2024年上半期の芥川賞・直木賞が発表されました。
ライブの同時中継は発表の時点まででした。
総評や各受賞者のインタビューが発表されたのでレポートしていきます。
私が読んだ感想も上げていますので、これから読むのにどうぞ
受賞者ラインナップ
- 第171回芥川賞・直木賞の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開催された。
- 芥川賞は2名
朝比奈秋(43)「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)
松永K三蔵(44)「バリ山行」(群像3月号)に贈られた。 - 直木賞は一穂いちほ(46)「ツミデミック」(光文社)
おめでとうございます
朝比奈秋さん
元々は常勤の医師だった朝比奈さん。
作品を書くために常勤の仕事を辞めてまでの執筆です。
朝比奈秋さんは京都府生まれ。
「植物少女」で2023年に三島由紀夫賞を受賞。
芥川賞受賞。
受賞作についての私の感想
受賞後のインタビューでも話されていましたが、結合胎児(結合双生児)というテーマを選んでしまった為に、とにかく事例がないという事が大変だったそうです。
物理的に結合している事と精神的にも結合している事での辛さや悲しみ、葛藤があります。
この作品が選ばれた事で見逃されている難病や独特の病気が注目されていけばいいかなと思います。
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
松永K三蔵さん
茨城県生まれ。
関西学院大卒業後会社員として働きながら執筆活動
芥川賞受賞。
お名前をどうやって読むのだろうと思いますね。
「まつなが・けーさんぞう」さんとお読みするのだそうです。
「K」はミドルネームだそうです。
ご家族にKが多いので付けられたのだとか。
三蔵もご家族の名前だそうです。
大切なご家族の名前をミックスしたお名前だったのですね。
第171回芥川賞候補作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。
「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋)
会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。
一穂ミチさん
大阪府生まれ。
何とボーイズラブ小説出身の作家さんです。
3度目の直木賞候補で見事、直木賞受賞になりました。
覆面作家であるのでマスクをしたままでの会見となりました。
こちらの作品は連載中に何作品か読みました。
コロナ禍の中であった犯罪などを小説化したものです。
それぞれは短編で読みやすく、ルポでもドキュメントでもなく小説であるという事に意義があると思いました。
ご本人は受賞後のインタビューでは「小説である事の意義」との問いに「それ以外の表現が出来ない」というようににこやかに答えられていました。
短編集なのでこの本の中からはどこからでも読むことが出来るというのが利点だと思います。
大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」
調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」
渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。
芥川賞はお得に読めます
芥川賞は「文藝春秋」にその全文が発表後に掲載されるために1冊買えば受賞作2作品とも読むことが出来ます。
意外に知られていないお得情報です。
各書評などは「オール読物」に掲載される事が多いのでこちらもチェックです。