(1)初回放送日: 2024年2月18日
岸辺みどり(池田エライザ)は、大手出版社・玄武書房のファッション誌編集者。仕事熱心だが、ある日突然、辞書編集部への異動を命じられ、知らない言葉にやたら食いつく上司・馬締光也(野田洋次郎)や、日本語学者の松本先生(柴田恭兵)、社外編集の荒木(岩松了)らと共に、玄武書房初の中型辞書「大渡海」の編纂に関わることになる。慣れない辞書作りに戸惑うみどりには、同棲中の恋人・昇平(鈴木伸之)が唯一の癒しだが…。
https://www.nhk.jp/p/funewoamu/ts/GZ8RQ7PNJ1/episode/te/6Q5WK5Z7KY/
舟を編む
「舟を編む」の意味
「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」
それでも意味は分かりにくくないですか?
舟はそのまま「舟」という意味ですが、この場合は「辞書」を比喩的に表現しています。
「編む」というのは「たくさんの文章や言葉を集めて書物を作る」という意味合いもあります。
「舟を編む」という言葉は「辞書を作る」という意味をとてもドラマチックに表現した言葉だと思います。
主人公は女の子に?
「舟を編む」の主人公は一貫してマジメな青年・馬締 光也(まじめみつや)です。
原作もアニメも映画もずっとマジメ青年が主人公です。
でも、今回は女の子で「岸辺みどり」です。
オリジナルキャラクターかと思えば、実は物語の終盤から出て来る女の子です。
今までは辞書の「大渡海」が刊行された後に入ってくる女の子です。
原作では
前半:「辞書が出来るまで」と
後半:「辞書が出来てから」になります。
今回のドラマは「主人公の年齢や人間関係は後半」「話の内容は前半」と大きく改変されているなと感じます。
マジメな馬締青年は中高年になっています。
そして、大好きな女性とは(多分)所帯を持っています。
(注意:多分と思うのは第1話のエンドクレジットでマジメ青年の妻らしき人の姓が旧姓のままだったからです)
それにしてもマジメのキャラクターだけは安定しています。
原作、アニメ、映画、今回のドラマも含めて全くブレがありません。
大きな改変点
恋物語は岸辺みどりとその周辺で
マジメな馬締が岸辺みどりと恋をしてしまうと不倫になってしまうので、岸辺みどりの恋愛はちょっと違います。
その同年代の男の子だったりします。
みどりは読書モデルからファッション誌に就職。
自分なりに頑張ってきたのだけれど、辞書の部門に異動になってしまいます。
(ファッション誌はwebで残るものの人員は縮小されたため)
辞書の部門から異動になった途端にファッション誌の元同僚からはハブられ、同棲していた彼にも出ていかれてしまいます。
これも、これまでの彼女の無意識の人を見下した態度がアダとなってしまったのです。
「なんて」という言葉の意味には「軽視」や「無視」する気持ちが込められている事が分かりました。
無意識に見下していた言葉…それは「なんて」という言葉でした。
辞書作りに参加し、辞書の言葉「なんて」を読むように勧められた事でした。
今まで使ってしまっていた「なんて」という言葉にはたくさんありました。
・ご飯食べている時間なんてないかも
・朝から電話する余裕なんてないからさ~
・辞書なんてどれも同じ
・後にしてカメラなんて
・朝日なんて
・片付けなんて
・つくりたいなんて
今まで関わってきた人たちを軽視してきたことを自覚します。
彼が出て行ってしまったのも、友達だと思っていた人たちに軽んじる言葉を浴びせ続けていたのです。
そうなれば、言われ続けた方は、見下され続けていると思って自己肯定感も下がります。
一緒にいたくなくなります。
みどりは彼と同棲時にお金も多く出していたんでしょう。
その代わりに「自分の都合を最優先」させていたのでしょう。
女に貢がせてさっさと出て行ってしまった彼は酷い男だったかもしれませんが、みどりも結構酷い女でした。
でも、この救いは「彼女自身が気が付いた事」です。
自分の失敗を「言葉」を通じて自分で気が付いたみどりが大好きになりました。
みどりに異動を言い渡したファッション誌の編集長が「みどりのファッション誌での最後の仕事」の本を見つめます。
編集長が褒めた「くすんだピンク」がそこにはありました。
ファッション誌の廃刊で一番辛かったであろうこの編集長はみどりの長所を見込んで辞書の部門におくったのかなと感じました。
希望の持てる始まりです。
往年のファンの賛否はあると思いますが、暖かな優しい始まりになったと思います。
「大渡海」とは?
