(3)初回放送日: 2024年3月3日
みどり(池田エライザ)は、馬締(野田洋次郎)が配偶者の香具矢(美村里江)と暮らす元下宿屋の一室を借りることに。「大渡海」を立ち上げた“辞書の鬼”松本先生(柴田恭兵)、社外編集の荒木(岩松了)、事務員・佐々木(渡辺真起子)、バイト・天童(前田旺志郎)ら辞書編集部員と慣れ親しんだ頃、原稿執筆者の秋野教授(勝村政信)から怒りの連絡が来る。狼狽するみどりの前に、元・辞書編集部員の西岡(向井理)が現れ…
https://www.nhk.jp/p/funewoamu/ts/GZ8RQ7PNJ1/episode/te/L1V7MPK98K/
配信
あのラブレターの話も!
主人公みどりが馬締さんの奥さんの香具矢さんの家で下宿する事になります。
ここで香具矢さんが夫を「みっちゃん」と呼んでいる事やあの伝説のラブレターの話になります。
馬締さんが香具矢さんに渡したラブレターは筆で書いてあって難文で書いてあって更に10枚以上でした。
貰った香具矢さんが意味が分からなかった事や、いい返事がもらえなかった馬締さんが振られたと思い込んだという「いわくつき」のラブレターでした。
このラブレターは辞書編纂の人間の間では閲覧可能になっているのが笑える話でした。
新しい言葉がいっぱい!
「舟を編む」の原作は2011年。
今回のドラマは2022年に辞書を発行する事を目標として辞書編纂が行われています。
この間に新しい言葉が追加されているのは視聴者にも想像できることです。
もちろん、ドラマでは新しい時代に合わせた新しい言葉も現れます。
「怒る」ことを「激おこ」なんていうのも2011年にはなかった言葉です。
面白いのは、この言葉を馬締も知っているという事です。
更には「ものすごく怒る」という事も「激おこプンプン丸」という言い方をする事も知っているという事でした。
怒っているという事を伝えるために、みどりは「激おこスティックファイナリアリティプンプンドリーム」と適当に言った言葉を伝えますが、この言葉さえ馬締は用例採集に書き留めてしまいます。
水木しげるの項目
辞書の語釈の項目には色んな先生や有識者が書いたものがたくさんあります。
そのなかに新しい項目として「水木しげる」がありました。
亡くなった著名人であれば新しい項目に追加されるからです。
さて、ここで「激おこ」になってしまった人は「水木しげる」の項目を書いた明峰文化大学の秋野先生でした。
水木しげるに心酔し、関連書籍や研究をたくさんしている先生は「語釈」という項目を超えて何枚もの原稿をあげてきたのです。
思い入れのある項目ですからそれでも「縮小」したのだと言います。
先生の下へ謝罪に行くと机の上には何度も推敲したであろう山のような原稿があります。
練りに練ってここまで短縮したのであろう事は火を見るよりも明らかです。
でも、先生にしてみれば更に「たったの数行」にされたのは怒り心頭でしかなかったのです。
そんな先生を説得したのは馬締が言うもう一人の辞書編集部員の西岡でした。
この西岡役が向井理さんです。奇しくも「ゲゲゲの女房」で「水木しげる」を演じたその人です。
秋野教授は水木しげるに説得されるという何とも粋な演出になりました。
西岡は秋野先生に「水木しげる」の項目が世の中に出るきっかけになる語釈がどれだけ大事かを訴えます。
結局の所、秋野先生は自分が救われた水木しげるの項目がたくさんの人の目に留まる事を選びます。
数行の語釈に納得する事になります。
夏目漱石の「こころ」
明治の文豪の夏目漱石の「こころ」の最終章について何度か暗示されます。
夏目漱石の作品は明治の文豪と言いながら意外に口語体で書かれているのが特徴です。
(他の明治の文豪は文語体で書かれている事がほとんど)
ですから、意外に改訂などはほとんどされずに現在に伝わっています。
この「こころ」の最終章は「遺書」であるのですが、自分を「先生」と慕ってくれた若者に対しての手紙でもありました。
それは自分自身の嘘や後悔などが綴られています。
この「こころ」はまるまるその手紙で最終章が綴られて終わりです。
貰った側の若者の気持ちや感想は全く書かれていないという作品でもあります。
この機会に読んでみたい人はどうぞ。
西行について
水木しげるの語釈の説得で活躍する西岡は「西行」と比べられています。
西行は百人一首も選ばれている人で最終的には高野山の僧侶となった人です。
有名な百人一首は「なげけとて つきやものを おもはする かこちがほなる わがなみだかな」です。
