
十二国記のアニメがNHK BS4Kで2026年の4月から放送されています。
2002年に放送されたアニメが4Kで放送し直されているのですが、久しぶりに観てみるとこの脚本の素晴らしさを再認識します。
十二国記って?
十二国記は小野不由美さんのファンタジー作品です。
推理作家の綾辻行人さんの奥様と言った方がイメージしやすい方も多いかと思います。
アニメの大ヒットもあったのですが、未だに小説が続いている未完の作品でもあります。
(刊行開始から30年以上)
こんなイメージの作品です↓
『十二国記』は、神仙や妖魔が存在する中国風の異世界。
麒麟と呼ばれる霊獣が天啓により王を選ぶ。
その王が不老不死として国を統治。
12の国家が舞台です。
4Kのアニメと言って内容が変わったわけではないのですが、リマスターされているのか画像は綺麗になっているように思います。
そして、一番助かるのが「字幕」があることです。
十二国記はとにかく固有名詞が難しい漢字で列挙されていますから、世界観を頭に叩き込むのも大変です。
アニメがヒットした時も解説番組や世界観を説明するための番組がNHK内でも放送されていたのを覚えています。
私はこの作品をアニメで知って原作を読んだので分かりやすかったのですが、この原作を読んで世界観をサッと分かった人は本当に尊敬します。
伝説の始まり「魔性の子」
中でも一番最初の作品は「魔性の子」というのですが、十二国記の一つの国の麒麟が蓬莱と呼ばれる日本にいることから始まります。
ただし、この「魔性の子」はファンタジーではなくてホラー小説として最初に刊行されています。
十二国も麒麟も、またその世界観もたいして説明されることなく、話が進みます。
麒麟や女怪の名前はカタカナで書かれます。
最後に蝕を起こして日本にいるタイキを迎えに来たのはエンオウと記載されています。
他にハクサンシ、レンリンも出てきますが、最初に読んだ人は何のことかさっぱりわからなかったことだろうと思います。
でも、この作品が出たときは異例のヒットでメインの十二国記のシリーズにつながっていくのです。
エピソードは意外に独立しているものの同じシリーズですからリンクしている部分もあります。
これが15冊(2026年7月現在)。
十二国記のルールや基本的な話もシリーズ中に出てくることもしばしばで、これを頭の中に入れられる人は本当にすごいなと思います。
會川昇さんが作った「転章」のすごさ
これらを綺麗に作り直しているのがこのアニメシリーズで、脚本は會川昇さんです。
最初の主人公の陽子が十二国の世界が分からないのと同じで、視聴者もよくわかりません。
それを同じ目線で半獣の楽俊に説明をさせていくというのがアニメで第14話に当たる「転章」です。
楽俊は陽子が最初に出会う常識人なのですが、半獣であるばかりにまともな職にはつけません。
ただ、博学の父が残した書籍をたくさん読んでいるので彼自身も知識が豊富です。
彼が陽子に語る十二国記の世界観はそのまま視聴者が求めているものでした。
この話を聞いていても思うのですが、正しい知識を持っていたら騙されることは少ないのです。
「学力」や「勉強」が等しく民衆のものではないので、「知っている人」と「知らない人」の差があります。
ルールを知っていれば本来、王になるはずもない人が王になっているということも分かるのですが、これを知らないと民衆は騙される。
王ではない人が王になっているので国は乱れてしまいます。
そして、辛い思いをするのは民衆という負のスパイラルになるわけです。
「姉妹王」という話で世界観はさらに分かりやすい

王になる基準というか、「姉妹王」という作品に詳しいのですが、これはCDブックでしか聞けない話です。
姉妹王は慶国の最初の王が亡くなった後に偽物の王「偽王」となったのが、前王の妹という設定でした。
『姉妹王』は、ドラマCD 『十二国記 夢三章』(2003年)の第2話として収録された、小野不由美先生書き下ろしのオリジナルエピソードです。
テレビアニメ本編の過去を補完する物語で、景王・陽子が即位する以前の慶国を描いています。
あらすじ(ネタバレ控えめ)
景国の田舎町に、性格が正反対の姉妹が暮らしていました。
姉・舒覚(じょかく)
引っ込み思案で心優しく、自分に自信がありません。
妹・舒栄(じょえい)
美貌と才気に恵まれ、華やかで自己主張が強い女性です。
ある日、突然景麒が二人の前に現れます。
舒栄は、自分こそ次の王に選ばれると信じて疑いません。しかし景麒が跪き、「天命」を告げた相手は、誰も予想していなかった姉・舒覚でした。
その後の展開
王となった舒覚は、生来の気弱さから重責に耐えられず、政務を避けるようになります。
一方で妹の舒栄は、姉を支えながら次第に実権を握り、「自分こそ王であるべきだった」という思いを募らせていきます。
やがて姉妹の関係は大きく歪み、慶国は混乱へと向かっていきます。

まとめてみると以下の感じです。
十二国記の世界では世襲はないので、同じ苗字の人が続けて王に就くことはありません。
そう考えると、姉が王位に就いた時点で妹は王にはなれません。
| 名前 | 続柄 | 性格・特徴 | 景麒に選ばれたか | その後 |
|---|---|---|---|---|
| 舒覚(じょかく) | 姉 | 心優しく控えめ。気弱で自信がなく、人を疑うことを知らない。 | ○ 王として選ばれる | 王位に就くが重圧に耐えられず、政務を妹に任せるようになる。 |
| 舒栄(じょえい) | 妹 | 美しく聡明。行動力があり、自信家で野心家。 | × 選ばれない | 姉を補佐する立場から実権を握り、やがて王位への執着を強めていく。 |
この作品のテーマは、「王にふさわしい人物とは何か」という事を問われています。
・才能やカリスマがあるから王になれるのではない。
・王になる覚悟がなければ国も人も救えない。
・そして麒麟は天命には逆らえない。
そもそもなのですが、景麒が姉妹の前に現れたときに「王」に選ばれるのはまさかの姉だったことから悲劇は始まっています。
姉が王になって選ばれた後も姉と一緒に王宮に入って政治を取り仕切っていたのが妹だったので、妹は自分の方が王にふさわしいとますます思うようになってしまって、姉の死後、勝手にその王の座に就くという一番やってはいけないことをやってしまうわけですね。

これ以上のことはCDブックを直接聞いてほしいのです。
実はこの脚本も會川昇さんによるものなのです。
これだけで、このアニメシリーズの骨子となった脚本が素晴らしいことがわかると思います。

