ドリトル先生航海記は今も映像化され、人気のある作品です。
タイトルくらいは聞いた事があるという人も多いのではないでしょうか?
動物と話が出来るドリトル先生。
そんな不思議なお話です。
普通に動物をコミュニケーションをとる先生に夢中になった人も多いのではないでしょうか?
大人になった今、もう一度読み返して、背景を知るとちょっと違う視点で考える事が出来た作品でした。
各回の詳細は目次からジャンプできます!
ドリトルシリーズの概要
ドリトル先生シリーズの13巻の各巻のタイトルと発表年は以下の通りです
- 『ドリトル先生アフリカゆき』 (1920年)
- 『ドリトル先生航海記』 (1922年) ⇐ 今回の名著
- 『ドリトル先生の郵便局』 (1923年)
- 『ドリトル先生のサーカス』 (1924年)
- 『ドリトル先生の動物園』 (1925年)
- 『ドリトル先生のキャラバン』 (1926年)
- 『ドリトル先生と月からの使い』 (1928年)
- 『ドリトル先生月へゆく』 (1928年)
- 『ドリトル先生月から帰る』 (1933年)
- 『ドリトル先生と秘密の湖 (上)』 (1948年)
- 『ドリトル先生と秘密の湖 (下)』 (1948年)
- 『ドリトル先生と緑のカナリア』 (1950年)
- 『ドリトル先生の楽しい家』 (1952年)
*最後の『ドリトル先生の楽しい家』は、作者ヒュー・ロフティングの死後、夫人が遺稿をまとめて1冊にしたものです。8編収録しています。
作品の概要
『ドリトル先生航海記』は、イギリスの作家ヒュー・ロフティングによる児童文学。
動物と話せるドリトル先生の冒険を描くシリーズの一作。
もともとは戦場から子どもたちに送った絵物語として始まった作品。
生物学者の福岡伸一氏がこの作品の魅力を解説!
今回取り上げられるのは全シリーズの中で一番の人気作品の「ドリトル先生航海記」です。
キャラクター描写と関係性
ドリトル先生は、動物や少年を対等に扱い、尊敬を込めて接します。彼は動物と対話し、知識と経験を通じて、スタビンズに生きる力や知恵を授けます。動物たちも、ただのペットではなく、先生にとってかけがえのないパートナーであり、ユーモアと信頼の絆が感じられます。
作品から学べること
この作品には、大人も共感できる生きるヒントが詰まっています。自然との共生や公平なふるまい、好奇心を持つことの大切さを通して、現代社会にも通じる普遍的な教訓が描かれています。特にフェアネス精神や困難に対するポジティブな姿勢は、大人にも深い学びを提供します。
番組演出・ナレーションの魅力
本番組では福岡伸一氏の豊富な知識による解説が加わり、作品の奥深さがより深く理解できます。また、俳優・溝端淳平氏の朗読や目黒泉氏のナレーションも加わり、物語が臨場感あふれる形で楽しめる構成になっています。
エピソードとテーマ
第1回 ドリトル先生の「フェアネス」
少年トーマス・スタビンズとドリトル先生の出会いを描き、先生が全ての存在を対等に扱う姿勢が強調されます。先生の平等なふるまいは、動物に対する接し方や人間関係にも現れ、フェアネスの大切さを感じさせます。
第2回 「道のり」を楽しむ
航海の途中、友人の救出や動物たちを救うために奮闘する姿を通じて、困難に立ち向かう過程を楽しむ生き方を学びます。ゴールだけでなく、道のりそのものを味わう姿勢が示されています。
第3回 「ナチュラリスト」の条件
クモザル島で、博物学者ロング・アローと出会うエピソードです。自然への探究心や尊敬が「ナチュラリスト」の本質であることが描かれ、ドリトル先生の学びの姿勢が示されます。
第4回 小さな鞄ひとつで軽やかに生きる
島での戦争を平和的に解決し、王として担う責任と自身の夢との葛藤に直面します。最終的に、自分にとって何が大切かを考え、柔軟に生きる姿が印象的です。
全体的な感想
今回の指南役の福岡先生は生物学者なのに文学に対してとても深い造詣をお持ちの方です。
私が福岡先生を初めて知ったのは「カズオ・イシグロ」の解説でした。
文系の方かと思っていたので、生物学者と聞いて非常に驚いたので覚えています。
そんな福岡先生は九州のアクセントでずっとお話になるので、それがまた楽しいのです。
今回の解説もバリバリの九州弁でお話されていたのがとても良かったです。
ドリトル先生の創作のきっかけが戦争の経験からというのも今回初めて知ったエピソードです。
戦争に従軍し、悲惨すぎる現実を知った作者は「平和」を求めて人種や国の別をいろんな動物に例えて表現したのかもしれないというのはとても興味深いモノでした。
また、有名な作品でありながら、今現在になるとメディア化作品が少ないのではないかというのも指摘されました。
この理由は最初の「アフリカ」編などでも一部の人種に対して差別的な表現があるからだというのです。
確かに、それはそうかもしれません。
私も最初にドリトルシリーズを読んだ時の違和感の一つとして感じた事でもあったからです。
ですが、動物たちを通してはドリトル先生はとても公平なのです。
それを思うと矛盾点を指摘される部分もあるのかなあというのも感じました。
ただ、そう言った事を含めて再読してみたい作品です。
私は「井伏鱒二」による翻訳で通読しましたが、今回指南役の福岡先生による翻訳も読んでみようと思います。
*井伏鱒二によるドリトルシリーズは全13巻ですべてのドリトルシリーズを読むことが出来ますが、福岡先生によるドリトル先生は今回の「ドリトル先生航海記」のみとなっています。
番外編『ガブガブの本』も収録。
何と日本初公開のお話も!