100分de名著 日蓮の手紙

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アンコール放送です。難しい仏典ではなくて日蓮からの手紙と言う形式なので多くの人に親しまれやすかったのかと思います。

第1回 人間・日蓮の実像

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日蓮や仏教の事が分からなくても人として学ぶことが多いと思いました。宗教間の違いなどで毛嫌いせずに是非お読みください。

日蓮の手紙 (1)「人間・日蓮の実像」 - 100分de名著
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初回放送日: 2022年2月

法華経こそ末法の時代に苦悩にあえぐ庶民たちを救う最高の経典だと確信した日蓮は二度の流罪をはじめとする迫害にも屈せず「法華経の行者」としての生涯を貫く。そんな彼を支えたのは何だったのか? 日蓮の手紙を読むと、彼が法華経の中に見出した神髄がにじみ出ている。一人ひとりのいのちの絶対的平等性と尊厳性を徹底的に擁護し、その可能性を引き出していくことを教えた法華経の人間観や生命観。それは人々を支配しようとする権力にとっては都合が悪く危険なものだった。それを広めていくと必ず迫害を受けるとも経文には記されている。彼は迫害を受ければ受けるほど自身の正しさが証明されると感じ使命感を深めていったのだ。第一回は、日蓮の生涯や人となりを紹介しながら、法華経を根幹にした彼の深い人間観、人生観に迫っていく。
【指南役】植木雅俊
仏教思想研究家。著書に「法華経とは何か」「今を生きるための仏教100話」「差別の超克」など。
【朗読】山内圭哉(俳優)
【語り】目黒泉

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/116_nichiren/index.html
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今回の指南役の植木雅俊さんは中村元(なかむら・はじめ)さんとの出会いで原始仏教に惹かれ研究を始めたそうです。
中村元さんは多くの仏教の本を翻訳されている方で私自身もとても感銘を受けた方です。

日蓮はとても筆まめな人で300通以上の手紙が残っているそうです。
その手紙をまとめたものが今回の「日蓮の手紙」です。
日蓮の手紙は弟子や僧にあてたものと思いきや、人生相談や生活指導、病の人、子供を失った母親に対する励ましなど一般の人に宛てられたものが多いのが特徴です。

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一般の人々に宛てられた手紙が多いと聞いて驚きました。多くの人が日蓮に普段の悩みを相談していたと言う事なのです。

災害や飢饉が続く中、たくさんの宗教や宗教家が活躍した時代に日蓮も連なりました。

同時期の活躍した宗教家

・道元(曹洞宗)
・栄西(臨済宗)
・日蓮(法華宗)←今回の「日蓮の手紙」
・法然(浄土宗)
・親鸞(浄土真宗)
・一遍(時宗)

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この人たちに通じているのは民衆のために動いたと言う事でした。

「立正安国論」は祈祷や祈りに頼らずに政治家は国民が安穏に暮らせる命を守れると言う事を果たす人だと言う根本的な事を言って当時の政治家にかなり煙たがられたと言う事なのです。宗教家なのに祈るよりしっかり政治をしろと言ったのです。これがきっかけで当時の政府(幕府)の怒りを買い、流罪になってしまう程です。他の仏門の人間によって襲撃される、殺されかける等、大変な苦難を強いられたのです。

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この当時の仏教は私腹を肥やしていると言って良い状態でした。仏門に入っているからと言って民衆の為に働いているとはとても言いがたかったのです。私腹を肥やしている人たちにすると日蓮は目の上の瘤でしかなかったのではと思います。

処刑のはずがどういうわけが流罪になった日蓮。この時に何があったかは正確には分からないそうなのですが、今回の指南役の植木先生によると処刑人が僧侶を斬る事にためらいがあったのではという説を唱えられています。

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僧侶を殺すと罰が当たると言う事でしょうか?

