フロイトと言えば「無意識」という概念を編み出したという事があげられます。
今ならだれもが知る「無意識」という概念ですが、実はフロイト以降の意外に新しい概念である事に驚いたものです。
今回のフロイトは「無意識」という概念を中心に「夢判断」という本を読み解いていきます。
第1回 無意識の発見と精神分析
フロイト“夢判断” (1)無意識の発見と精神分析
初回放送日: 2024年4月1日『夢判断』は、人間の「無意識」をひとつの論理的構造体として初めて体系的に記述した書物。当時、身体的な原因をもたない心の病の多発が、執筆の大きなきっかけとなる。
フロイトは神経症と呼ばれる心の原因が「無意識」にあることを見いだし、精神分析という新たな治療実践を発明する。同時に、フロイトは自らの夢を素材とする「自己分析」を行うことで、無意識を解明するための「王道」としての夢分析の方法を確立し、『夢判断』においてその理論を体系化した。第一回は、『夢判断』でフロイトが確立した理論の骨格に迫っていく。
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/6N85KLM44Z/
【指南役】立木康介(京都大学教授)…著書に「精神分析と現実界」「露出せよ、と現代文明は言う」等がある。
【朗読】羽室満(俳優・声優)
【語り】加藤有生子(声優)
夢占いと夢判断の違い
夢占いは夢を観た人が占い師の所のに行って自分の見た夢を報告する。
そして、占い師が「蛇が出てきたらこういう意味」とか「イチゴが出てきたらこういう意味」とか占い師が答えを返してくれる。
フロイトの「夢判断」は夢を観た本人に判断・解釈させる。
夢を観た人に夢の中にある意味を発見する所まで行かせる。
自分探しをするために遠くへ行くのではなくてたくさん夢を観てそれについて連想して解釈し分析していく。
その方が自分の事を分かるようになるかもしれない。
ChatGPTに「昨日の夢」を聞いても「AIは夢を観ません」と答える。
夢を観るというのが人間の証明かもしれない。
フロイトのスペック
名前 | ジークムント・フロイト(83歳) |
生年月日 | 1856年5月6日 |
出生地 | チェコ、フライベルク(当時はオーストリア帝国領) |
死亡日 | 1939年9月23日 |
死亡地 | イギリス、ロンドン |
職業 | 精神科医、精神分析学者 |
主な業績 | 現代精神分析の創始者 |
主な理論 | 無意識、エゴ、超エゴ、精神分析的治療、性格形成など |
著作 | 『夢判断』、『精神分析入門講義』など |
影響 | 現代心理学、精神医学、文化理論に深い影響を与える |
無意識に関するスペック
概念 | 無意識 (無意識) |
---|---|
定義 | 意識の外に存在する心の領域。 |
役割 | 行動や思考に影響を与えるが、個人の意識には認識されない |
要素 | ・本能的な欲求や衝動 |
・抑圧された思考や感情 | |
・トラウマや不安が形成する記憶 | |
・文化や社会の影響が反映された深層心理 | |
影響 | ・行動や決断に影響を考える |
・夢の内容や自発的な行動の理解 | |
・精神障害や心理的な問題の理解 | |
検証する | 主に精神分析的な手法を使用して探索される |
発展 | フロイトの理論は、後の心理学や精神医学に大きな影響を与える |
ユダヤ系なのにユダヤ教とは一線を置くフロイト
フロイトは両親も妻もユダヤ系でしたが、
自分自身がユダヤ教に傾倒する事はありませんでした。
関係 | 名前 | 備考 |
父親 | ヤーコブ・フロイト | ウクライナ生まれのユダヤ系の織物業者貿易 |
母親 | アマーリエ・ナターシャ・フロイト | プロイセン生まれのユダヤ系 |
妻 | マルタ・ベルンハルト | ウィーンの裕福なユダヤ系家庭出身 |
娘 | アンナ・フロイト | 精神分析家 |
シャルコーに入門
「科学界のナポレオン」と言われたシャルコーの元に留学。
ジャン=マルタン・シャルコー(1825~1893)
催眠術でヒステリー患者の症例を操作する「実験」で有名