肝心かなめの事ですが、辞書のタイトルは「大渡海」と書いて「だいとかい」と読みます。
「広辞苑」や「大辞林」と同じように辞書そのもののタイトルです。
BSドラマ概要(各話感想)
各話感想を書いています。
話数をクリックしてください。
サブタイトルは特にありません。
話数 | 概要(公式サイトの説明より) | 初回放送 |
第1話 | 辞書づくりに13年かけるとは | 2024年2月18日 |
第2話 | “恋愛”の語釈をどう考える | 2月25日 |
第3話 | 水木しげるは辞書に収まるか | 3月3日 |
第4話 | 辞書に載せる河童の絵の謎 | 3月10日 |
第5話 | 「からかう」って何? | 3月17日 |
第6話 | 紙の辞書は廃止? | 3月24日 |
第7話 | ブックデザイナー登場 | 3月31日 |
第8話 | 用例採集は100万枚以上! | 4月7日 |
第9話 | 全項目チェック開始 | 4月14日 |
最終話 | ついに「大渡海」刊行 | 4月21日 |
配信
用語集
用語 | 読み方 | 意味 |
舟を編む | ふねをあむ | 「辞書」を「作る」 |
大渡海 | だいとかい | 辞書のタイトル |
玄武書房 | げんぶしょぼう | 出版社の名前 |
月の裏 | つきのうら | 馬締の妻・香具矢の小料理屋 |
からかう | からかう | 山梨の方言「手を尽くす」という意味 |
用例採集 | ようれいさいしゅう | 初めて知った言葉と意味をコレクションしていく(膨大な作業) |
典型的な例 | てんけいてきなれい | 多くの人が納得する例(但し、時代による変遷も) |
俗語表現 | ぞくごひょうげん | 最初は間違った表現をしていたが世間に広まって正しい表現に逆転する |
キャスト変遷
原作は2011年に発表されましたが、様々なメディア展開がされています。
原作、映画、アニメでは主人公は馬締光也ですが、ドラマでは岸辺みどりに変更されています。
赤文字が主役です。
読み方 | 映画 (2013年) |
アニメ (2016年) |
ドラマ (2024年) |
概要 | |
馬締 光也 | まじめ みつや | 松田龍平 | 櫻井孝宏 | 野田洋次郎 | 辞書編集部員→主任 |
林 香具矢 | はやし かぐや | 宮﨑あおい | 坂本真綾 | 美村里江 | 馬締の思い人→妻 |
荒木 公平 | あらき こうへい | 小林薫 | 金尾哲夫 | 岩松了 | 辞書編集部ベテラン |
西岡 正志 | にしおか まさし | オダギリジョー | 神谷浩史 | 向井理 | 宣伝広告 |
佐々木 薫 | ささき かおる | 伊佐山ひろ子 | 榊原良子 | 渡辺真起子 | 契約社員 |
タケ | たけ | 渡辺美佐子 | 谷育子 | 草村礼子 | 香具矢の祖母 |
岸辺 みどり | きしべ みどり | 黒木華 | 日笠陽子 | 池田エライザ(主役) | ファッション誌→辞書編集 |
宮本 慎一郎 | みやもと しんいちろう | 宇野祥平 | 浅沼晋太郎 | 矢本悠馬 | 辞書用紙の開発 |
三好 麗美 | みよし れみ | 池脇千鶴 | 斎藤千和 | 西岡と交際→結婚 | |
松本 朋佑 | まつもと けいすけ | 加藤剛 | 麦人 | 柴田恭兵 | 国語学者 |
BSドラマキャスト
主要キャスト
役名 | 役者 | 概要 |
岸辺みどり | 池田エライザ(幼少期:宮崎莉里沙、矢野朔子) | 主人公:読書モデル→ファッション誌編集部→辞書編集部。 |
馬締光也 | 野田洋次郎 | 苗字が「まじめ」なので「主任」と呼ばれる |
五十嵐十三 | 堤真一 | 玄武書房の代表取締役社長に就任。死神と呼ばれる? |
西岡正志 | 向井理 | 宣伝部 |
渡瀬凛子 | 伊藤歩 | ファッション誌「VIVIAN」編集長→ウェブ編集長へ |
荒木公平 | 岩松了(43年前:加治将樹) | 馬締を辞書編集部にスカウトした張本人 |
佐々木薫 | 渡辺真起子 | 用例採集などをデータ化する契約社員。息子も辞書オタク??? |
天童充 | 前田旺志郎(8歳時:眞島煌芽) | アルバイトの現役大学生。辞書に対して体育会系のノリ |