冬の寒い佐渡に流刑にすれば、死んでしまうだろうと思っていた幕府でしたが、日蓮を問い詰めようと佐渡まで来る人が後を絶たなかったのです。その人たちが日蓮と話をするとファンになってしまうのです。

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日蓮をとっちめようと佐渡に渡った人たちがファンになって支援者に変わっていったと言う事でしょうか?当時は一般の人でも佐渡に行くのは困難だったと思われます。そんな中で佐渡まで行ったと言う事はかなりの有力な立場の人か裕福な人間であったと推察します。そういう人たちが支援者になっていったのでは?と思いました。

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第2回 厳しい現実を生き抜く

日蓮の手紙 (2)「厳しい現実を生き抜く」 - 100分de名著
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主君の命令と信仰の葛藤、同僚からの嫉妬や憎悪、親子や兄弟といった家族関係のこじれ等々、人は時になすすべもないような大きな現実の壁に直面する。そんな障害にぶつかったとき人はどうしたらよいのか? 日蓮は、法華経への信仰を重んじながらも、それぞれの状況を事細かに分析して、その人がその立場で最も生かされるような解決法を丁寧に指導する。そこには、宗教者ならではの奥深い人間洞察、社会への深い識見が働いているのだ。第二回は、日蓮の深い人間洞察を通して、職場、家族関係に現れる苦悩や葛藤など厳しい現実を生き抜いていく智慧を学んでいく。
【指南役】植木雅俊
仏教思想研究家。著書に「法華経とは何か」「今を生きるための仏教100話」「差別の超克」など。
【朗読】山内圭哉(俳優)
【語り】目黒泉

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今、生きる私たちへの生きるヒントになると冒頭から始まります。

弟子・富木常忍(ときじょうにん)への手紙より。

日蓮の弟子の中でも、とても優秀だっという富木常忍。
宗派を超えて活動していた日蓮の影響力に恐れをなした幕府はその優秀な弟子を捕らえて日蓮に圧力を加えようとしたのです。
その時の手紙は的確な指示が書かれていました。
当時の幕府の法律である御成敗式目を熟知していた日蓮は捕まった弟子に対して、冷静に振る舞い、争わないように言います。

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日蓮自身が佐渡に流された時に名目にされたのが「悪口罪」つまり幕府の悪口を言ったと言う事ですから、争う口実を与えてはいけないと言うのです。これの方法は今でも通用すると指南役の植木先生はおっしゃいます。

四条金吾(しじょうきんご)への手紙より。

同じく日蓮の弟子。ちょっとカッとしやすい性格。
武芸にも医術にも秀でていた彼は幕府でも高いポジションにいましたが、他の人の妬み嫉みから日蓮の法華経を辞めるように言われます。応じなければ、罰せられます。
日蓮は「主君から召し上げられたら法華経のお布施になる」と言う言葉を含んで陳情書を書きます。
その時にその主君が病気になり医術の心得がある四条金吾に主君は頼るしかありません。
でも、その呼び出しがあった時も日蓮は四条金吾に宛てて本当に呼び出されたかどうか確認してから行くようにと手紙を書いているのです。

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陳情書も書いた日蓮。呼び出しが本当かどうか確認するようにもアドバイスした日蓮はその呼び出しが2回目までは仮病を使うようにと。3回目に呼び出しがきたら使いをやって本当かどうか確かめてから身を守るように武装していくようにとまで手紙に書いていたそうです。

誠意を貫いて、鎌倉の一般の人々に認めてもらうようにならないと言う事なのです。

池上宗仲と池上宗長の兄弟に宛てた手紙より。

この二人の兄弟は幕府直轄地の武蔵の国にいました。この地は多宗派の勢力が強かったのです。
兄の池上宗仲が法華経の信仰を捨てなければ、家督を弟の池上宗長に譲ると父親に言われたのです。
ここで迷ったのは弟です。兄につけば親不孝になり、父につけば法華経を裏切ることになるからです。
日蓮はその迷いやひょっとしたら弟が家督を継げるという「魔のささやき」もあるだろうと言うことまで見抜いてアドバイスしているのです。

