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初回放送日: 2024年3月24日辞書作りにのめり込んでいくみどり(池田エライザ)だが、辞書編集部に猛烈な嵐がやってくる。玄武書房・新社長の五十嵐(堤真一)が「大渡海」の紙での出版を廃止、デジタルのみにすると言うのだ。ショックを受ける馬締(野田洋次郎)たち編集部員。中でも大渡海の刊行に向け、松本先生(柴田恭兵)と二人三脚で長年作業してきた荒木(岩松了)の思いは沈痛だ。なんとか紙の辞書を守ろうとするみどりは、あるアイデアを思いつく。
https://www.nhk.jp/p/funewoamu/ts/GZ8RQ7PNJ1/episode/te/3K8P4KKRZG/
カツカレーの会
月に一度、本社に行ってカツカレーを食べるというのが辞書部のちょっとしたイベントです。
みどりも喜んで参加する事になりますが、この月に一度のイベントで馬締たちに会った事のです。
食堂でみどりが女の子たちとランチを食べている時に「あがる」と言っていたのを馬締が聞き止めて「用例採集」に入れるために聞き込みをしたのが最初の出会いでした。
死神登場
玄武書房の立て直しの為に新しい社長がやってきます。
何と「死神」と揶揄されるほどの改革を実行します。
採算の取れない紙の本をどんどん廃止してWEB化していきます。
なかには、連載があるマンガがあっても廃刊。
シニア層が読む本であっても廃刊していく方向です。
勿論、紙の辞書も例外ではありません。
辞書部は前に人員削減という大ナタを振るわれています。
長年かかる辞書の編纂に人件費を削るために一人辞書部から出たのです。
それが営業部に行った西岡さんでした。
「俺のアルマゲドン伝説」という西岡さん。
ですが、みどりや他の辞書部のメンバーは「馬締さんでなくて良かった」という雰囲気を出しまくるので、さすがの西岡さんもちょっとがっかりです。
このアルマゲドンというのは映画のタイトルの事です。
地球を救うために宇宙船に乗ったクルーたちが活躍する物語です。
命がけで任務にあたるという事で西岡さんは「アルマゲドン」の話を出したのだと思われます。
かつて炎上していたみどり
みどりは読者モデル出身です。
MIDORIという名前で活躍していた当時、アイドルの「りょんぴ―」と同じキャップを被っていたという事で匂わせだと言われ、その後は何を言ってもさらに炎上するばかりでした。
それが何と「ジーションズ」で活躍した画像を「辞書引き学習」のイベントの参加者がSNSにあげた事で拡散され、再炎上する形になってしまったのです。
でも、誰もみどりを責めないし、みどり自身も辞書引き学習が楽しいと思ってもらえたことが嬉しかったというのです。
馬締さんは怒り心頭の様子でしたが、家に帰って配偶者の香具矢さんには、
みどりちゃんは辛かっただろうけれどと前置きを置かれつつ
「よかったね、その時にりょんぴーが同じ帽子をかぶってくれて」と言われます。
つまり、その時、炎上していなかったら、みどりは読モを辞める事も玄武書房に入る事も辞書部にやってくることもなかったのです。
結果的に良かったという事になったのです。
辞書はデジタル一本化?
死神と異名をとる社長は神の辞書では採算が取れない事や既にデジタルが浸透していることを理由にデジタル一本化を命じます。
馬締さんは簡単に受け入れられるわけもありません。
ですが、真っ向から言っても納得してもらえるわけもなく、西岡さんが裁定の期間を申し出ます。
・執筆者の先生の理解を得られるかどうか
・断りの順番を間違っても後々の仕事に差し障る
・有名なブックデザイナーに打診中
こういう事を並べて何とか2週間の猶予を得る事になります。
紙の辞書のメリットを真剣に考える辞書部
もちろん、デジタル化一本になるというのは極秘の上での作業です。
辞書の紙の開発をしてくれているあけぼの製紙の宮本さんにも言えません。
でも、辞書の専門の紙を作る事にモチベーションをあげているスタッフたちの姿を見てみどりも悔しさでいっぱいになります。
(でも、言えません)
天童君と松本先生の出会い
天童君は幼い頃に松本先生に出会っていました。
近所の市民センターで「手のない女性の映画」を観たというのです。
ドキュメントタッチだけれど、手のない女性自身が映画に出ていたのです。
手がなくても何でも足で出来てしまうその映画を見て天童君は純粋にすごいと思ったのです。
その時点で自分自身が少数派である事も意識したのです。
でも、その主題歌の中には「手を差し伸べる」という歌詞があった事に強烈な違和感を覚えます。
一人、ロビーで悔しくて泣いていたのです。
手があって当たり前の人達が何も考えずに書いたのであろうと思ったのです。
ここで松本先生の登場です。
多分、辞書引き学習会の下見か何かだったんだろうと天童君は思っています。
そこで、事情を話した天童君に松本先生は辞書を渡して引くように勧められます。
「手を差し伸べる」
手=その局面において有効な働き
差し伸べる=持てる力を効果的にいかす
ナイフだったと思った言葉が花束だったのです。
この時の映画は?