松本朋佑 | 柴田恭兵(43年前:細田善彦) | 日本語学者 |
宮本慎一郎 | 矢本悠馬 | 辞書の紙を制作する会社の社員 |
馬締香具矢 | 美村里江 | 馬締の配偶者。みどりの大家。「月の裏」の料理長。 |
秋野蘭太郎 | 勝村政信(子供時代:藤田要) | 明峰文化大学 教授。水木しげるの信奉者。ヲタムちゃん。 |
ハルガスミツバサ | 柄本時生 | 中身が白紙でも売れるブックデザイナー。ヲタムちゃんの友達。 |
松本千鶴子 | 鷲尾真知子 | 松本朋佑の妻 |
中村昇平 | 鈴木伸之 | 岸辺みどりの彼氏 |
みどりの家族 | ||
若葉 | 森口瑤子 | みどりの母 |
慎吾 | 二階堂智 | みどりの父 |
萩原さつき | 金澤美穂(幼少期:安田世理) | みどりの姉 |
その他 | ||
岸辺真帆 | 野呂佳代 | 慎吾の再婚相手、妊娠中。みどりに優しい。 |
ゲスト
話数 | 役名 | 役者 | 概要 |
第1話 | 市川真由子 | 木越明 | みどりのファッション誌編集部時代の同僚。みどりをハブる |
松戸明日菜 | 中村加弥乃 | ||
美浜恵梨香 | 西野凪沙 | ||
第2話 | 男性 | 飛田一樹 | 辞書部アルバイトの天童充のパートナー |
第3話 | タケおばさん | 草村礼子 | 香具矢の祖母。「早雲荘」の大家。故人 |
少年 | 村上秋峨 | 秋野教授の空想シーンの少年。水木しげるを図書館で調べる。 | |
島崎義久 | |||
第4話 | 夏川実 | 肥後克広 | 辞書の挿絵画家。2年前に死去。挿絵の赤ちゃんの頭は天パ。 |
(息子が天パ) | |||
夏川颯太 | 戸塚純貴(幼少期:白鳥廉) | 夏川の息子。イラストレーター | |
学生アルバイト | 澤奈央、六車勇登、北澤響、田村魁成、上川拓郎 | 天童の後輩たち。アルバイトに駆り出される。ノリは体育系。国文科。 | |
客 | 望月寛子、羽野敦子 | みどりの母の美容院の客(回想) | |
客 | 市川理矩、星川祐樹 | 松本、荒木がいたお蕎麦屋さんに来た客 | |
リポーター | 田中宏美 | お蕎麦屋さんでつけられていたテレビに出ていたリポーター。「睡眠負債」という言葉を発する→用例採集へ | |
見習い | 曽根翔斗 | 香具矢の店の見習い | |
第5話 | 小林愛斗 | 阿久津将真 | 「うむん」が何かを調べる少年。人と関わるのが苦手。 |
小林恵美 | 村川絵梨 | 愛斗の母。 | |
萩原杏、萩原桃 | 山本紗々萊、室伏凛香 | みどりの姉のさつきの娘たち | |
女の子 | 木村日鞠 | 愛斗に辞書を取られそうになって泣き出してしまう女の子 | |
第6話 | 小堺、安田 | 師岡広明、古川順 | 辞書の紙を作る現場スタッフ。 |
りょんぴー / 如月涼太郎 | 遠藤健慎 | アイドル、読者モデル時代のみどりが付き合っていると匂わせたと誤解され炎上。(炎上したのはみどり) | |
役員 | 中野剛、世志男、潟山セイキ | 玄武書房の役員、辞書のデジタル化を推し進めようとする | |
女性 | 兼安愛海 | みどりと天童の「ジーションズ」の写真を投稿。 | |
飯田智明 | 安藤広郎 | 八国堂国語辞典の辞書編集者。SNSのフォロワーが10万人を超えている。 | |
中澤実子 | |||
第7話 | 編集長 | 大場泰正 | シニア向け雑誌・悠々楽々の編集長。紙の雑誌にこだわる |
秘書 | 新上貴美 | 五十嵐社長の秘書。 | |
車椅子バスケ | 米田敬、齋藤尚徳、渡部創 | 車椅子バスケをしていた | |
第8話 | 山目満治 | 松田龍平 | 株式会社サイバーブレス システム開発部 チーフエンジニア(名刺の肩書) |
辞書のデジタル化する会社の人。映画版の馬締さんがこの役に! | |||
アナウンサー | 住田洋 | 「令和」という新元号を伝えた時のアナウンサー | |
伊藤海月、長野天音 | |||
最終話 | 医師 | 西野大作 | 松本先生に副作用の症状を説明する |
女子高生 | 安達木乃、山本藍 | みどりとすれ違いざまに「キャパい」と話す二人の女の子 | |
野上絵理、涼凪、源田愛莉那 |