魔女の宅急便2024~地上波放送を観ての感想~

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グレース
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魔女の宅急便(1989)公開アニメが2024年に地上波再放送された時の感想です。
有名なお話なのでネタバレ全開で書いていきます。
自分自身の思い出が中心となりますことをご了承ください。

一番最初に観たその日

魔女の宅急便が公開された時に私は試写会で観ています。
これがケチの付け初めで、実は騙されて観に行っているんです。
すごく「嫌な子」がいて嘘ばっかりで約束は守らない子でした。
実はその当時アニメの好きな子たちでみんなで観に行こうと約束していたんですね。
その「嫌な子」もその当時は仲間うちの一人でした。
「魔女の宅急便の試写会が当たったからあげるよ。行ってきな!」とまるでサービス精神旺盛で親切に見せておいて実は私をハブる計画だったわけです。
私は「みんなで行きたいから」と何度も断ったのですが、「嫌な子」は諦めません。
何が何でも私を仲間外れにしたかったんでしょうね。
私は泣く泣く一人で試写会に行く事になりました。

一人で行った試写会は楽しいものではありませんでした。
やっぱり寂しいし、当時のジブリ作品はぎりぎりまで調整するというスタンスだったので「試写会」と「公開」の映像は違ったのです。
試写会は未完成の作品でした。
まあ、そんなこんなで、一人ぼっちで観た「魔女の宅急便」
「嫌な子」には恩着せがましく「試写会を譲った」とずっと言われてしばらく嫌な思いをしました。
でも、この「嫌な子」は他の人達にも嘘をつきまくって約束を守らない子だったので結局はみんなに嫌われる事になりました。

その後の事は知りません。

ニシンのパイの女の子

アニメ映画の中に「ニシンのパイが嫌いな女の子」が出てきます。
折角の誕生日なのにそんな嫌いな「ニシンのパイ」を送ってくるおばあちゃん。
おばあちゃんは孫の為にやった事かもしれないけれど、孫の気持ちはそこまで考えていないのです。
おばあちゃんに悪意もありませんが、この「ニシンのパイが嫌いな女の子」(孫)にも悪意はないのです。
ここで孫の方をかばうと私が悪人のように思われるかもしれませんが、折角の誕生日のプレゼントなのに喜べないものを送ってくるおばあちゃん。
孫の方も「またか…」という気持ちがあるんですね。
プレゼントは相手が喜んでくれないとあんまり意味がなくなってしまいます。
無用の長物であったり、いらないものでは相手は喜びません。

魔女の宅急便の中では「ニシンのパイ」の為に尽力したキキやおばあちゃんの方を視聴者が観ているから孫が悪いように映りますが、孫の気持ちからすると素直な気持ちなのですよね。

トンボたちとの仲良しグループの中の女の子の一人でもありました。
キキとトンボが街中でこのグループと出会った時にその女の子が
「あの子知ってる。宅急便やってる子よ」と若干マウント気味で言うわけです。
自分たちと年齢が同じくらいなのに何で仕事しているなんてかわいそうと言わんばかりです。
視聴者側からすると本当に嫌な女の子ですよね。

グレース
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でも、私は彼女の気持ちが痛いほど分かります。
折角のバースデーパーティなのにおばあちゃんは嫌いなニシンのパイを届けて来る。
おまけに届けてくれた人は自分と歳の違わない女の子で大雨の中、びしょぬれになって現れます。
おばあちゃんのごり押しに孫の方が呆れているわけです。
キキやおばあちゃんが正義で孫が悪みたいな描かれ方や受け取り方をされますが意外や意外そうでもないのです。

宮崎駿の当時のインタビューが出てきたので面白いので引用しておきます

宮崎駿:
老婦人のパイを届けたときに、女の子から冷たくあしらわれてしまうわけですけど、
宅急便の仕事をするというのは、ああいう目にあうことなんですから。
特にひどい目にあったわけじゃあなくてね。
ああいうことを経験するのが仕事なんです。
僕はそう思いますし、キキはあそこで自分の甘さを思い知らされたんです。
当然、感謝してくれるだろうと思い込んでいたのが … 。
違うんですよ。
お金をもらったから運ばなきゃいけないんです。
もし、そこでいい人に出会えたなら、それは幸せなことだと思わなくちゃ …。
別に、映画ではそこまでは言ってませんけどね(笑)。

僕らだって宅急便のおじさんが来たときに
「大変ですねえ、まあ上がってお茶でもどうぞ」なんて、
いちいち言わないじゃないですか(笑)。
ハンコをわたして、どうもご苦労さん、それで終わりでしょ。

ーーでも、女の子の宅急便屋さんなら、違うと思いますけど。

宮崎駿:
いやあ、同じですよ。
だから、僕はあのパーティの女の子が出てきたときのしゃべり方が気に入ってますけどね。
あれは嘘をついていない、正直な言い方ですよ。
本当にいやなんですよ、要らないっていうのに、またおばあちゃんが料理を送ってきて、みたいな。
ああいうことは世間にはよくあることでしょ。
それはあの場合、キキにとってはショッキングで、すごくダメージになることかもしれないけど、
そうやって呑み下していかなければいけないことも、この世の中にはいっぱいあるわけですから。

ジブリの教科書5 魔女の宅急便より

これを読んでいただいても分かりますが、宮崎駿もあのシーンは狙って作っていたわけですね。
「仕事ってそんなものでしょ?」
「誰しも喜んでくれるわけじゃないでしょ?」
って感じでね。

原作とは随分違います

アニメの方は宮崎駿の独特の感性が追加されているので原作を読んでみるとまるっきり印象が違うので驚かれる方も多いと思います。
私自身もアニメを観てから角野栄子さんの原作を読んだので「話が全然違う!」と思いました。
キキの成長物語で、辛い事がいっぱいありますが、暖かな人達に包まれて問題を解決していきます。
原作のキキは何とトンボと結婚して双子の子供を授かります。
ママとして奮闘する物語でキキの物語は終わります。
良かったら皆さんも読んでみてくださいね!

近刊一覧

グレース
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近作はムック本やインタビュー本が多く刊行されています。
どれも明るくて優しい角野栄子さんのものになっています。
ムック本は買い逃すとなかなか購入出来ないので手に入るうちにどうぞ。

丸ごと1冊が角野栄子さん
すごく素敵な笑顔です
今まで創作に関わった方々の
こぼれ話が満載です
何と角野栄子さんの半生が映画化されます
この本は事実上の原作本???
表紙の角野栄子さんが「カラフルな魔女」のそのままです
幼い頃のご両親のお話
ブラジル時代の思い出
紀伊國屋書店で働いていた時代もあったとか!
「芸術は爆発だ!」の岡本太郎さんとの遭遇記まで!
エッセイ集が何と全ページカラーです
何ともかわいらしい表紙です

魔女の宅急便