催眠術の実演を観て眠っていても意識がない状態でも心の中で動いている部分があるということは明らかである。
自分の知らない所で活動状態にある思考、心の動き
これを「無意識」と呼んだ。
「夢判断」刊行
フロイト自身は無意識の発見をかなりセンセーショナルなものだと思っていたが、簡単に受け入れられるものではなく、最初の6年では351部しか売れず、初版の600部を完売するまでに8年もかかっている。
精神分析は人間を宗教から脱皮させるという意識はフロイトの中に一貫してあった。
今となっては当たり前の概念となっている「無意識」ですが、
当時は受け入れられなかった事が販売数で分かります。
感想
大富豪の家に生まれたはずのフロイトは父親の事業の失敗と5人の妹たちの面倒をみなければならないという現実的な問題で幼い頃から勉学に勤しんでいた事を初めて知りました。
フロイトの概念で代表的な「無意識」ですが、この概念がすぐに受け入れられた事でないことにも驚きました。
それまでは「無意識」や「潜在意識」などは人々の概念の中になかったから当然の事かもしれません。
今、現在の我々が「無意識」という概念を当たり前のように持っていますが、これもフロイト以前にはなかった意識で、この当たり前の概念もせいぜい100年ほど前に初めて出てきた概念です。
つまりはそれ以前の物語や歴史的な史書などの中に「無意識」という言葉が出てきてはおかしい訳です。
「夢判断」は「夢占い」と決定的に違う所は「夢判断は自己分析」で「夢占いは他者分析」である事も注目点でした。
やはり「占い」は荒唐無稽である部分も多く、レジャーやエンタメとして人が楽しむために扱うという事が良いのかもしれません。
面白いのは「チャットGPT」に「夢を観るか?」と聞くと「AIなので夢を観ない」と即答するという事です。
夢を観るから人間であるという言葉も深いと思いました。
第2回 夢形成のメカニズム
フロイト“夢判断” (2)夢形成のメカニズム
初回放送日: 2024年4月8日フロイトによれば、夢とはひとつの願望充足であると同時に、その充足を偽装して表現する歪(わい)曲のプロセスである。このような分析から、何が見えてくるのか?
夢は、日々の生活で得られるさまざまな印象を素材として利用しながら、願望充足を求める無意識の思考すなわち「潜在思考」を加工し、夢の表面的な内容である「顕在内容」をつむぎ出す。こうした「夢作業」を支える複合的なメカニズムを「圧縮」「移動」「視覚化」「象徴表現」「二次加工」として分類し実例を説明。これはそのまま、無意識の論理の探求でもある。第二回は、フロイトが明かした「無意識の論理」とは何かに迫る。
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/PVXPZ455MJ/
夢に関する4つの発見
フロイト以前は夢は体が見るものだと思われていたのが、「心」が観るという事を提唱。
夢は願望充足
辛いものを食べた後に眠ると冷たい水をごくごく飲んでいる夢を観る。
これを「便宜の夢」という。
実際に起き上って水を飲まなくても夢で済ましてしまう。
水を飲んでいる夢を観れば、その夢を観ている間は起きなくてもいい。
「睡眠願望」を満たしている。
(もっと深層心理に関わる願望が元になっているケースの方が多い)
夢は抑圧された願望の偽装された満足
何故、夢は願望を「歪曲」する?
局所論
意識:心の表面
前意識:思考を検閲
無意識:抑圧されたものの場
無意識の願望は常に意識に侵入しようとする。
抑える力も常に働いていないといけない。
目が覚めている時も働いていないといけない。
夢を観た後に夢を思い出そうとしても思い出せない事が起きる。
フロイトは思い出そうとする心の動きをするものがある。
これを「抵抗」という。
ダジャレのような夢
ダジャレは日本だけでなくフランスでもある。
フランス語だと「警察」を表すのに「滑らかな花瓶」が出てくる。
フランス語で「花瓶」は「ポ」
「滑らかな」は「リス」
二つ合わせて「警察」で「ポリス」という塩梅になる。
客観的なモノは本当に客観的なのか?