意味は「月は嘆きなさいと言っているけれど、自分が泣きたいのは恋のせいだよ」くらいに思っていてください。
まあ、ロマンチックな方なんです。
「旅も恋もたくさんした人」くらいに思っていてください。
西行は僧侶になってもモテモテだったようですよ。
「やなせたかし」も項目へ
アンパンマンのやなせたかし先生も項目に追加されます。
ここで「手のひらを太陽に」の作詞をしたことも紹介されていて主人公のみどりが驚くシーンがありますが、今となっては知らない人も多いんだなと思います。
やなせ先生は「生きる尊さ」を作品に埋め込むのが本当に上手です。
みどりは「ちしお」が「血潮」ではなくて「血塩」で「血と塩で何故ここで調味料?」と思っていたそうです。
ここで初めて分かったという事でしたが、辞書で言葉の意味が深まったエピソードでもあります。
BSドラマ概要(各話感想)
各話感想を書いています。
話数をクリックしてください。
サブタイトルは特にありません。
話数 | 概要(公式サイトの説明より) | 初回放送 |
第1話 | 辞書づくりに13年かけるとは | 2024年2月18日 |
第2話 | “恋愛”の語釈をどう考える | 2月25日 |
第3話 | 水木しげるは辞書に収まるか | 3月3日 |
第4話 | 辞書に載せる河童の絵の謎 | 3月10日 |
第5話 | 「からかう」って何? | 3月17日 |
第6話 | 紙の辞書は廃止? | 3月24日 |
第7話 | ブックデザイナー登場 | 3月31日 |
第8話 | 用例採集は100万枚以上! | 4月7日 |
第9話 | 全項目チェック開始 | 4月14日 |
最終話 | ついに「大渡海」刊行 | 4月21日 |
配信
用語集
用語 | 読み方 | 意味 |
舟を編む | ふねをあむ | 「辞書」を「作る」 |
大渡海 | だいとかい | 辞書のタイトル |
玄武書房 | げんぶしょぼう | 出版社の名前 |
月の裏 | つきのうら | 馬締の妻・香具矢の小料理屋 |
からかう | からかう | 山梨の方言「手を尽くす」という意味 |
用例採集 | ようれいさいしゅう | 初めて知った言葉と意味をコレクションしていく(膨大な作業) |
典型的な例 | てんけいてきなれい | 多くの人が納得する例(但し、時代による変遷も) |
俗語表現 | ぞくごひょうげん | 最初は間違った表現をしていたが世間に広まって正しい表現に逆転する |
キャスト変遷
原作は2011年に発表されましたが、様々なメディア展開がされています。
原作、映画、アニメでは主人公は馬締光也ですが、ドラマでは岸辺みどりに変更されています。
赤文字が主役です。
読み方 | 映画 (2013年) |
アニメ (2016年) |
ドラマ (2024年) |
概要 | |
馬締 光也 | まじめ みつや | 松田龍平 | 櫻井孝宏 | 野田洋次郎 | 辞書編集部員→主任 |
林 香具矢 | はやし かぐや | 宮﨑あおい | 坂本真綾 | 美村里江 | 馬締の思い人→妻 |
荒木 公平 | あらき こうへい | 小林薫 | 金尾哲夫 | 岩松了 | 辞書編集部ベテラン |
西岡 正志 | にしおか まさし | オダギリジョー | 神谷浩史 | 向井理 | 宣伝広告 |
佐々木 薫 | ささき かおる | 伊佐山ひろ子 | 榊原良子 | 渡辺真起子 | 契約社員 |
タケ | たけ | 渡辺美佐子 | 谷育子 | 草村礼子 | 香具矢の祖母 |
岸辺 みどり | きしべ みどり | 黒木華 | 日笠陽子 | 池田エライザ(主役) | ファッション誌→辞書編集 |
宮本 慎一郎 | みやもと しんいちろう | 宇野祥平 | 浅沼晋太郎 | 矢本悠馬 | 辞書用紙の開発 |
三好 麗美 | みよし れみ | 池脇千鶴 | 斎藤千和 | 西岡と交際→結婚 | |
松本 朋佑 | まつもと けいすけ | 加藤剛 | 麦人 | 柴田恭兵 | 国語学者 |
BSドラマキャスト
主要キャスト
役名 | 役者 | 概要 |
岸辺みどり | 池田エライザ(幼少期:宮崎莉里沙、矢野朔子) | 主人公:読書モデル→ファッション誌編集部→辞書編集部。 |
馬締光也 | 野田洋次郎 | 苗字が「まじめ」なので「主任」と呼ばれる |
五十嵐十三 | 堤真一 | 玄武書房の代表取締役社長に就任。死神と呼ばれる? |
西岡正志 | 向井理 | 宣伝部 |
渡瀬凛子 | 伊藤歩 | ファッション誌「VIVIAN」編集長→ウェブ編集長へ |
