2023年5月5日。
ルパン三世「カリオストロの城」がまた地上波で放送。
変わらぬ人気ですが、今までの経験した経緯を書いておきます。
公開当時は鳴かず飛ばず?
1979年の公開当初、あんまり知られた作品でも大ヒットした作品でもありませんでした。
公開している映画館もあんまりなくて、ちょっと暗い感じがしたのを覚えています。
当時の映画産業と言うのは今のようなシネコンと違い、一日中観る事が出来たのです。
座席指定もありませんし、時間指定もありませんでした。
チケットを買って劇場に入ったら、その日は一日中、観たっていいのです。
ただ、現実的には連続して2回観るくらいが限界でしたけれどね。
子供が映画館で映画を観ると言うのはこの当時は「東映まんが祭り」くらいでした。
子供でもさらに低年齢向けの親と一緒に観るのが普通です。
そんな中でこの当時は小学生くらいなら友達同士で観に行ける映画が少しずつ出てきた時代です。
ですが、アニメ映画として「ルパン三世・カリオストロの城」は大人っぽすぎたかもしれないなと今になって思います。
この当時の子供たちが夢中になっていたアニメは「ガンダム」「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「サイボーグ009」など、大半がSFものです。
劇場版化されたものだけでも、ざっと思い出しただけでこれだけあります。
そう考えると、「カリオストロの城」はちょっとジャンルが違うように思います。
事実、公開当初は鳴かず飛ばず。
あまり話題にもならなかったと言うのが正直な印象でした。
人気が出たのは数年後、仕掛け人は鈴木さん?
巻き返しは数年後にやってきました。
アニメ雑誌「アニメージュ」でのアニメグランプリによる投票でした。
これは1979年から始まった徳間書店のアニメ雑誌「アニメージュ」のファン投票によるものです。
投票は雑誌についている葉書に手書きで書くと言う手法です。
この頃、アニメージュの編集部に入ってきたのが鈴木さんです。
あのジブリの鈴木敏夫さんです。
鈴木敏夫さんアニメージュの編集部に入った後、黄金期の編集長になり、その後「スタジオジブリ」を立ち上げます。
興行した年は「ガンダム」にグランプリ1位を獲られたものの、その後「歴代グランプリ」の常連となったのがこの「ルパン三世・カリオストロの城」だったのです。
これは徳間書店の「アニメージュ」ならではの現象だったのかもしれません。
実はこの頃、アニメージュでは「風の谷のナウシカ」が連載されていたのです。
「風の谷のナウシカ」は宮崎駿監督による作品です。
そして、「カリオストロの城」も宮崎駿監督です。
ファンの間では「風の谷のナウシカ」→「宮崎駿」→「カリオストロの城」と次々に脳内変換され、カリオストロの城は歴史的な最高作品として長い間その地位を不動のものにします。
ですが、この作品、すぐにリバイバルともいかなかったし、地上波で放送されてもノーカット版はなかなか放送されません。
当時はレンタルビデオが主流でした。
ビデオデッキ、VHS版と言ったのですが、そういうものがあったのです。
いつもレンタル中でしたね。
それくらい大人気でした。
徳間書店ではそれだけの人気を放っておく訳がありません。
アニメージュ文庫の「あれから4年…クラリスの回想」という本はよく読まれました。
タイトル道理、クラリスの回想となっていますが、後日談などは特になかったと思います。
宮崎駿監督による設定資料や絵コンテ。
インタビューなど、製作の裏側を知る事が出来る1冊です。
今も読む事が出来ます。
クラリスとナウシカは同一人物?
アニメージュの「風の谷のナウシカ」とリンクして「カリオストロの城」がブレイクしたわけですから、このヒロインが比べられないわけがありません。
ヒロインの「ナウシカ」と「クラリス」はとてもよく似ています。
お姫様で、声優は同じ島本須美さんです。
髪型も顔立ちもそっくりです。
ですから、ファンの間では「人違いですから」なんていうネタはお約束でした。
ちなみにクラリスとナウシカは違う人物です。
今にしてみれば、こういった仕掛けも全部、鈴木さんの作戦だったのかなあと思います。
でも、おかげで良い作品に出会えましたし、「カリオストロの城」、「風の谷のナウシカ」以降も鈴木プロデューサーと宮崎駿監督のタッグでたくさんのジブリ作品が生まれたのは皆さんもご承知の事です。
実は「アニメ作品には原作がないといけない」と言われていた時代、それなら「原作を書けばいいじゃないか」と風の谷のナウシカをマンガ執筆し、アニメージュに連載させたのも鈴木敏夫氏だと言う事も付け加えておきます。