まひろが訪れた大宰府にはかつての越前での思い人がいました。
その人は宋人の周明(ヂョウミン)
同時期に大宰府の近くの壱岐と対馬には外国から攻められました。
刀伊の入寇での英雄「隆家」の感想になります。
あらかじめご了承ください。
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(46)刀伊の入寇
初回放送日:2024年12月1日まひろ(吉高由里子)は念願の旅に出て、亡き夫が働いていた大宰府に到着。そこでかつて越前で別れた周明(松下洸平)と再会し、失踪した真実を打ち明けられる。その後、通訳として働く周明の案内で、政庁を訪ねるまひろ。すると鍛錬中の武者達の中に、双寿丸(伊藤健太郎)を発見する。さらに大宰権帥の隆家(竜星涼)に、道長(柄本佑)からまひろに対するある指示を受けたと告げられる。そんな中、国を揺るがす有事が…
刀伊の入寇って?
まず、今回の事件について少しお話します。
刀伊の入寇とは1019年の春に外国から九州の離島である壱岐や対馬が攻め込まれた事件です。
島の人たちの多くが犠牲になりました。
この時の大宰府に任官していたのが隆家です。
隆家は中の関白家の次男で伊周の弟です。
父も母も失い、兄も姉も天国です。
道長にとって目の上の瘤でしかなかった中の関白家。
失脚してしまった中の関白家のたった一人の生き残りとなった隆家がこの外国からの強襲に立ち向かいます。
何と、隆家は日本を救う救世主になるのです。
刀伊って?
日本を攻めてきたのは外国です。
ですが、国境には海もあって、舟がやってくるのも簡単ではない中でいったいどの国のどういう人たちがやってきたのでしょう?
これが女真族であったと言われています。
刀伊と言う国があったわけではない
「刀伊」というのは不思議な呼び方ですね。
これも「刀伊」という国があったわけではありません。
正体不明の相手に通称や説明的な文章を日本の字にあてた漢字です。
エリート教育の隆家
隆家は武門にも優れていました。
これは貴族のお坊ちゃまだからこそ、最高のエリート教育を武門でも施されていたからです。
彼の弓矢の実力は奇しくも長徳の変で弓矢を射かけた事でも証明されているように素晴らしい腕前です。
だからこそ、隆家は地方の武士団からも一目置かれる存在でもあったのです。
これが九州の武士たちを集結させる一因にもなりました。
大宰府や九州の武士たちにとっては
・都の名家の人が陣頭指揮を執ってくれる!
・その人は武勇に秀でている
・眉目秀麗、体格も大きい格好いい人である!
中の関白家の最後の生き残り
ここで中の関白家についておさらいしておきましょう。
隆家は中の関白家の次男です。
道長の権力がすさまじくとうとう道長の三人の娘が天皇の妃になった「望月の夜」でも分かるように、道長とその家族が栄耀栄華を極めたのに対し、道長の兄の道隆は関白という最高位につきながら、その権力を子供たちに受け継ぐことが出来ずに亡くなってしまいます。
また、息子である伊周と隆家が花山院に弓矢を放つ「長徳の変」があったために彼らは失脚してしまいます。
ただし、ここで注目してほしいのは兄の伊周は大宰府へ。弟の隆家は出雲に赴任します。
今回の大宰府の様子を見ても分かるように大宰府はとても豊かな地域です。
また、隆家がかつて赴任した出雲も豊かな土地です。
左遷された、失脚したと言っても中央政権から離れただけです。
むしろ経済的には非常に豊かで恵まれた地域に伊周と隆家は行ったのです。
伊周がそれでも中央政権にこだわったのに対して、隆家は出雲でも比較的自由に暮らし、都に帰ってきても兄の伊周ほどの不満を持ちませんでした。
さらに注目すべきは弟の隆家は兄があれほど嫌がった大宰府に自らの意思で行く事になるのです。
隆家は眼病を患った事をきっかけに藤原実資の勧めで眼病の名医のいる大宰府へ
(この事でも藤原実資は日本全国の情報を正確に把握していた事が分かります。)
隆家はやはりスーパーエリートであった
大河ドラマの中でも隆家の判断能力の高さが素晴らしい事が分かります。
まず、刀伊の入寇の第一報があった時点で既に壱岐の住民たちの多くは命を奪われています。
武装集団を集めるにしてもまた戦うにしても朝廷にいちいち許可を得なければなりません。
ですが、そんな事をしていると間に合いません。
「無辜の民」を救うために隆家は朝廷の返事を待たずに専守防衛に向かいます。
外敵と戦って追い払っても「対馬」を出て追いかけてはいけない事も合わせて支持します。
ここで対馬を超えて追いかけるとこちらが攻撃した事になるからです。
これはやはり高い教育を受けているスーパーエリートでないと出来ない判断です。
平安時代であっても漢文学に秀でていた母方の「高階家」の影響は大きいのではないかと思いました。
漢文学には中国の長い歴史の戦いがあるからです。
外敵の脅威を感じずに過ごせたであろう平安時代に国境や国益という感覚があったのは高い教育あったればこそだったのです。
隆家は国境という感覚があった!
