「もののけ姫」と「シュナの旅」

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もののけ姫・地上波放送を観て

「もののけ姫」地上波で久しぶりに観ると色々な再発見があった。
主人公のアシタカは終始良い男でブレがない。
本当は許嫁からもらった小刀をサンに贈るという不届き者であったり、タタラ場の女たちの心を翻弄させたりしていた。
まあ、タタラ場の女性たちにはイケメンだからモテていただけなのだが…。

この「もののけ姫」公開当時はものすごい人気だった。
何か月たっても行列は絶えず、この時期は今で言うシネコンではなくて予約も出来ないし、座席指定も出来ない。
チケットを買うのに並んで、座席を取るのにもまた並んでという何とも大変な時代だった。
あの時代には戻りたくないですね(笑)

そんな中でやっとこさ観た「もののけ姫」。
期待が大きすぎて私は結構がっかりしたのですね。

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風の谷のナウシカと共通点が?

今、冷静になって観てみると既に宮崎駿作品を穴のあくほど見ていた私にとって焼き直し的なストーリーだったと言う事だったのです。
どうしても「ナウシカ」と重なるんですよね。
勿論、ナウシカの後に出来た作品なので技術的にはものすごくステップアップしているのです。
CG(コンピューター・グラフィック)が本格的に導入された作品で草原の草にしても一気に動くのです。
これがどうも違和感があったのです。
(この仕様については宮崎駿監督自身も違和感があったようです)
ナウシカと重なった部分と言えば。
・馬ではなくヤックル
・動物と話が出来る少女
・やたらと強い女性が出て来る
・その女性はやたらと優秀
・人に慕われている
・化け物を相手にしている
・一気にイノシシが襲い掛かる(王蟲)
・動物に言いくるめて「良い子」で済んでしまう
・実はハッピーエンドではない

この辺にあったんですね。

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実はハッピーエンドではない?

「もののけ姫」と「風の谷のナウシカ」は有名な作品同士なのでこの対比の説明をする必要はないと思うのですが、最後の一点だけ説明します。
「実はハッピーエンドではない」と言う事です。

「もののけ姫」を観ていてもアシタカはサンに共に生きる事を断られます。
(断られてもアシタカは男前です)
そして、劇中の最終ショットはエボシ様です。
タタラ場の主でそこに住む人たちの指導者であり、主であるエボシが「タタラ場の再生」を言葉にしてこのお話は終わります。
(監督談で、後日行き来はあったという話はあるのですが…)

実はナウシカもハッピーエンドではありません。
ナウシカとアスベルが結ばれるかのように映画は終了しますが、これにも続きがあります。
ナウシカの原作は全7巻に及ぶ大作で映画となったのは第2巻の途中までです。
この後、ナウシカとアスベルは全く別の方向に向かっていきます。
アスベルは土鬼(ドルク)の少女ケチャと結ばれます。
また、ナウシカは森の人、セルムと共に…かな?という感じでハッキリしないのです。

こうやって宮崎駿監督は「王子様とお姫様が結婚しました。めでたし、めでたし」というお話がお好きではないようです。
同じ思いが続く訳がないというシュールな考えを持っていらっしゃるんでしょうか?
割にインタビュー記事や宮崎駿監督自身が書いた文章を読むとそういった事が散見されます。

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「シュナの旅」

宮崎駿監督が書いた「シュナの旅」という作品をご存じの方はいらっしゃるでしょうか?
旅に出ていた青年(ヤックルに乗っている)が囚われた姉妹を救うというストーリーです。
フルカラー作品でアニメージュ文庫から発売。
今も刊行されています。
この表紙を見て頂ければわかるけれど、何となくアシタカやサンを思い起こしてしまうのは私だけではないと思います。
ただ、この女の子の姉妹はサンのように自己主張はなく、大人しい感じです。
表紙は青年が女の子の首の枷を外すシーンです。
囚われた少女を救うというのがいきなり表紙でネタバレです。
ただ、注目してもらいたいのは宮崎駿監督による「あとがき」です。
この話で青年と少女が結ばれる事はないと書き記されていました。
これを読んだ時に「えっ?」と思ったのを覚えています。
ヒーローがヒロインを救う、そしてハッピーエンドという経緯を勝手に想像していた私にとって衝撃的な話だったのです。
「え~~~っ?何で~~~?」
そう思ったのですが、よく考えてみると意外に宮崎駿監督作品ってハッピーエンドじゃないんですよ。
「シュナの旅」「ナウシカ」「紅の豚」「もののけ姫」いずれもヒーローとヒロインが結ばれるパターンがなかったんですね。
意外にここに気が付いていませんでした。

でも、それが現実的かもしれませんね。
ファンタジー作品を次々に書かれている宮崎駿監督が意外に「二人は結ばれない」事がシュールで現実的だなと言う事に気が付きました。

グレース
グレース

作品は今も刊行中で購入可能です。
人気のある作品なので図書館で読むことも出来ると思います。

是非読んでみてください。

楽天ブックス: シュナの旅 - 宮崎駿 - 9784196695103 : 本
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