現実だと思っているものの尺度がそもそも間違っているかもしれない。
空想や非現実な事であっても患者がそれに固執していている場合はそれを「なめてはいけない」。
それは患者にとっては重要な事だからである。
感想
夢は無意識の概念から生まれるものですが、自分自身で想像もしなかったものが映像として眠っている間に再現されます。
自分の意識が目覚めている時に空想すらしなかったものを自分の頭の中で考えているのですから、潜在意識というものは恐ろしいものです。
嫌いだと思っていた人間を好意的に思ったり、好きだと思っていた人が悪人として出てきたりします。
面白いのは睡眠中の欲望を夢で補って睡眠を継続させているという事も言われました。
この件では私自身も思い当たる事があり、トイレに行きたくなったら、トイレを探す夢を観たりします。
どうやってもトイレを探せなくて私の場合は目が覚めて慌ててトイレに行くわけですが、こういう現象もお持ちの方がいらっしゃったらお話を伺いたいなと思います。
第3回 エディプス・コンプレクスの発見
フロイト“夢判断” (3)エディプス・コンプレクスの発見
初回放送日: 2024年4月15日フロイトが自らの夢の分析から取り出すことができたのは、一般的な夢理論だけではなかった。後世、広く知られるようになる「エディプス・コンプレクス」もその一つだ。
「エディプス・コンプレックス」はフロイトの偉大な発見、彼はこれを無意識的な「心の生活」の中核に位置づけた。これにより彼は無意識における「愛」と「セクシュアリティ」の重要性を明らかにする。そもそも、彼が発明した精神分析は、患者が分析家に抱く「愛」を動的な原理として活用するもの。なぜなら、神経症は、幼児期の愛情生活の破綻に起源をもつからだ。第三回は「エディプス・コンプレックス」とは何かを解明する。
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/5NM7PN2RK5/
参照:エディプスコンプレックスとエレクトラコンプレックスの対比
この章を考えるにあたって参考にしておきたいのが
エディプスコンプレックスとエレクトラコンプレックスの対比です。
何と提唱者は「フロイト」と「ユング」
師弟関係でライバルでもあった二人によるものです。
番組内では特に触れられませんでしたが、面白いので皆さんもどうぞ。
エディプスコンプレックス | エレクトラコンプレックス | |
提唱者 | フロイト | ユング |
名前の由来 | ギリシャ神話のオイディプス | ギリシャ神話のエレクトラ |
対象 | 男性 | 女性 |
エディプスコンプレックスという言葉
エディプスコンプレックスという名前そのものは「夢判断」の中には出てこない。
エディプスコンプレックスの事を認識するのは「夢のなか」であからさまな近親相関の夢を観るときである。
ギリシャ神話の近親相関のエディプス王はフロイトによると誰もが持つ性的な心の動きを母親に持ち父を殺すという行為は「願望充足」であるという。
こういう話は世界中にある。
日本の場合は「源氏物語」など。
(源氏物語の義理の母と主人公との関係)
エディプスは神託を避けるために行動するが、そのすべてが神託に沿うことになる。
つまり、神託は避ける事が出来なかった。
幼児期のセクシュアリティの頂点がエディプスコンプレックス
中二病は良く出来た概念
父親のマザコンが解消されていないと娘が神経症になってしまうケースも。
(娘からすると自分の母よりも祖母を優先する姿を観ているから)
エディプス理論への批判
・神経症よりも重い症状を持って分析家の所にやってくる場合、エディプス理論を用いるとほとんど役に立たないか、逆効果になってしまう。
【原因は三者間(父・母・子)ではなくて、二者間(母・子)だから】
・男の子モデル優先であった。
フロイトは女の子の場合はエディプスコンプレックスの逆であると仮定していたが、実は女の子も同じく最初は「母親」との間で問題を抱える事が後に分かる。
・LGBTQなど、「父、母、子」という概念をベースに出来ないケースも多くなってきた。
同性愛者が養子を迎える場合は「父、父、子」や「母、母、子」という家族関係も珍しくなくなってきた。
同性愛者が養子を迎えるケースはサンデル教授の白熱教室でも議論されています
性の多様性とフロイト
万人が同じ種類の性生活を送らねばならないとする要求は甚大な不公平の源泉になる。
