ブラックペアンを観て「死因不明社会」という現実を思い出す。

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グレース
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たまたまドラマで「ブラックペアン」を観る。
人気シリーズのようでSEASON2だという。
日本ドラマの地上波でちょっと珍しい。

ブラックペアンの原作はこの三冊

死因不明社会

ドラマでの設定は「天才外科医」が「高額な手術費用を請求」という手塚治虫の「ブラックジャック」を彷彿とさせる。
原作は海堂尊先生。
あの「チーム・バチスタの栄光」を皮切りに次々と医療系の小説をヒットさせている方です。

チームバチスタも面白かったけれど、この先生の面白さは「死因不明社会」に切り込んだ事です。
実は日本が死因不明社会だという事は意外と知られていない事実だと思います。

なぜ、日本は「死因不明社会」なのか?

それは解剖される率が先進国の中で異常に低いという現実にあります。
何か事故があっても、病院で死んだのでなければ「心不全」と書かれて終わり。
もし、事件であっても、高齢者が家で倒れてなくなってしまった場合、あまり事件性も疑われずにそのまま「心不全」で終わってしまうというのです。
たまに表面化するのが遺族が主張した時だけです。
「あんなに元気だったのに」「病気一つしたことはないのに」「心不全になるはずがない」などかなり強い主張があった時だけに警察の再捜査であったり、遺体の解剖が始まります。
逆にそこまでの事がない限りは、解剖も事件性も疑われません。
さらに言ってしまえば、犯人は野放しになったままというあってはならない状態になります。

日本の解剖が何故少ないのか?

日本の解剖が少ない理由は解剖する医師が少ないという現状にあります。
そして、その施設も圧倒的に少ないのです。
問題は「資金」です。
この資金不足の原因に「医療費亡国論」を彼はあげていました。

「医療費亡国論」とは、医療費が国家や社会経済に与える影響について議論する概念です。
一般的には、高齢化社会や医療技術の進歩により医療費が増大し、それが国家の財政や経済に大きな負担を与えるという議論。
医療費が持続可能な形で管理されない場合、将来的に国家経済が危機に陥る可能性があるという指摘がなされます。

グレース
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すなわち「技術革新があるから医療費が高くなり、ひいては国に影響を与える」ということです。

本末転倒だと思いましたが、実はこの考えが多くの国民を窮地に陥れているように思います。
1980年代に提唱され、医療費の縮小につながりました。
私自身が大問題だなと思ったのは医学部の人員の縮小でした。
それはそもそもの医師になるための人員が多くの削減をされた事になります。
今、その打撃は日本の50代の医師の層の薄さです。
この50代は団塊ジュニアと言ってとても人口の多い世代です。
人が多いのに医学部は縮小されるという事がのちのちの医師不足に拍車をかけてしまう事になります。
不思議なもので一旦、医師の門戸を縮小してしまうと次世代に大幅に増員したところで解消しないのです。
それは大きなシステムエラーを起こしたままなので簡単に元には戻らないのです。

Ai(死亡時画像診断)で解決?

話を戻しましょう。
海堂尊先生の医療費亡国論の問題点は死因不明社会だと言います。
先述したように増長する医療費を削減するために必要なものまで削減してしまったという点にあると思います。
ただし、海堂尊先生は代替案を持っています。

それは遺体を Ai(死亡時画像診断)にかけるという事です。
CTやMRIなどの画像診断技術を死後に適用するのです。
更に言及しておかなければならない事は全てをAiで完結するのではなくて「解剖が必要か否か?」「犯罪が見逃されていないか?」という点にあるという事です。
解剖する施設は全国にはありませんが、Aiであれば全国に設備はあります。
遺体をAiにかけるということを習慣化出来れば、死因を究明する事が劇的に改善されるのではないかという案なのです。

グレース
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これは面白いですね。
あるもので賄ってしまおうという案です。

遺体をAiにかけるという事は今ではどうなっているのかと思えば、誰が主導権を取るかでもめていました。
何とも勿体ない話です。
全ての医療施設でこれを採用するというのではなくて、出来るところからやっていけばというわけにはいかないものでしょうか?
この案が世の中に出てから20年以上になります。
また、このドラマがきっかけで多くの人が知る事になれば良いなあと思います。

海堂尊先生?

本名非公開の海堂尊先生ですが、正真正銘の本物の医師です。
今は専業作家となっていらっしゃるようですが、関東のT大学の医師でした。
Aiについての論文や著作は本名で書かれているので、熱心な読者であれば知っている事と思いますが、敢えてこちらに書くのは辞めておきます。
ちょっとヒントを言うと「意外と普通だった」です。

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皆さんも、こういう考えがあるんだという事を片隅に置いてくださいね。
少しでも健康で安全で「死因不明社会にしない」日本にしていきましょう。

ブラックペアンの原作はこの三冊