進撃の巨人33巻 地鳴らしは進撃の巨人の未来の記憶。未来は変えられない?ミカサのマフラーがない事に気が付くアニ。ハンジは心臓を捧げる。エレンとの交渉は決裂。ファルコはジークの記憶を観る。進撃の巨人に追いつくアルミン達。

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グレース
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あらすじと感想。原作の順番に準拠します。
アニメと原作では話数や分かりやすくするために話が前後しているものが多いようです。
ここでは原作の順番を優先して、分かりにくい部分は私の解説と感想を加えて書いていきます。
多角的に読まれることも多い本作品ですので、ここでの解説も私個人の一つの解釈に過ぎない事を前提としてお読みいただけますと幸いです。

あらすじと感想

前巻の第32巻はこちら

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第131話 地鳴らし

ハリルとラムジーの二人の少年は木の根元に集めたお金を見ています。そのお金はスリで稼いだお金でした。ラムジーはスリをしたせいで左手を切られていました。そんな中、街の人達が逃げているのに遭遇します。地面が響いているのを感じます。「地鳴らし」です。

エレンの回想にうつります。旅行者としてマーレを訪れたその時にエレンは進撃の巨人の道を通して未来を見ていました。エレンはこのすれ違う人々を地鳴らしで踏みつぶしていくことを知っていたのです。そして、スリの少年ラムジーが捕まって大人たちから制裁を受けているのに遭遇します。エレンはこのラムジーを大人たちから助ける事も知っていました。それも自分の未来の記憶です。素通りしようとしますが、結局は少年を助けるエレン。未来は変えられないのです。少年に礼を言われますが、エレンは泣きながら「ごめん…」と言います。

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エレンの回想は第31巻・第123話「島の悪魔」の頃の話です。エレンがあった時と今回でラムジー少年が大きくなっています。エレンが「ごめん…」と言いながら泣いたのは地鳴らしでこの少年を踏みつぶしてしまう未来が決まっているからです。また、エレンにそれを回避することは出来ませんでした。エレンにとって大切なのは島の仲間たちでした。ミカサやアルミンをはじめとする島の住人と外の住人を比べた場合、エレンはミカサやアルミンのいる「島」を選んだのです。

地鳴らしに遭遇するラムジー達と街の人々。必死で逃げますが、高い山も越えて来る巨人たちになすすべもありません。皆、踏みつぶされていきます。

エレンがラムジー少年に語った言葉が描かれます。エレンが見た外の世界の現実はかつてアルミンがキラキラして目で教えてくれた世界とは違っていたのです。「壁の外で人類が生きていると知って…オレはガッカリした」というのです。

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エレンにとって外の世界はアルミンが教えてくれた世界とは違ったのです。エレンは進撃の巨人を通して未来も見えますが、歴代の進撃の巨人の過去の記憶も継承しています。ですから、父のグリシャの記憶も踏襲しています。父が幼い頃、収容区で悲惨な少年時代を過ごした事を知ります。父グリシャが妹を連れて収容区を出たばかりに妹が惨殺された記憶も見たのです。エレンにとって外の世界はきらびやかな世界ではなかったのです。

地鳴らしの後方から巨大な骨格の「進撃の巨人」になっているエレンはアルミンと外の世界の話を思い出しながら、人々を踏みつぶしていきます。

そして少年の姿に戻ったエレンが「自由だ」と両手を広げて嬉しそうにしています。
「なあアルミン」とアルミンに呼び掛けた瞬間、道が開けアルミンも「…エレン」と反応します。でも、それは一瞬の事でした。

重大なネタバレ

実はこの時にエレンとアルミンは対話を続けています。
一旦はアルミンの記憶から消えます。
エレンの死後、アルミンは記憶を取り戻します。
その記憶の内容はエレンと共に地獄に落ちるという事でした。詳しくはこちら

現実に戻り、アルミンはオディハへ行く途中の船上にいます。アニに声を掛けられます。
アニは硬質化している間、ずっと話しかけてくれたアルミンに礼を言います。硬質化している間、意識があったのです。アルミンとヒッチの話だけが楽しみだったのです。アルミンはアニに会いたかったからだと告白します。どうしてか分からないと言うアニ。でも、少し赤くなります。

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アニはあまり感情なく戦って人を殺す事だけが良い事だと思って生きて来たので感覚的に分からないのです。でも、少しずつ感情が芽生えてきているのかなあと思いました。

アルミンが「良い人」だと言うアニにアルミンは「良い人っていう言い方がやっぱり嫌いだ」と言います。アルミンも大勢の人を殺してきたのです。軍人だけでなく、子供も自分の仲間も殺したのです。

