「ケーキの切れない非行少年たち」とは?
「ケーキの切れない非行少年」と聞いて何を想像しますか?
まるいケーキを3等分にすると言うことが理解できない子供たちがいるのです。
「3つに分ける」のではなくて「3つ、同じ大きさにする」これが理解できないのです。
本の帯にも図で書かれています。
「3等分」、大体120度くらいずつのベンツのマークのようになればいいのです。
それが出来ません。
境界知能とは?
例えば知的障害であれば、IQ(知能指数)は70未満とされます。
この場合は治療も積極的に受けられますし、療育手帳などももらえます。
行政の支援が受けられると言うわけです。
ですが、治療をけるほどでもない、障害という程でもないと言う子供たちの中に一般に溶け込むことが困難な人達がいます。
それを「境界知能」と言います。
一般的には「ボーダー」と言われて少しずつ認知されてきています。
「ボーダー」という言葉なら聞いた事があると言う人もいるかもしれません。
悪い事をしたと言う概念がない?
この本は犯罪を犯し、少年院など収監された子供たちに向かい合う精神科医から見た話です。
冒頭の「ケーキの切れない」子供たちは、犯罪を犯し、捕まって獄中にあるその時でさえ「犯罪を犯した」という概念がないのです。
強姦でさえ、良い事をしていると思う子供たち
本書の中には衝撃的な話が繰り返されます。
罪を犯して少年院にやってくる子供たちなのですから、問題があるのは否めません。
但し、悪い事という概念がない子供たちは「強姦」でさえ、「相手を喜ばせている」と言うのです。
善悪の概念がないのです。
これは読んでいても衝撃が大きかったです。
ドラマ化・開示された内容のまとめ
放送予定 | 2023年6月20日 | |
時刻 | 午後8時から午後9時39分 | |
NHKBS1 | ||
原作 | 宮口幸治 | |
脚本 | 山口智之 | |
役名 | 俳優 | |
小平恵 | 小林桃子 | 主人公・境界知能 |
六麦克彦 | 平岡祐太 | 精神科医 |
小平里美 | 工藤夕貴 | 主人公の母 |
開示されている内容より。
- ドラマ化の主人公は高校生の女の子。
- 彼女も境界障害。
- 子供の頃から勉強が苦手。
- 友達も少ない。
- おまけに万引きなどの犯罪を子供から繰り返す。
- そして妊娠。
- 収監されてしまう。
- この少女に向き合う精神科医。
- そして少女の母親。
開示されている情報はこの辺までです。
この子がもし、適正な治療や教育を受ける事が出来たら、違う人生もあったのでしょう。
ドラマチックに書かれるだろうことが予想されますが、こういう子供は少なからずいるのです。
ドラマ化された部分は少女が主人公となります。
少年院に収監される子供たちは少年(男子)の方が圧倒的に多いのに敢えて少女に設定した部分に批判もあるようです。
視聴率狙いであろうが、ドラマチックにかかれようが、まず「境界障害」という概念を一般的に強く知らしめることが必要だと思うので多くの人に見て頂きたいと言うのが私の願いです。
境界障害は被害者になるケースがほとんど
この本やドラマで描かれるのは罪を犯してしまった子供たちです。
ですが、現実として境界障害の子供たちはイジメのターゲットであったり、犯罪の被害者になる事の方が圧倒的に多いと言う事実もご留意頂きたいです。
境界知能だから犯罪を犯すと言うわけではありません。
彼らは被害者になる事の方が圧倒的に多いのです。
発売当時の感想を書いたTwitter
教育や更生をするにしても、基本的な善悪が分からないとなると前提条件を揃えるまでにどれだけ大変かと言うことを感じた作品です。
多くの人が「こういう人もいる」と言う現実を知る事で社会全体が改善されて行く事を切に願っています。
本書はマンガ化もされています。
原作はビジネス本として2冊出ています。
マンガは5冊出ており、分かりやすくするために登場人物に名前を付けてドラマチックに再現しています。
(もちろん名前は偽名)