表紙に使わせていただいた画像はスタジオジブリの公式素材からお借りしました。
ありがとうございます。
アニメ・風の谷のナウシカは冒頭?
アニメ「風の谷のナウシカ」は原作の7巻中、2巻の途中までのお話です。
実はアニメの話は全体の事からすると話の途中なのです。
アニメは王蟲の大海嘯をナウシカが納め、幸せになりました。
めでたし、めでたし…ですよね?
えっ、あれに続きあるの?
そう思った人も多いでしょう。
アニメの終盤、王蟲の子供(幼生)を囮にして風の谷に王蟲の大軍を突っ込ませるという話になりますが、「どうやって王蟲の子供」を手に入れたのか?という疑問から話の続きはあります。
王蟲は触る事も近づく事も困難です。
そんな中から王蟲の子供をさらってくるなんて事は普通では考えられない事です。
王蟲の子供は王蟲の欠片から培養したものでした。
そんな技術があったんですね。
今のクローンのような感じなんでしょうか?
コンピューターも何もない時代背景に何とハイテクな話なんですね。
この技術は前時代の高度文明の名残であるとかそういう事が分かってくるのです。
また、この前時代の人類たちがナウシカたちの時代をコントロールしようとしていたと言う何とも壮大な話になってきます。
その壮大な話は本書7冊を頑張って読んでみてください。
今も書店でも手に入りますし、図書館でも所蔵されているところが多いので無料で読むことも可能です。
クシャナ殿下、実はいい人?
さて、今回はアニメでは悪役としてとらえられることの多かった「クシャナ殿下」について書いていきます。
クシャナは女性でありながら、有能で武勇に優れた部下たちを率いて風の谷にやってきます。
「殿下」と呼ばれる通り、トルメキア王国の王女です。
実は彼女だけが前王の血のつながった子供です。
他に3人の王子がいますが、この人たちは前王から王権を奪った現王の息子達です。
現王と3人の王子にすればクシャナは邪魔な存在でしかありません。
何かにつけて殺そうとします。
「風の谷のナウシカ」の冒頭で語られるようにクシャナは「風の谷」に進軍します。
ここで、そもそも論です。
トルメキアと言う大国からすれば「風の谷」は辺境の地です。
そんな辺鄙なところに巨神兵と言う何か正体がつかめていないものを押し付けられてクシャナは来ているのです。
ですが、クシャナは司令官としても実行部隊の長としても有能です。
また、そんな彼女に辺境の地へ同行してきた兵士たちもクシャナを慕ってきています。
兵士たちにとっても「風の谷」への進軍は名誉な事ではないのです。
なればこそ、トルメキア軍の統率はすごかったわけです。
クシャナの一言で形成も変わります。
アニメの終盤、トルメキア軍が王蟲に襲われそうになって怯んだ時でさえ、クシャナが巨神兵を連れて現れた時に一気に士気が上がります。
アニメの中で前後の説明がなければ、よく分からなかった人も多かったと思いますが、クシャナもナウシカと同じく人格者だったのです。
どうした化け物!
さっさと撃たんか!
このシーンでトルメキアの兵士たちは一気に士気が上がります。
(アニメでは巨神兵、とけちゃったけれどね)
クシャナのお母さん。
クシャナのお母さんの事はクシャナの回想の中で語られます。
これは原作で読む事が出来ますが、実はこのエピソード、連載中にはなかったのです。
クシャナは進軍する前に母に会いに行きます。
この時点で母は正気を失って、人形を我が子と思って暮らしていました。
我が子はクシャナの事です。
クシャナ自身が訪ねて来た時も我が子を奪いに来たと思い、敵意をぶつけるのです。
それが、自分の子供だと言うのに。
クシャナはそんな母に最敬礼をして戦いに行く事やこれが別れになるかもしれない事を丁寧に告げます。
自分に背を向けたままの母に、クシャナは礼を尽くします。
コミック化に当たり加筆された部分です。
クシャナと言えばこういう鋭い目つきがとても印象的です。
心を病んでしまった実母と対面するときは語り掛けるようにそして礼節を尽くして対峙します。
原作でしか見られないクシャナの顔です。
クシャナの系譜
トルメキア王家の正確な系譜がオフィシャルではありません。
文面中で推測するしかないのですが、トルメキア先王の娘がクシャナの母であったのではと思われます。
つまり、現王と三人の王子は王家の血筋ではないのです。
先王の娘であるクシャナの母を王妃に据える事で、現王となったのです。
王家の血筋はクシャナ一人なのです。
王位の正当性を問われた時にクシャナが邪魔になってくるわけです。
また、クシャナの母が心を狂わせてしまったのもクシャナの代わりに毒を飲んだからなのです。
それでも、勇猛果敢なカリスマ司令官になっていくクシャナ
ものすごく美人で勇猛果敢、鋭敏な最高司令官であるクシャナは兵士たちの圧倒的な支持を受けます。
最初は現王から刺客として参謀に入ったクロトワでさえ、最後にはクシャナに心酔していきます。
そんなクシャナは現王と3人の王子には目の上の瘤でしかありません。
粛清の対象はクシャナだけではなく、クシャナの部下たちにも向けられました。
この時に犬死させられたクシャナの部下にクシャナは自分の髪を切って手向けます。
クシャナはいつしかナウシカの理解者となります。
そして、多くの犠牲と戦闘を繰り返して彼女はトルメキアの統治者となっていきます。
ですが、彼女は決して自分が王位には付かず「代王」であったと結ばれて「風の谷のナウシカ」本編は終わります。
もう一人の主人公
「風の谷のナウシカ」のもう一人の主人公としてクシャナで良いと思います。
アニメでしかクシャナを知らない人は原作を読んでほしいです。
映画化されたのは7冊のうちの2冊分。
アニメ続編を見たいと思う人が多いのも納得の話です。
また、原作本編は周辺国や宗教、たくさんの人々や腐海、蟲だけでなく、蟲と共に生きる人々がどんどん出てきます。
壮大で哲学的な話になってくるので、難しくなってくるのですが、一生に一度くらいは目を通しても良いんじゃないかなと思う大作です。
また、原作も多くの国に翻訳され、外国でもファンが多い作品です。
私自身、ナウシカをよく知る外国の人との交流もあったりしたので、是非読んでほしいです。
電子書籍になっていないので、どうしても欲しい人は豪華版もあります。
豪華版は重いのですが、紙の質がとても良いので価値は高いです!