そして、アルミンもまた外の世界が「自分たちが夢見た世界とは違った」と言います。でも、アルミンは「まだ、僕らが知らない。壁の向こうがあるはずだと…信じたいんだ」とエレンを思いながら言うのです。

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エレンが壁の外に希望を持てなかった事と同時にアルミンも自分たちが夢見た素晴らしい世界でもなかった事を感じていたのです。ただ、アルミンはそれでも希望を持ちたいという姿勢を感じます。

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第132話 自由の翼

飛行艇を曳航しオディハに到着した一行。この街も人々が逃げてしまった後で静かでした。
アズマビトに協力を頼むハンジ。ヒィズルを頼むと言うアズマビトのキヨミ。

飛行艇を引き上げる一同。飛行艇についていた爆弾を切り捨てようとするとアルミンは何か使えるかもと言って残すことを提案します。
同行していたファルコが現実を受け入れられず泣き叫びます。家族や仲間たちを失った事が受け入れられないのです。そばにいるガビはかける言葉もなく、ピークも分からないと言います。

外にいるアニにミカサが声を掛けます。新しい立体起動装置に慣れておいた方がいいと言います。アニは「降りる」ことを変えないようでした。そしてアニもアルミンに気持ちがある事にミカサは気が付きます。飛行艇にも乗らなければ、アニとアルミンも分かれることになってしまうのです。そして、アニはミカサがマフラーを巻いていない事に気が付きます。ミカサは「持っているけれど。今は…巻いていない」と答えてその場を去ります。

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アニがアルミンを好きだという気持ちに気が付くミカサ。ミカサが大事にしていたマフラーを付けてない事に気が付くアニ。今までこういう愛情に疎かった二人がお互いを思いやるシーンだったと思います。

重傷を負っていたリヴァイが動き出します。心配するアルミンでしたが、リヴァイは起き上がって歩きます。またイェレナの意識が戻った事を告げ、エレンの行く先を吐かせると言います。ピークもそれに賛同します。

イェレナは今回は素直に従いました。最終的にスラトア要塞に行くであろう事も。飛行船を潰しに来るだろうことも。
それでも、イェレナのジークへの信奉は揺らいでいませんでした。「安楽死計画」しかないと信じていたイェレナ。この惨状を見てやはりそれは正しかったと言うのです。それを認めてほしいと。
ハンジは他の解決策をエレンに示せなかった自分自身の無力さを認めていました。

あと1時間ほどで飛行艇が飛び立とうとしていたその時にピークはファルコとガビをキヨミに託します。
ミカサ、アルミン、ジャン、コニー、ハンジも装備の点検をします。リヴァイも装備を付けて戦う準備をします。
アニはピークとライナーと別れを済ませます。

あとは飛び立つだけとなったその時、銃声が聞こえます。フロックが飛行艇に撃ったのです。フロックは船にしがみついてここまで生きてやってきたのです。ミカサの一撃で倒れるフロック。フロックの銃で燃料タンクに穴が開いたのです。また溶接が必要になりました。あと1時間かかります。地響きがします。「地鳴らし」がそこまで来ているのです。

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フロックの執念はまたも飛行艇を足止めさせます。

このままでは飛行艇を飛ばす時間がありません。誰かが足止めをしなければなりません。ハンジはアルミンを次の団長に任命し、ありったけの武装をします。
リヴァイは「心臓を捧げよ」とハンジに言って見送ります。

ハンジは飛び立ちます。地鳴らしの巨人を見つめて「ああ…やっぱり巨人って素晴らしいな」と言い、巨人をなぎ倒していきます。飛行艇の溶接はギリギリで間に合い、エンジンをかけ機体を押し出しながら飛び立ちます。

ハンジは巨人を何体も倒していきますが、巨人の蒸気に巻き込まれ、炎に包まれて死んでいきます。
離陸した飛行艇の中で泣くアルミン達。リヴァイは「…じゃあな。ハンジ」と呟きます。

ハンジは死んだあと、先に死んでいったエルヴィンたちに再会します。飛行艇は飛び立ったと聞き、安堵するハンジ。エルヴィンたちと飛行艇を見送り、話を始めます。

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ハンジが死んでしまうとは思いませんでした。厳しい戦いは続きます。

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第133話 罪人達(つみびとたち)

ハンジの死を悲しむのも束の間、スラトア要塞を目指します。燃料も半分しか入れられませんでした。でも、オニャンコポンは必ず基地まで届けて見せるとハンジの遺志を受け継ぎます。