ここでタイトルは明らかにされませんが、これは「典子は、今」でないかと思います。
映画も大ヒット、書籍もベストセラーでした。今は入手困難となっていますが、DVDは中古で入手可能です。
本も図書館などで読めると思うので関心を持たれた方は是非どうぞ。
紙の辞書を付録に…。
何としてでも紙の辞書にしたいみどり。
紙の辞書をデジタル版の付録にする事を思いつくみどり。
ですが、荒木さんは受け入れられません。
そんな荒木さんはその場を去ってしまいます。
「付録」という言葉を辞書で調べたみどりはその意味に「添え物、つけたし、おまけ」などという言葉が並んでいるのを見つけます。
みどりは、またも「言葉を雑」に扱ってしまったのです。
それは荒木さんだって「付録」と言われたらいいように思う訳もありません。
みどりは荒木さんが何か会った時に行きそうな場所を松本先生に聞いて会いに行きます。
「付録」ではなくて「特典」であると、「豪華特典」であると言い、もう一度、辞書部に戻ってきてほしいと言います。
また、荒木さんも辞書を作ろうと思った最初のきっかけが松本先生と自分の若かりし頃であった事を述懐します。
(何と43年前!)
多くの人が長く安心して乗れるような舟。
寂しさに打ちひしがれそうな旅の日々にも
心強い相棒になるような舟。
この言葉は馬締さんがみどりに贈った言葉でしたが、馬締さんも西岡さんと共に荒木さんから贈られた言葉でした。
実は更に遡ると、松本先生が荒木さんに贈った言葉でした。
受け継がれていた言葉だったのですね。
そして、辞書部は「紙の辞書」にこだわって再始動する事になります。
紙の辞書が良いと思う理由
今回は社長命令で辞書もデジタル化するという話になります。
ここから紆余曲折があるのですが、私の感想と考えを書いておきます。
デジタルのメリットは何と言ってもアクセスの良さです。
文字を打ち込んだらすぐに出てきます。
また、データの上書きも簡単です。
かつては正誤表などが辞書出版社から出ていましたが、それもデジタルで対応できるようになりました。
でも、デジタルのデメリットはここにあるように思います。
ドラマの中でもプロジェクトの立ち上げからいる荒木さんの叫びがあります。
10円玉からテレホンカード、ポケベル、PHS、携帯電話、スマートフォン
「もうちょっと待ってくれ」と荒木さんは思いを吐露します。
これも若い人には解説が必要かもしれません。
電話を掛ける方法一つにしても公衆電話では10円玉で掛けていたのが通常でした。
公衆電話もテレホンカードで掛けるようになりました。
ポケベルというのは電話から数字や文字で伝言内容を伝えるものでした。
PHSは音声電話ができるようになりました。(但し最初はPHS同士のみ)
携帯電話は音声電話が家電や携帯電話、PHSに対しても電話できるようになりました。
スマートフォンは皆さんがお持ちのスマホのことです。
電話を掛けるという行為でもこれだけの変遷があるのです。
何百年もかけていたのではありません。
数十年のことです。
人が生きる一生の間でこれだけ「電話を掛ける」ということでツールが違ってくるのです。
その中で唯一、本だけが残りました。
出版不況で本もなかなか売れなくなりました。
デジタルでの恩恵は私も受けています。
何故かというと前述のようにすぐアクセスができることや文字を大きくすることができるからです。
でも、紙の本はまだまだ必要です。
まさにツールが変わってしまうとデジタルは読み込むことができなくなるからです。
電子書籍が読み放題であっても、そのサービスが提供されなくなったり、サーバーがダウンしてしまったら全く読めなくなってしまいます。
同じサービスやツールがいつまでもあることは考えられません。
ですが、紙の本はその本が存在さえすれば、時代が変わってもツールが変わっても読むことができるのです。
更に情報が敢えて上書きされないことで出版したその当時の情報をそのまま読むことができます。
後々に修正されることや上書きされることのないその時のその時代のその時のスタッフたちが携わったその息吹を知ることができます。
もちろん、時代や情報もです。
デジタルの辞書は簡単に「知りたい言葉」にアクセスできます。
そうすると「知りたい言葉」にしかアクセスしなくなります。
紙の辞書はその前後に書いている言葉が目に入ってついでに他の言葉の意味も読んでしまいます。
