100分de名著~ドラキュラ~ブラム・ストーカー

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グレース
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ドラキュラと聞いて?
吸血鬼?トランシルバニア?ルーマニア?ドラキュラ伯爵?
心臓に杭を打たれると死ぬ?
このデフォルトを形成した本作に迫ります。

(1)「ドラキュラ」の誕生

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ブラム・ストーカー“ドラキュラ” (1)「ドラキュラ」の誕生
初回放送日NHK教育テレビジョン10月6日(月)午後10:25
ドラキュラ発刊当時アイルランドでは支配層としてイギリスから派遣され土着化した「アングロアイリッシュ」が没落。イギリス人でもアイルランド人でもない彼らはマイノリティとして自らのアイデンティティをどこに求めるか葛藤していた。アングロアイリッシュである作者は社会から異質なものとして疎外されつつあったマイノリティを「ドラキュラ」という怪物を描くことによって掬い上げようとした。第一回は、執筆背景に迫る。

(2)排除される女性たち

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ブラム・ストーカー“ドラキュラ” (2)排除される女性たち
初回放送日NHK教育テレビジョン10月13日(月)午後10:25
最初の被害者ルーシーは新しい生き方をする女性として際立っており、当時活躍を始めていた結婚せずに自立して生きる「ニューウーマン」という存在を象徴している。男性社会の中では蔑称としておとしめられていた存在。マイノリティ性を自覚していた作者はルーシーを同情的に描いている。吸血鬼と化した彼女を白人ミドルクラスの男たちが集団で杭打ちするシーンは当時のミソジニー(女性嫌悪)的な風潮を揶揄(やゆ)しているという

(3)境界線上の人々

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ブラム・ストーカー“ドラキュラ” (3)境界線上の人々
初回放送日NHK教育テレビジョン10月20日(月)午後10:25
レンフィールドは担当医スワードからも研究対象として扱われ全くケアを受けられない打ち捨てられた存在。精神感応力でドラキュラとの交信を試み主と仰ぐが彼からも裏切られる。一方のミーナは、ドラキュラの毒牙にかかるものの、人間と吸血鬼のはざまをゆらぎつづける中間的な存在として葛藤を続ける。彼女はドラキュラにさえ「憐れみ」の感情を抱く強い共感能力をもつ。その能力はやがて事件解決のカギを握ることになるのだ。

ドラキュラっぽい人が患者にいた?

レンフィールドという、ドラキュラを彷彿とさせる人物です。
生き物や昆虫なども食べてしまうという異常行動を取ります。
突然叫んだり、奇異な行動を見せたりします。
暴れるのは夜で、昼は比較的おとなしい。
こうしたところが、「ドラキュラかもしれない」と読者に思わせるわけです。

精神を病んでいるレンフィールドは「むしろ弱者」であり、赦しを乞うている存在です。
それを許さないのは医師側が悪いのではないか、と読者に思わせるテクニックがあるのです。

ヴァン・ヘルシングのドラキュラ観

ポリマス=博学者

最先端の医術を取り入れながら、伝承も受け入れる人物でした。
興味深いのは、ドラキュラの特性である「変身すること」や「空を飛ぶこと」を突き止めていた点です。
こうして科学だけでなく心霊的なものや目に見えない世界にも着目する人を「ポリマス(博学者)」と呼びます。

グレース
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このことを指南役の小川先生は、「日本で言えば南方熊楠のような存在ではないか」と述べています。
南方熊楠は細菌学者として有名ですが、民俗学者としての側面も持っており、多方面にわたって博学でした。

ドラキュラにおける男尊女卑

『ドラキュラ』の中では、知的な女性に対しても男尊女卑の描写があります。
一般的な女性だけでなく、博識でドラキュラ退治に貢献した女性に対しても、同様の扱いが見られるのです。

ミーナという女性は、日記を時系列に整理してドラキュラ退治へとつなげていきます。
この地道で地味な作業があったからこそ、作戦は成功しました。
それにもかかわらず、ヴァン・ヘルシングは「男性の頭脳のように素晴らしい」と称えつつ、ミーナの役目が終わった際には「騎士道的に撤退するように」と命じるのです。

実際のところは、「男性のように頭がいい」と言いながら、「女性だから引き際を考えろ」ということになります。
利用されるだけ利用されて、あとはお払い箱のような扱いですね。

グレース
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さて、このミーナがドラキュラの毒牙に襲われたところで、第3回は終わります。
続きはどうなるのでしょうか。

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