更に隆家は「武道」にも優れています。
長徳の変で弓矢を引いた隆家でしたが、闇夜に命中させるほどの腕を持っていると思えばその腕前が超一流と言って良いと思います。
また、防衛に向かった最初に向かってきた外敵に「鏑矢」を放つ隆家。
鏑矢は音が大きい事で相手を威嚇する事が出来ますが、これで外敵もよどみます。
隆家が鏑矢を放ったことは九州の武士たちにすぐに伝わり、武力自慢のツワモノ達が集結してくるきっかけにもなっていきます。
隆家は文武両道であった!
倫子さまと道長
道長が出家した事で倫子さまとの縁も切れたような形になるのですが、それは夫婦関係だけです。
経済的には倫子さまの財力に頼っている道長。
権力も後ろから担っているのは変わらないようで「太閤」と言われるようになった道長も倫子さま頼りなのは変わらないようです。
赤染衛門の栄花物語
「枕草子」のようなキラキラエッセイを道長を主人公にして物語にしてほしいと倫子さまは赤染衛門に依頼しています。
ここで、「枕草子」が引き合いにされる理由として、枕草子が本当にキラキラエッセイであったという事なのです。
清少納言の筆による枕草子は皇后定子の女房時代のきらびやかな時代を良い事だけを抜き出して、悪い事はギャグにして書いているものです。
前述の中の関白家の最高潮の話と言っても過言ではないと思います。
そして、凋落してしまった後にもこの「枕草子」を道長たちが禁じる事が出来なかったのは「政権への不満が一切ない」ことがあったと言われています。
もし、ここに道長たちへの悪口が一言でも書かれていたら枕草子は今に伝わっていなかったかもしれない。
そんな背景がありました。
倫子さまは赤染衛門が道長の事だけでなく、宇多天皇の時代にまでさかのぼって書いている事に疑問を持ちますが、とても丁寧に書いている事を知って執筆を継続してもらう事を決定します。
まひろと周明
越前の恋だった宋人の周明(ヂャウミン)は隆家の眼科医に伴って大宰府に来ています。
そこでまひろとの恋が再燃するかと思いきや、刀伊の入寇に巻き込まれ外敵が放った弓矢に倒れてしまいます。
次回は「刀伊の入寇」を撃退した隆家を朝廷の許可がなかったことで咎められるというお話になります。
ちょっとネタバレをしてしまうと隆家と実資の信頼関係が分かる回になります。
お楽しみに!
放送リスト
第1回「約束の月」 – 2024年1月7日
第2回「めぐりあい」 – 2024年1月14日
第3回「謎の男」 – 2024年1月21日
第4回「五節の舞姫」 – 2024年1月28日
第5回「告白」 – 2024年2月4日
第6回「二人の才女」 – 2024年2月11日
第7回「おかしきことこそ」 – 2024年2月18日
第8回「招かれざる者」 – 2024年2月25日
第9回「遠くの国」 – 2024年3月3日
第10回「月夜の陰謀」 – 2024年3月10日
第11回「まどう心」 – 2024年3月17日
第12回「思いの果て」 – 2024年3月24日
第13回「進むべき道」 – 2024年3月31日
第14回「星落ちてなお」 – 2024年4月7日
第15回「おごれる者たち」 – 2024年4月14日
第16回「華の影」 – 2024年4月21日
第17回「うつろい」 – 2024年4月28日
第18回「岐路」 – 2024年5月5日
第19回「放たれた矢」 – 2024年5月12日
第20回「望みの先に」 – 2024年5月19日
第21回「旅立ち」 – 2024年5月26日
第22回「越前の出会い」 – 2024年6月2日
第23回「雪の舞うころ」 – 2024年6月9日
第24回「忘れえぬ人」 – 2024年6月16日
第25回「決意」 – 2024年6月23日
第26回「いけにえの姫」 – 2024年6月30日
第27回「宿縁の命」 – 2024年7月14日
第28回「一帝二后」 – 2024年7月21日
第29回「母として」 – 2024年7月28日
第30回「つながる言の葉」 – 2024年8月4日
第31回「月の下で」- 2024年8月18日
第32回「誰がために書く」- 2024年8月25日
