないと思います。
また、その一方で紫式部は仕えた中宮・彰子(ちゅうぐう・しょうし)の勉学以外の倫理的な教育にもかなり関与していたのだろうと思います。
中宮・彰子は自分のライバルである皇后・定子(こうごう・ていし)の皇子が先に生まれていた事で「自分の子が先に帝位につくのはおかしい」と父親の道長に行ったと言われているからです。
この件で紫式部は「余計な事を中宮に教えた」として宮中を去る事になります。
この辺はおそらく事実であろうと思うので紫式部は物の通りはわきまえていた人であったと思います。
源氏物語はタブーに切り込んだ?
別撮りの撮影でご出演の倉本先生からは「源氏物語」はタブーに切り込んでいる作品である事が示唆されます。
これは源氏物語内で主人公の「源氏の君」が自分の父の后と不義密通の上、子供が出来てしまいます。
おまけにこの子供は帝の子として生まれ、その後、帝になってしまいます。
まさか、天皇家に本来の血筋ではない人の子供が生まれ、その子供が帝になってしまうのです。
絶対あってはならないタブーなのです。
ただし、源氏物語の中でもこの帝の子供が後の帝位につくようなことはなかったので、この辺はうまくごまかしたなあと思います。
源典侍(げんのないしのすけ)
源氏物語の中に「源典侍」(げんのないしのすけ)という女性が出てきます。
宮中に仕えるバリキャリの女性ですが、この世界では「おばあちゃん」と言って良いご年齢。
ですが、このおばあちゃん、若い「源氏の君」を誘ってしまいます。
これが当時のスキャンダルで本当にいた女性の話だったそうなのですが、この女性もこの物語が出た時点で職を追われたそうです。
私の感想では源典侍は可愛らしいおばあちゃんというイメージだったので当時にそんなスキャンダルがあったとは思いもしませんでした。
紫式部、なかなかにしたたかな人物です。
他に、方違えで一泊した家の女性に手を付けた話は紫式部の体験談であるとか(帚木)
年増の女性に手を出して生霊に呪い殺されかけた話(夕顔)とかも紹介されました。
平安文学の一人者として角田文衛先生のお名前があがった事も嬉しかったです。
倉本先生が何故か帽子をかぶっているのが不思議でした。
(どうでも良い話ですが、ちょっと気になりました)
そのほかに
「この世をば」の出典となる「小右記」も紹介されました。
大河ドラマでは名前の読み方が今までと違って「彰子」が「しょうし」ではなく「あきこ」
「定子」が「ていし」ではなくて「さだこ」など違和感がある読み方になっていますが、番組内では「しょうし」「ていし」となっていたのが良かったです。
大河ドラマは脚本家の妄想の終結となるだろうから、大河は飽くまでフィクションとして観る事にします。
たま~に史実が入っていますって感じで良いと思います。
楽しみです。
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実