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手紙には振り仮名が振られ、文字に疎い奥さんたちにも読めるようになっていたのではと推測されます。また、この結果、兄は勘当を解かれ、父親も日蓮に帰依したと言うのです。この兄弟だけでなく、家族ごと巻き込んだと言う事なのですね。

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第3回 女性たちの心に寄り添う

日蓮の手紙 (3)「女性たちの心に寄り添う」 - 100分de名著
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日蓮は、当時弱い立場にあった女性たち一人ひとりにも深く寄り添っていく。夫や子供を失って悲しみにくれる女性には、大いなる自然の運航を譬えにした心深く届く言葉で励まし、不浄のものとして差別され自己卑下しがちな女性たちに対しては、法華経に説かれる「女人成仏」の原理を丁寧に説明して、女性こそ最も救われるべき存在だと力づける。日蓮の手紙には、弱い立場、差別される立場の人たちに徹底的に寄り添う温かい言葉に溢れているのだ。第三回は、日蓮が女性たちの心に寄り添った手紙を通して、弱い立場の人々に寄り添うことの大切さを考える。
【指南役】植木雅俊
仏教思想研究家。著書に「法華経とは何か」「今を生きるための仏教100話」「差別の超克」など。
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日蓮の言葉は「男尊女卑」だと言われる事が多いのですが、それはむしろ逆だと言われる植木先生。今回はそれを読み解いていきます。

富木尼(ときあま)に宛てた手紙

第2回にも出てきた富木常忍(ときじょうにん)。その妻、富木尼(ときあま)は子連れで富木常忍と再婚します。病気がちで床に臥せることも多かった彼女は自分を卑下しがちでした。しかも非情な90歳を超える姑がいたので富木尼は気後れしてしまっていたのです。

そんな富木尼に日蓮が送った手紙。
夫を生かすも殺すも妻の力次第であると解釈することが多かったこの手紙ですが、植木先生はむしろ逆であると言うのです。
日蓮は富木尼に対して「あなたの夫を見ていれば、あなたが立派である事が分かる」と書かれてあるのです。
日本男性はあまり女性を褒めないので日蓮もまた富木尼の性格を分かっていたのです。そして、「あなたの夫はあなたに感謝している」という文言をわざと書いているのです。

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日蓮は女性の立場をよく考えていると伊集院さんのコメントがあります。

四条金吾の妻に宛てた手紙

月経が穢れと言う考えにただの生理現象で命をつなぐための大事なものだと日蓮は言います。
日本に入ってきた「ある宗教」の中で女性は出産や月経の時に血を流すから穢れていると言う考えが広まってしまったのです。
日蓮はそういった荒唐無稽なことは言わず、現実的な事で女性を励ましています。

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厄年も特に関係ないと、宗教側から言った日蓮。厄年はそのくらいの年齢になるとガタが来るからと言う伊集院さん。厄年は経験則だと言う植木先生。私も統計的な事だと思います。

日妙尼(にちみょうあま)に宛てた手紙

「日本第一の法華経の行者の女人」を書かれています。
熱心な日蓮の信奉者であった彼女は佐渡に流された日蓮を自分の子供を連れて訪ねたと言うのです。

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当時、佐渡に渡るのは簡単ではなかったはずです。そこへ女性が子供を連れて来ると言うのは相当な苦難であったと思います。そんな彼女を「日妙聖人」(にちみょうしょうにん)とまで言って称賛した日蓮。「常不軽菩薩」(じょうふきょうぼさつ)という法華経にしか出てこない菩薩で「あなたを軽んじません」という菩薩です。日蓮自身も我が身に引き当てて読んでいた菩薩をも彼女になぞらえているのです。女性をここまで褒める事は当時なかっただろうと思います。