そういう偶然や出会いは紙の辞書にしかありません。
何十年も先に付き合えるのは意外に紙の辞書なんですね。
私は既に子供の頃から使っている辞書が何冊かありますが、随分長い間の相棒になっています。
最後にもう一つ紙の辞書の魅力は「読み物」として優れているということです。
特に調べるものが無かったら、片っ端から読んでいくというのも楽しいのです。
これで知らない言葉にたくさん出会いました。
辞書を引くのではなくて是非読んでみてほしいです。
あなたの知らない言葉にきっと出会えます。
BSドラマ概要(各話感想)
各話感想を書いています。
話数をクリックしてください。
サブタイトルは特にありません。
話数 | 概要(公式サイトの説明より) | 初回放送 |
第1話 | 辞書づくりに13年かけるとは | 2024年2月18日 |
第2話 | “恋愛”の語釈をどう考える | 2月25日 |
第3話 | 水木しげるは辞書に収まるか | 3月3日 |
第4話 | 辞書に載せる河童の絵の謎 | 3月10日 |
第5話 | 「からかう」って何? | 3月17日 |
第6話 | 紙の辞書は廃止? | 3月24日 |
第7話 | ブックデザイナー登場 | 3月31日 |
第8話 | 用例採集は100万枚以上! | 4月7日 |
第9話 | 全項目チェック開始 | 4月14日 |
最終話 | ついに「大渡海」刊行 | 4月21日 |
配信
用語集
用語 | 読み方 | 意味 |
舟を編む | ふねをあむ | 「辞書」を「作る」 |
大渡海 | だいとかい | 辞書のタイトル |
玄武書房 | げんぶしょぼう | 出版社の名前 |
月の裏 | つきのうら | 馬締の妻・香具矢の小料理屋 |
からかう | からかう | 山梨の方言「手を尽くす」という意味 |
用例採集 | ようれいさいしゅう | 初めて知った言葉と意味をコレクションしていく(膨大な作業) |
典型的な例 | てんけいてきなれい | 多くの人が納得する例(但し、時代による変遷も) |
俗語表現 | ぞくごひょうげん | 最初は間違った表現をしていたが世間に広まって正しい表現に逆転する |
キャスト変遷
原作は2011年に発表されましたが、様々なメディア展開がされています。
原作、映画、アニメでは主人公は馬締光也ですが、ドラマでは岸辺みどりに変更されています。
赤文字が主役です。
読み方 | 映画 (2013年) |
アニメ (2016年) |
ドラマ (2024年) |
概要 | |
馬締 光也 | まじめ みつや | 松田龍平 | 櫻井孝宏 | 野田洋次郎 | 辞書編集部員→主任 |
林 香具矢 | はやし かぐや | 宮﨑あおい | 坂本真綾 | 美村里江 | 馬締の思い人→妻 |
荒木 公平 | あらき こうへい | 小林薫 | 金尾哲夫 | 岩松了 | 辞書編集部ベテラン |
西岡 正志 | にしおか まさし | オダギリジョー | 神谷浩史 | 向井理 | 宣伝広告 |
佐々木 薫 | ささき かおる | 伊佐山ひろ子 | 榊原良子 | 渡辺真起子 | 契約社員 |
タケ | たけ | 渡辺美佐子 | 谷育子 | 草村礼子 | 香具矢の祖母 |
岸辺 みどり | きしべ みどり | 黒木華 | 日笠陽子 | 池田エライザ(主役) | ファッション誌→辞書編集 |
宮本 慎一郎 | みやもと しんいちろう | 宇野祥平 | 浅沼晋太郎 | 矢本悠馬 | 辞書用紙の開発 |
三好 麗美 | みよし れみ | 池脇千鶴 | 斎藤千和 | 西岡と交際→結婚 | |
松本 朋佑 | まつもと けいすけ | 加藤剛 | 麦人 | 柴田恭兵 | 国語学者 |
BSドラマキャスト
主要キャスト
役名 | 役者 | 概要 |
岸辺みどり | 池田エライザ(幼少期:宮崎莉里沙、矢野朔子) | 主人公:読書モデル→ファッション誌編集部→辞書編集部。 |
馬締光也 | 野田洋次郎 | 苗字が「まじめ」なので「主任」と呼ばれる |
五十嵐十三 | 堤真一 | 玄武書房の代表取締役社長に就任。死神と呼ばれる? |
西岡正志 | 向井理 | 宣伝部 |
渡瀬凛子 | 伊藤歩 | ファッション誌「VIVIAN」編集長→ウェブ編集長へ |
荒木公平 | 岩松了(43年前:加治将樹) | 馬締を辞書編集部にスカウトした張本人 |