第33回「式部誕生」- 2024年9月1日
第34回「目覚め」-2024年9月8日
第35回「中宮の涙」-2024年9月15日
第36回「待ち望まれた日」-2024年9月22日
第37回「波紋」-2024年9月29日
第38回「まぶしき闇」-2024年10月6日
第39回「とだえぬ絆」-2024年10月13日
第40回「君を置きて」-2024年10月20日
第41回「揺らぎ」-2024年10月27日
第42回「川辺の誓い」-2024年11月3日
第43回「輝きののちに」-2024年11月10日
第44回「望月の夜」-2024年11月17日
第45回「はばたき」-2024年11月24日
第46回「刀伊の入寇」(といのにゅうこう)-2024年12月1日
登場人物が書いた本
源氏物語
ネット配信はこちら
キャスト一覧
主要キャスト一覧
まひろ/紫式部 (むらさきしきぶ) 吉高 由里子
藤原 道長 (ふじわらのみちなが) 柄本 佑
藤原 為時 (ふじわらのためとき) 岸谷 五朗
ちやは 国仲 涼子
藤原 惟規 (ふじわらののぶのり) 高杉 真宙
藤原 兼家 (ふじわらのかねいえ) 段田 安則
時姫 (ときひめ) 三石 琴乃
藤原 道隆 (ふじわらのみちたか) 井浦 新
藤原 道兼 (ふじわらのみちかね) 玉置 玲央
藤原 詮子 (ふじわらのあきこ) 吉田 羊
高階 貴子 (たかしなのたかこ) 板谷 由夏
ききょう/清少納言 (せいしょうなごん) ファーストサマーウイカ
安倍 晴明 (あべのはるあきら) ユースケ・サンタマリア
源 倫子 (みなもとのともこ) 黒木 華
源 明子 (みなもとのあきこ) 瀧内 公美
藤原 実資 (ふじわらのさねすけ) 秋山 竜次
藤原 公任 (ふじわらのきんとう) 町田 啓太
藤原 斉信 (ふじわらのただのぶ) 金田 哲
藤原 行成 (ふじわらのゆきなり) 渡辺 大知
源 俊賢 (みなもとのとしかた) 本田 大輔
源 雅信 (みなもとのまさのぶ) 益岡 徹
藤原 穆子 (ふじわらのむつこ) 石野 真子
藤原 頼忠 (ふじわらのよりただ) 橋爪 淳
藤原 宣孝 (ふじわらののぶたか) 佐々木 蔵之介
藤原 定子 (ふじわらのさだこ) 高畑 充希
藤原 彰子 (ふじわらのあきこ) 見上 愛
藤原 伊周 (ふじわらのこれちか) 三浦 翔平
円融天皇 (えんゆうてんのう) 坂東 巳之助
花山天皇 (かざんてんのう) 本郷 奏多
一条天皇 (いちじょうてんのう) 塩野 瑛久
直秀 (なおひで) 毎熊 克哉
赤染衛門 (あかぞめえもん) 凰稀 かなめ
乙丸 (おとまる) 矢部 太郎
百舌彦 (もずひこ) 本多 力
いと 信川 清順
藤原 道綱 (ふじわらのみちつな) 上地 雄輔
藤原 寧子 (ふじわらのやすこ) 財前 直見
藤原 隆家 (ふじわらのたかいえ) 竜星 涼
さわ 野村 麻純
絵師 (えし) 三遊亭 小遊三
藤原 忯子 (ふじわらのよしこ) 井上 咲楽
藤原 義懐 (ふじわらのよしちか) 高橋 光臣
三条天皇 (さんじょうてんのう) 木村 達成
藤原 顕光 (ふじわらのあきみつ) 宮川 一朗太
朱 仁聡 (ヂュレンツォン) 浩歌
周明 (ヂョウミン) 松下 洸平
藤原賢子(ふじわらのかたこ)南 沙良
あかね / 和泉式部(いずみしきぶ)泉 里香
敦康親王(あつやすしんのう)片岡千之助
双寿丸(そうじゅまる)伊藤健太郎
スタッフ一覧
脚本 : 大石静
語り : 伊東敏恵
副音声解説 : 宗方脩
タイトルバック映像 : 市耒健太郎
題字・書道指導 : 根本知
制作統括 : 内田ゆき、松園武大
プロデューサー : 大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー : 川口俊介
演出 : 中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろう、原英輔、佐原裕貴 ほか
時代考証 : 倉本一宏
風俗考証 : 佐多芳彦
建築考証 : 三浦正幸
芸能考証 : 友吉鶴心
平安料理考証 : 井関脩智
所作指導 : 花柳寿楽
衣装デザイン・絵画指導 : 諫山恵実