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第4回 病や死と向き合う

日蓮ほど、弟子たちの「死の悲しみ」や「病の苦しみ」に向き合った人は稀だ。家族を失って絶望の底にいる人々にはとことんまで一緒に悲しみ、自らの死や病についても端然としてありのままを受け入れていく。その背景には日蓮独自の深い死生観がある。日蓮は生と死が生命の二つのあり方であると考えた。波が生まれたり消えたりしても海そのものがなくならないのと同じように、人間はある時は生きているというあり方をとり、ある時は死というあり方をとるが、その人の「生命本体」は一貫している。この「生死不二」という立場に立つとき、私たちは死というものと本当の意味で向き合うことができるという。第四回は、日蓮の「死生観」を通して、人間は、病や死とどう向き合っていけばよいか、真の意味で人生を全うするとうはどういうことかを考える。
【指南役】植木雅俊
仏教思想研究家。著書に「法華経とは何か」「今を生きるための仏教100話」「差別の超克」など。
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【語り】目黒泉

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老い、病、死について書かれた手紙もとても多かったそうです。
それだけこういったテーマは今も昔も人の世の悩みのトップクラスだと言う事なのですね。
最後の回は日蓮の死生観に迫ります。

富木尼(ときあま)への手紙。

第3回にも出てきた富木尼自身が病に伏せてしまってマイナス思考になってしまった時に励ましの手紙を書いています。
今まで頑張ってきたあなたが死ぬはずがないと言うのです。

植木先生の解説ではこういう時人は「世界で一番不幸なのは私だ!」と思うのが通常である。
しかし、そこから他へ目を向けて自分と同じような境遇にいる人に思いをいたしたときに自分の悩みを乗り越える事が出来ると言うのです。
利他的な立場に立つことが重要。

上野尼(うえのあま)への手紙。

両親や夫、子供にも先立たれた上野尼。
法華経に帰依しますが、苦難を強いられます。
日蓮はともに悲しむと言う姿勢だと言います。

仏教は諸行無常でいつかはなくなると言う事なのですが、それを苦しんでいる人に直接言うのは酷です。
ですが、日蓮は直接、説教するのではなく、現実を言う事で寄り添う形を取っているのです。
日蓮自身も同じように悩んでいたのではと推察します。

波木井実長(はきいさねなが)への手紙

霊山浄土(りょうぜんじょうど)という言葉が出てきます。
原点に戻る事によって自分の永遠の命、清らかな命に立ち返っていき浄化されていくと言う意味です。
日蓮自身が死に直面した時に同じように生と死を行き来して考えたのか?と。

日蓮自身は60歳で亡くなり、身延山から見守ってくれています。

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恩師、中村元(なかむらはじめ)のことも話します。亡くなって22年になるそうなのですが、「守られているかな」と感じる事もあるそうです。

「生きている時にいかに立派な生き方をしたのかという事が一番大事ですよ」と「真の自己に目覚めなさい。一人の人間として磨いていきなさい」と言う事を日蓮は言いたかったのではと結ばれこのシリーズは終わります。

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余談と最終的な感想

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最後に余談となりますが、中村元(なかむらはじめ)先生はたくさんの経典を日本語に翻訳し、仏教の研究をされた方です。
仏典や経典の翻訳は大変難しいものが多いのですが、一般人にも分かるように発行された本もたくさんありました。
私自身が、人間関係に死ぬほど悩んでいた時に中村先生の翻訳された「シンガーラへの教え」に触れ、あの「釈迦」をして付き合わなくていい人間がいるのだと知り、ものすごく驚いたのです。
「みんな仲良く」と言われるとばかり思っていたからです。それを読んで心のつかえが取れる思いでした。仏教は意外に綺麗ごとばかりではなく、現実的な部分もあり、今も昔も人の世も変わらないのだなという思いを今回の「日蓮の手紙」でも感じました。

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