佐々木薫 | 渡辺真起子 | 用例採集などをデータ化する契約社員。息子も辞書オタク??? |
天童充 | 前田旺志郎(8歳時:眞島煌芽) | アルバイトの現役大学生。辞書に対して体育会系のノリ |
松本朋佑 | 柴田恭兵(43年前:細田善彦) | 日本語学者 |
宮本慎一郎 | 矢本悠馬 | 辞書の紙を制作する会社の社員 |
馬締香具矢 | 美村里江 | 馬締の配偶者。みどりの大家。「月の裏」の料理長。 |
秋野蘭太郎 | 勝村政信(子供時代:藤田要) | 明峰文化大学 教授。水木しげるの信奉者。ヲタムちゃん。 |
ハルガスミツバサ | 柄本時生 | 中身が白紙でも売れるブックデザイナー。ヲタムちゃんの友達。 |
松本千鶴子 | 鷲尾真知子 | 松本朋佑の妻 |
中村昇平 | 鈴木伸之 | 岸辺みどりの彼氏 |
みどりの家族 | ||
若葉 | 森口瑤子 | みどりの母 |
慎吾 | 二階堂智 | みどりの父 |
萩原さつき | 金澤美穂(幼少期:安田世理) | みどりの姉 |
その他 | ||
岸辺真帆 | 野呂佳代 | 慎吾の再婚相手、妊娠中。みどりに優しい。 |
ゲスト
話数 | 役名 | 役者 | 概要 |
第1話 | 市川真由子 | 木越明 | みどりのファッション誌編集部時代の同僚。みどりをハブる |
松戸明日菜 | 中村加弥乃 | ||
美浜恵梨香 | 西野凪沙 | ||
第2話 | 男性 | 飛田一樹 | 辞書部アルバイトの天童充のパートナー |
第3話 | タケおばさん | 草村礼子 | 香具矢の祖母。「早雲荘」の大家。故人 |
少年 | 村上秋峨 | 秋野教授の空想シーンの少年。水木しげるを図書館で調べる。 | |
島崎義久 | |||
第4話 | 夏川実 | 肥後克広 | 辞書の挿絵画家。2年前に死去。挿絵の赤ちゃんの頭は天パ。 |
(息子が天パ) | |||
夏川颯太 | 戸塚純貴(幼少期:白鳥廉) | 夏川の息子。イラストレーター | |
学生アルバイト | 澤奈央、六車勇登、北澤響、田村魁成、上川拓郎 | 天童の後輩たち。アルバイトに駆り出される。ノリは体育系。国文科。 | |
客 | 望月寛子、羽野敦子 | みどりの母の美容院の客(回想) | |
客 | 市川理矩、星川祐樹 | 松本、荒木がいたお蕎麦屋さんに来た客 | |
リポーター | 田中宏美 | お蕎麦屋さんでつけられていたテレビに出ていたリポーター。「睡眠負債」という言葉を発する→用例採集へ | |
見習い | 曽根翔斗 | 香具矢の店の見習い | |
第5話 | 小林愛斗 | 阿久津将真 | 「うむん」が何かを調べる少年。人と関わるのが苦手。 |
小林恵美 | 村川絵梨 | 愛斗の母。 | |
萩原杏、萩原桃 | 山本紗々萊、室伏凛香 | みどりの姉のさつきの娘たち | |
女の子 | 木村日鞠 | 愛斗に辞書を取られそうになって泣き出してしまう女の子 | |
第6話 | 小堺、安田 | 師岡広明、古川順 | 辞書の紙を作る現場スタッフ。 |
りょんぴー / 如月涼太郎 | 遠藤健慎 | アイドル、読者モデル時代のみどりが付き合っていると匂わせたと誤解され炎上。(炎上したのはみどり) | |
役員 | 中野剛、世志男、潟山セイキ | 玄武書房の役員、辞書のデジタル化を推し進めようとする | |
女性 | 兼安愛海 | みどりと天童の「ジーションズ」の写真を投稿。 | |
飯田智明 | 安藤広郎 | 八国堂国語辞典の辞書編集者。SNSのフォロワーが10万人を超えている。 | |
中澤実子 | |||
第7話 | 編集長 | 大場泰正 | シニア向け雑誌・悠々楽々の編集長。紙の雑誌にこだわる |
秘書 | 新上貴美 | 五十嵐社長の秘書。 | |
車椅子バスケ | 米田敬、齋藤尚徳、渡部創 | 車椅子バスケをしていた | |
第8話 | 山目満治 | 松田龍平 | 株式会社サイバーブレス システム開発部 チーフエンジニア(名刺の肩書) |
辞書のデジタル化する会社の人。映画版の馬締さんがこの役に! | |||
アナウンサー | 住田洋 | 「令和」という新元号を伝えた時のアナウンサー | |
伊藤海月、長野天音 | |||
最終話 | 医師 | 西野大作 | 松本先生に副作用の症状を説明する |
女子高生 | 安達木乃、山本藍 | みどりとすれ違いざまに「キャパい」と話す二人の女の子 | |
野上絵理、涼凪、源田愛莉那 |