フロイトは性の多様性を提唱している。
この立場で言う事は当時でもかなり踏み込んでいると考えられる。
エディプスコンプレックスはおぞましいもの。
精神分析はおぞましき樹海を這いずり回るプロセス
精神分析が出来ること
神経症の運命的な惨めさをありふれた不幸に変えること
感想
中二病という言葉を流行らせるきっかけを作ったという伊集院さん。
曲解されて今の言葉の意味に落ち着いたと言います。
そんな伊集院さん、20歳を過ぎるまで指をしゃぶる癖が抜けなかったと言います。
これは病気の兄がいて母に甘える事が出来なかった事があったのではと自己分析します。
また立木先生はこの件について
・「最初は乳房に執着」(空腹を満たすため)
・「空腹が満たされる」(満足感から快感へ)
・「快感を得るために乳房を求める」(指しゃぶりであったり、キスなどであったりする)
こういうプロセスではないかと診断しています。
エディプスコンプレックスという概念に私自身が出会ったのはシェイクスピアが引用されていた事からでした。
この大元のソポクレスの「オイディプス王」という話なのですが、最初に読んだ時は吐き気がするほど後味の悪い話でした。
父を殺し、母と関係を持ち、すべてを知った自分自身の目を刺して落ちぶれて行きます。
何処までも救われない話です。
この話を私が全編観たのは舞台でした。
蜷川演出で野村萬斎の主演によるものでした。
舞台は美しいものでしたが、絶望的な気持ちで劇場を離れた思いがあります。
(蜷川演出は大体トラウマになるものが多かったです)
性的な多様性を多分、最初に明文化したのではないかと思われるフロイト。
同性愛、異性愛、両性愛などをこの時点で分析したというのは相当な批判もあったのではと思います。
エディプスコンプレックス。
これ自体はおぞましいものあるという事が前提である事も確かに意識しておかなければならないと思いました。
(そういう人もいる。しかし、それは多くの人に受け入れられるものではないという事です)
第4回 無意識の彼岸へ
フロイト“夢判断” (4)無意識の彼岸へ
初回放送日: 2024年4月22日フロイトは『夢判断』後半で、無意識が大きな役割を演じる「心の中の葛藤」についての理論を展開。心を一つの装置になぞらえた「メタ心理学」を構想する。
フロイトは「快原理」「現実原理」という二つのプロセスから、より克明に「心の中の葛藤」を説明していく。更に晩年、彼は「生の欲動」と「死の欲動」を対立させる欲動二元論の導入によって、それまで説明できなかった「自死」「(他者への)暴力」「(アルコールや薬物への)依存」を解明する手掛かりを得た。第四回は「夢判断」後半で展開される理論と、晩年のフロイト思想の根幹に迫ることで、彼の理論の深い意味を明かす。
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/episode/te/6QK6VW8XWN/
「夢事象」の心理学
抽象度があがるので読み進めるのが辛い人も多いと思われる「最後の章」
それが「夢事象」。
人間の心を「装置」として捉える。
物理的な装置と見立ててその中でどういう力が働いているかどういう葛藤が追いこっているかを話していく。
無意識を中心とする心の仕組み・成り立ちを考える心理学の事
メタ心理学と後に言われるようになる
メタ(ギリシャ語に由来)
背後にある、後に続く、超え出る
=意識の背後の通じる心理学
心的装置の仕組み
第一次過程(快原理が支配するプロセス)
無意識に不快を避け快楽を追求する「快原理」が支配するプロセス
快原理の支配のもとでは「快」の追求は自動的である。
例:空腹の赤ん坊が泣いたり手足をばたつかせたりするのは
ミルクが欲しいという欲求が引き起こす「刺激」を運動によって外部に発散する試みである。
「刺激」の高まりは「不快」←欲求が通らない(ミルクが飲めない)
「刺激」の減少は「快」←欲求が満たされる(ミルクが飲める)
「不快」な場合は「心的装置」が作動し、ひたすら泣いたり、ばたつかせる。(外部放出)
「快」を経験すると快や不快の痕跡が「表象」(記憶像イメージ)として残る。
次にお腹がすいたときはそのイメージを思い出して満足する。
知覚の再出現(幻覚)である。
お腹がすいたら、お腹がいっぱいになった時のイメージを思い出して満足するというイメージでしょうか?
