月がある~木塩鴨人~感想と自分の話

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■ SNSで出会った、重すぎる1冊

SNSで流れてきた1冊の本。
いじめや貧困、心に寄り添う本だという。
書いたのは、国語の先生をしていた人。
なんと作者ご本人とのやり取りもあって、何とか表題作を読み切りました。

テーマが重くて、なかなか読み進められない……。

1冊の本の中に、自分に重なることが多すぎて、少し読んでは閉じ、また開いて読むということを繰り返した本です。
表題作を読むのにも2か月かかりました。
思わず挫折しそうになったとき、正直な思いを書いたら、作者ご本人から励ましの言葉をいただきました。

この作品を書くのにも10年かかったので、じっくり読んでもらえるのはかえって嬉しい、と言ってくださったのです。
こんな遅読の一読者に、そんな言葉をいただけるとは。

グレース
グレース

頑張って、その日のうちに読み終えました。

■主人公の不器用さが、自分と重なった

自分に刺さったのは、いじめと友達がいないことです。
主人公は、不器用で人付き合いがうまくできないことで、折角できた友達にも距離を置かれてしまったりするのです。

仲良くなった友達に、ずっと仲良くしてほしくて、誓約書のようなものを書かせようとしてしまうシーンがあります。
第三者から見れば、そんなことをしてかえって嫌われるのは道理なのですが、友達がなかなかできない不器用な人間からしてみると、真剣そのものなのですね。
結局、それで折角できた友達とも距離を置かれてしまうのですけれど……。

私自身も、とにかくそういう面で非常に不器用です。
せっかく仲良くしてくれた人たちを、自分の一方的な思いで不意にしてしまったことも、たくさんあったのかな……。
そう自分を振り返りました。

■ いじめと、味方になってくれない大人たち

いじめもなかなか強烈で、一度ターゲットになると「こいつは、いじめてもいい」という雰囲気になってしまうのです。
私もそうでした。
先生も味方にはなってくれないのですね。
適当に話だけ聞いて、なかったことにするようなことは、普通にありました。

貧困の連鎖とは残酷なもので、親でさえ味方ではないのです。
親も不倫はするわ、育児放棄はするわで、救いがないのです。

■ それでも「悪の道」に進まなかった理由

そのなかで、この主人公は落ち込みもするし、つらい思いも山ほどするのだけれど、「悪の道」には進まないのです。
これが、すごいと思いました。
ここまでの貧困だと、勉強はしなくなるし、犯罪に手を染めることも珍しくないからです。
主人公は、なぜここまで曲げずに生きていけるのだろう。

それは、本が好きだったから。
これに尽きるのだと思います。

私も本が好きでした。
子どものころからたくさんの本を読んで、今も読んでいます。
別の世界に行けたり、想像力を働かせて現実逃避をしていたといえば、そうかもしれません。

図書館だけが自分の世界だったといってもよかったかもしれません。
そういうところで、この主人公とはオーバーラップする部分が多かったのかもしれません。

■ 国語の先生と、目指せなかった教師という道

学校の先生には散々裏切られていたけれど、思えば国語の先生だけはよくしてもらったかもしれません。
本を読むということだけは、認められていたのかな。

私自身も教師を目指したことがあります。
免許だけでも取っておこうと、大学4年のときに一念発起して、教職のカリキュラムを受けることにしました。
ですが、担当教師の嫌がらせに遭ってしまい、辞めることになりました。

当時の学生は、教職の課程を取っておきながら、ほとんどの学生が出席しませんでした。
私だけが出席するという授業も、少なくなかったのです。
それを、事もあろうか、出席している私に対して怒りをぶつけてくる教師がいたのです。
今で言えば、非常に問題のある行動だったと思います。

ですが、担当教師の圧力に負けてしまい、私は「辞めます」と言って、教職の授業には二度と出ませんでした。
私は戦う術も知らず、そのまま私の大学生活は終わってしまいました。
あの教師には、恨みしかありません。
大学卒業の日、私だけが辞めさせられていたことが分かりました。

■ 「誰か一人」がいてくれたなら

あのとき、誰か寄り添ってくれる人が一人でもいたら……。
あれから何十年も経ってしまったけれど、やり直せたらなあと何度思ったかしれません。
まあ、私の味方はいなかったのだから、やり直しても同じことになっていたとは思いますが……。

グレース
グレース

そんなことを当時を思い返して、嫌な夢を見てしまったりもしたのですがね(笑)

■ 本に挟まれていた「お礼」の紙

この本を読み進められなかった理由の一つとして、1枚の紙があります。
本に挟んであったその紙には、「お礼」と題されていました。
そこには、作者が病魔と闘っていることなどが綴られていました。

教師時代は、高校の演劇部の顧問もされていたと伺っています。
こんな先生に教わったら、私の人生も違ったのかな……と思いました。

■ 大成功ではなくても、真っ当に生きたということ

特に大成功した人生でもないかもしれません。
ただ、まじめに真っ当な道を歩いたということだけかもしれません。
でも、それで良いのです。
私も何一つ残せたものも、残せそうなものもありませんが、それでいいのです。

グレース
グレース

本の感想ではなくて、本を読んで私の人生を語ったということになってしまいましたが、自分の大成しなかった人生も否定しなくて良いのかな…という地点に到達しました。

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