荒木公平 | 岩松了(43年前:加治将樹) | 馬締を辞書編集部にスカウトした張本人 |
佐々木薫 | 渡辺真起子 | 用例採集などをデータ化する契約社員。息子も辞書オタク??? |
天童充 | 前田旺志郎(8歳時:眞島煌芽) | アルバイトの現役大学生。辞書に対して体育会系のノリ |
松本朋佑 | 柴田恭兵(43年前:細田善彦) | 日本語学者 |
宮本慎一郎 | 矢本悠馬 | 辞書の紙を制作する会社の社員 |
馬締香具矢 | 美村里江 | 馬締の配偶者。みどりの大家。「月の裏」の料理長。 |
秋野蘭太郎 | 勝村政信(子供時代:藤田要) | 明峰文化大学 教授。水木しげるの信奉者。ヲタムちゃん。 |
ハルガスミツバサ | 柄本時生 | 中身が白紙でも売れるブックデザイナー。ヲタムちゃんの友達。 |
松本千鶴子 | 鷲尾真知子 | 松本朋佑の妻 |
中村昇平 | 鈴木伸之 | 岸辺みどりの彼氏 |
みどりの家族 | ||
若葉 | 森口瑤子 | みどりの母 |
慎吾 | 二階堂智 | みどりの父 |
萩原さつき | 金澤美穂(幼少期:安田世理) | みどりの姉 |
その他 | ||
岸辺真帆 | 野呂佳代 | 慎吾の再婚相手、妊娠中。みどりに優しい。 |
ゲスト
話数 | 役名 | 役者 | 概要 |
第1話 | 市川真由子 | 木越明 | みどりのファッション誌編集部時代の同僚。みどりをハブる |
松戸明日菜 | 中村加弥乃 | ||
美浜恵梨香 | 西野凪沙 | ||
第2話 | 男性 | 飛田一樹 | 辞書部アルバイトの天童充のパートナー |
第3話 | タケおばさん | 草村礼子 | 香具矢の祖母。「早雲荘」の大家。故人 |
少年 | 村上秋峨 | 秋野教授の空想シーンの少年。水木しげるを図書館で調べる。 | |
島崎義久 | |||
第4話 | 夏川実 | 肥後克広 | 辞書の挿絵画家。2年前に死去。挿絵の赤ちゃんの頭は天パ。 |
(息子が天パ) | |||
夏川颯太 | 戸塚純貴(幼少期:白鳥廉) | 夏川の息子。イラストレーター | |
学生アルバイト | 澤奈央、六車勇登、北澤響、田村魁成、上川拓郎 | 天童の後輩たち。アルバイトに駆り出される。ノリは体育系。国文科。 | |
客 | 望月寛子、羽野敦子 | みどりの母の美容院の客(回想) | |
客 | 市川理矩、星川祐樹 | 松本、荒木がいたお蕎麦屋さんに来た客 | |
リポーター | 田中宏美 | お蕎麦屋さんでつけられていたテレビに出ていたリポーター。「睡眠負債」という言葉を発する→用例採集へ | |
見習い | 曽根翔斗 | 香具矢の店の見習い | |
第5話 | 小林愛斗 | 阿久津将真 | 「うむん」が何かを調べる少年。人と関わるのが苦手。 |
小林恵美 | 村川絵梨 | 愛斗の母。 | |
萩原杏、萩原桃 | 山本紗々萊、室伏凛香 | みどりの姉のさつきの娘たち | |
女の子 | 木村日鞠 | 愛斗に辞書を取られそうになって泣き出してしまう女の子 | |
第6話 | 小堺、安田 | 師岡広明、古川順 | 辞書の紙を作る現場スタッフ。 |
りょんぴー / 如月涼太郎 | 遠藤健慎 | アイドル、読者モデル時代のみどりが付き合っていると匂わせたと誤解され炎上。(炎上したのはみどり) | |
役員 | 中野剛、世志男、潟山セイキ | 玄武書房の役員、辞書のデジタル化を推し進めようとする | |
女性 | 兼安愛海 | みどりと天童の「ジーションズ」の写真を投稿。 | |
飯田智明 | 安藤広郎 | 八国堂国語辞典の辞書編集者。SNSのフォロワーが10万人を超えている。 | |
中澤実子 | |||
第7話 | 編集長 | 大場泰正 | シニア向け雑誌・悠々楽々の編集長。紙の雑誌にこだわる |
秘書 | 新上貴美 | 五十嵐社長の秘書。 | |
車椅子バスケ | 米田敬、齋藤尚徳、渡部創 | 車椅子バスケをしていた | |
第8話 | 山目満治 | 松田龍平 | 株式会社サイバーブレス システム開発部 チーフエンジニア(名刺の肩書) |
辞書のデジタル化する会社の人。映画版の馬締さんがこの役に! | |||
アナウンサー | 住田洋 | 「令和」という新元号を伝えた時のアナウンサー | |
伊藤海月、長野天音 | |||
最終話 | 医師 | 西野大作 | 松本先生に副作用の症状を説明する |
女子高生 | 安達木乃、山本藍 | みどりとすれ違いざまに「キャパい」と話す二人の女の子 | |
野上絵理、涼凪、源田愛莉那 |