
桜の素敵な装丁に惹かれて購入した本です。
ラノベかなと思ったら思いのほか重厚で嬉しい誤算でした。
ネタバレにならない程度に私の感想を書いていきます。
タイトルでネタバレ?
こういう話を聞いて結末を知りたいとかネタバレを聞きたいという人も多いと思います。
はっきり言っておきます。
タイトルがネタバレです。
さらに内容紹介でほぼ本編の主軸も語られています。
ブラック企業でうまくいかず死にたいと思っていた男性と末期がんで余命幾ばくもなく生きたいと思っていた女性があるきっかけで入れ替わってしまう。
入れ替わったままだとしても元に戻ることができたとしても、どちらかが死んでしまう。

ざっくりとこういう話です。
最近のあのアニメでも似た設定が?
こういう話は「とりかえばや物語」などで日本でも古来から馴染みのある話で、昨今では「君の名は。」なんていう
話題になった長編アニメでもあった話です。
「君の名は。」も男女入れ替え物語でしたが、時期がずれているためにリアルタイムで彼らが触れ合うことは難しかったのですが、これはちょっと違います。

リアルタイムで入れ替わってしまったために「自分のもう一人」の姿がわかる上に、連絡を取り合うこともできます。
ただし、自分とは違う人間なので、連絡を取り合うことも工夫しなければいけません。
その工夫の仕方がなるほどと思うことも多いのです。
男性側はひとり暮らしだったのですが、女性側には夫も子どももありました。
家族があるからこそ違和感に気づかれることも多く、特に子どもは鋭くて「ママじゃない」とすぐさま気がつくほどです。
ですが、夫の方は「そんなことがあるわけがない」と思っているので、違和感を感じながらも妻に献身的に尽くします。
この様子を読んで「映像化で見たい」と思ったのは私だけではないと思います。
入れ替わった男女がそれぞれの立場を見つめ合うときに、映像化した視点ではちょっと違う風景が見えるのではないかと思ったからです。
時代設定は感染症の前後
この物語の面白い部分は、月日と曜日までを明らかにしているのに「年」を明らかにしていないところです。
家族との面会の時間や移動が簡単ではなかったことを鑑みて、猛威を振るった感染症の時期であると思います。
読者の推移におもねる部分もあるのですが、やはり感染症のことに関しては多くの人の心の枷になっているので、明確にしないことも「思いやり」なのかなとは思います。
ですが、この限られた面会時間の中での家族の意思疎通。
さらに、中身は本人ではありません。
自分とは違う人生で「死」しかない状態を受け入れるしかなくなったとき、人はどう受け入れるのか?
受け入れざるを得ないのか?
その辺も考えさせられます。
二人の人生の違い
ブラック企業に行くことになった女性の方は、一生懸命仕事を覚えて、そこそこの成果を上げるようになります。
末期がんになってしまった男性は、必死に治療をし、少しでも寿命が伸びるように頑張ります。

なんと、この二人は入れ替わったことで、それぞれの人生を「元の相手のために」真面目に生きるんですね。
自分じゃないから、他の人のためだから、この二人はお互いのために頑張っているように私は読み解きました。
自分のためだったら投げ出していた命だったのに、投げ出していた人生だったのに、です。
ハッピーエンドかバッドエンドか?
タイトルからしてネタバレなので、いずれかが死に、いずれかが生きます。
ですが、この結末をハッピーエンドと取るかバッドエンドと取るかは、読み手の裁量にかかるかなあと思いました。
「死ぬ」か「生きる」かという二択ではなくて、「自分の人生を生き抜く」ということではないかな、というのが私が受け取った答えでした。

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