作戦を立てるアルミン達。強大化し、骨格だけになった進撃の巨人を見たのはリヴァイとピークだけでした。でも、これではエレンの本体が何処にあるか分かりません。エレンは戦鎚せんついの巨人も継承しているため、本体をうなじ以外の所に置くことができる可能性もあるのです。
リヴァイはエレンがジークを介して「始祖の巨人」を支配しているからジークを先に殺してしまえば地鳴らしが止まるのではと言います。ハンジはそう考えていたと。リヴァイはジークを自分で仕留める決意を更に固めます。
ジャンもコニーも仲間を殺してきました。無意味な殺戮に出来ないのです。またコニーもライナーに「辛かったな」と初めて語ります。「同じ」立場になったのです。そして、レべリオ襲撃の夜にエレンとライナーが再会した時にライナーもエレンに同じことを言われたのです。

そしてライナーはエレンの本心は「止めてほしいんじゃないのか?」思うに至るのです。アルミンも不思議に思っていました。エレンはすべてのエルディア人に影響を与える事が出来るのです。ですが、巨人化できるアルミン達はそのままなのです。自由にさせているとアルミンは考えます。

その時にまたエレンの声が聞こえます。エレン何とか止めようと必死に説得するアルミン達。でも、エレンは自由を得るために世界から自由を奪うと言うのです。だけれど、アルミン達からは奪わないと言うのです。エレンの声の先にいたのは少年時代のエレンと始祖ユミルでした。どうしても戦う事を選ぶと言うエレン。交渉は決裂してしまいました。

場面は変わってアズマビトの船にいるアニとキヨミ。ジークとエレンを結び付けたのは自分で大殺戮を招いたしまったとキヨミは言います。この大殺戮を招いた罪をあがなうすべなどなないのだと。

「どうして…失う前に気づけないものでしょうか。ただ…損も得も無く他者をとうとぶ気持ちに…」

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キヨミのこの言葉が突き刺さります。

アニにガビとファルコが話しかけてきます。ファルコは自分がジークの記憶を観たと言うのです。ファルコは顎の巨人を継承していますが、ジークの脊髄液を飲んで巨人化しています。ですから、ジークの記憶と共に「獣の巨人」の特徴があるのではと考えるのです。それは雲の上を飛んでいた記憶。ファルコは巨人化した自分が空を飛べるのではないかと感じていたのです。
巨人化してスラトア要塞に行くと言い出します。ここで巨人化したら船は沈没します。巨人の力を制御できていないファルコが本当にできるかどうか分からないとアニは猛反対です。
でも、キヨミは船が沈んでも構わないと言い出します。後悔はしたくないのです。

スラトア要塞の飛行船を目指してレべリオ区のエルディア人たちがマーレ人の列車に乗っています。アニの父、レオンハートがマーレ人の運転手に銃口を突きつけています。列車の中にはファルコの両親、ガビの両親、ライナーの母、ピークの父もいました。
ですが、スラトア要塞の飛行船はどんどん飛び立っていきます逃げるために飛行船が無くなってしまいます。そして、ここにも地鳴らしが近づいてきます。
飛び立った飛行船は地鳴らしに向かっていきました。地鳴らしの巨人たちに爆撃をしようとしていたのです。

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第134話 絶望の淵にて

兵士たちに守られたヒストリアの出産シーンから始まります。

世界中の人々が必死で逃げています。ですが、地鳴らしは止まりません。

飛行船に乗って逃げようとスラトア要塞に到着したレべリオ区の住民たちはすべての飛行船が出撃している事を知ります。
ライナーの母、カリナは息子を復讐の道具にしてしまった事を悔います。
爆弾を積んだ飛行船隊は地鳴らしの進撃の巨人に向かっていきますが、反撃されてしまいます。進撃の巨人にぶら下がっているジーク(獣の巨人)が投球で全滅させたのです。
スラトア要塞にいるレべリオの住人たちは死を覚悟します。

その時に飛行艇がやってきました。アルミン達です。もう燃料はギリギリです。でも、操縦しているオニャンコポンは不時着するから始祖の巨人の真上まで舵を取ると言い切ります。
獣の巨人が投球してきました。ジークの居場所が分かったのです。これで探す手間がなくなりました。目標を獣の巨人とし、アルミン達は降り立ちます。ライナーとピークは巨人化して降り立ちます。
そして、アルミンは「エレン…もう一度質問させてくれ。『君のどこが自由なのか』って。そこから引きずり出した後…」と問いかけます。

最終巻に続きます。

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アニメ化部分

The Final Season(ザ・ファイナル・シーズン)完結編・前編として放送。
通算88話。
The Final Season(ザ・ファイナル・シーズン)としては29話。

#88 (29) 第一章 地鳴らし 2023年3月4日
  第二章 罪人たち 第一章、第二章が1時間番組として放送。
注意!

アニメのタイトルでは「第二章」が「罪人たち」となっています。
原作では第133話で「罪人達」と全部漢字表記です。

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