ですが、これでは本当は空腹のままです。
幻覚が満足をもたらす?
イメージでは空腹のまま。
「第一次過程」を修正するシステムが必要になる。
第二次過程(現実原理にコントロールされる)
満足の記憶に対応する対象が現実の中に存在しているか確認しないといけないそのプロセスを「現実検討」と言い、それをつかさどっているのを「現実原理」と言われる2つ目の原理となる。
人生の経過とともに「快原理」よりも「現実原理」の方が優勢になっていく。
それが「心の成長」
「現実原理」が「快原理」に変わっていくとフロイトは想定している。
フロイトが「抑圧」と呼んだものを含む。
「抑圧」=表層や記憶を意識の外「無意識」に押し出すこと。
父親が夢を見続けた理由
息子を亡くした父親は棺のそばで眠ります。
夢の中では息子が現れ、ロウソクが燃えます。
焦げ臭いにおいもしても父親は夢を見続けます。
(本当に火災になりそうになっていたために寸での所で起きる)
父親が夢を見続けた理由
1・息子の姿を観たいという願望
2・眠り続けたい(便宜の夢)
ジャック・ラカンは更に分析
夢遊病でも火を消せるくらい覚醒するパターンはある。
フロイトは「その状況の中で何故夢を見続けたのか」という問いに対して
ラカンは「そのアクシデントのせいで目覚めたという事はもうできない」
「第3の現実」が目覚めさせたというのがラカンの答え。
フロイトが論じなかった夢
夢の潜在思考がないような夢
プリミティブな情動(不安・恐怖)を発散するためだけに形成される夢
例:墜落する飛行機に乗っていてただ恐怖を感じることしかできない夢
(願望充足の夢とは言えない)
フラッシュバック的な夢
PTSD(心的外傷後ストレス障害)のケースに多い夢
(これも願望充足ではない。フロイトにとっては例外)
これらは後世の課題になった。
感想
メタ心理学。
客観的に心理学を考えるという事だと思います。
今脳科学でも言われる「メタ認知」とも通じるように思いました。
無意識(潜在意識)の集合体で夢があるわけですが、この自分が考えていなかった夢の中に現れる深層心理を分析する事でかえってトラウマになってしまう事もあるのですね。
私自身も深い闇の中で考えると余計に暗くなってしまう事もあれば、考え続ける事で吹っ切れる事もあります。
私自身はずっと考え続けて行こうと思っています。
フロイトの晩年はオーストリーからナチスを逃れてロンドンに移ったというのも初めて知りました。
フロイト自身はナチスの魔の手をあんまり真剣に考えていなかったのではという話もありましたが、弟子たちの手でギリギリに脱出しているからです。
少し蘊蓄を加えておきますと、オーストリーはその近年までは「帝国」でした。
王族が支配する世の中です。
ハプスブルグ家と言えば、分かりやすいと思います。
王族の子孫と言えば、この時点で平民になったのはミュージカルでも有名な「エリザベート皇后の孫」の世代です。
この時点でエリザベートの娘も存命です。
王族として国民に答えて手を振っていたバルコニーにナチスがいたという事ですから、オーストリーにとってもこの急激な政変は付いていけなかったのではないかと思います。
また、オーストリーはユダヤ人だからと差別される事も少なかった国なのでフロイトがナチスをなめていて
「自分だけは大丈夫」という気持ちでいても不思議はないなと思いました。
フロイトは自分の考えを母語であるドイツ語で広めたいと思っていましたが、今では英語が主流になっています。
考えてみれば、難しい哲学はドイツ人ばかりですから、フロイトが自分の学問も「ドイツ語」で普及させたいという気持ちがあって当然だっただろうなと思います。他のドイツ哲学についてはこちら
夢は観ただけでは過去にしか通じていないが分析すると未来につながる