サイボーグ009・超銀河伝説(1980年)

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グレース
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BS12で2023年5月22日。
「サイボーグ009超銀河伝説」放送。
まさかのノーカット(130分)。
但し字幕なし。
色々思い出のある作品なので感想を書いておきます。
ちなみに1980年公開作品です。

石森章太郎総監督作品

石ノ森章太郎の総監督作品です。
この頃は「石ノ森」ではなくて「石森」でした。
そう言うわけで「石ノ森」「石森」が混在することになりますがこの辺はご愛敬で。

サイボーグ009は石ノ森章太郎がライフワークとして書き続けた未完の大作です。
その話のシリーズごとに話が終わっているものもたくさんありますが、有名な所では「天使編」が中断されたままで終わってしまいました。
掲載誌の廃刊や休止などがあっても色んな雑誌を超えて掲載されました。
そう言うわけなので、重複するエピソードや設定が違ってしまったりもします。

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少年サンデーの最終回

少年サンデー(今では名探偵コナンが掲載されています)で、連載した時は最終回に009と002が宇宙から地球に落ちて死んでしまったと思わせるエピソードで終わっています。
ですから、この話で一区切りと思っているファンたちは最終的に009と002が亡くなったと思っている人も多いのです。
ですが、これには続きがあって掲載誌が変わり、彼らは重傷を負いながらも復活することになります。
今は完全版などの全巻がそろったもので通読できますが、この辺の事情を知らなかった当時の子供たちの間で「009と002は死んだ」論争が結構真剣に行われたのです。
多分、009シリーズを続けるために復活したんじゃないかなと私は思っています。

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009と002は生きていました。

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批判もあったこの作品

さて、「サイボーグ009超銀河伝説」1980年作品は人気絶頂期の作品だったのですが、往年のファンの間ではちょっと批判もあったようです。
その前後にあったテレビ放送のアニメ・サイボーグ009とは随分設定が違ったからです。
テレビ版が少年で金髪です。
映画版が面長で身長も高くなったことで明らかに年齢が上がっているからです。
私としてはアニメ版から映画版になるにあたって丁寧に書かれている事や格好良くなっている事で期待度は大きかったのですが、「イメージと違う」という人が多かったのは事実です。

でも、そんな意見もある中で、私はこの映画「超銀河伝説」大好きです。
子供の頃に学校に持って行った下敷きはこれでした。
当時のチラシをパウチしたものだったと思いますが、随分長い間、大事に使っていた記憶があります。

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原作・総監督は石森章太郎によるものです。

今、見直すと石ノ森ワールド全開です。
オープニングのエイリアン(宇宙人)がやってきて動揺する人々。
女性の髪の毛が逆立って発狂するシーンなんて幻魔大戦にしか見えない。
009に助けを求めて来る宇宙人サバが乗ってくるイシュメール号は流形の線はまさに石ノ森ワールドです。

宇宙人が明確に地球人とは違う設定

石ノ森ワールドの特徴として宇宙人は宇宙人として描かれる事です。
同時代の松本零士作品に出て来る宇宙人は地球人とほぼ同じで皮膚の色が違うくらいだったのが、石ノ森章太郎の宇宙人は昆虫顔の明らかに地球人とは違う面相です。
この辺も仮面ライダーシリーズを描いた石ノ森章太郎です。
仮面ライダーの顔はバッタなど昆虫からインスピレーションを得ています。

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小さいお子さんはご存じないかもしれませんが、仮面ライダーは石ノ森作品です。

音楽はドラクエの人

音楽は「すぎやまこういち」です。
ドラクエの曲と同じ作曲家の人です。
私はすぎやまこういちの曲に最初に出会ったのはこの作品でしたね。
サウンドトラックもそのまま持っていましたが、何度も聞きました。

主題歌、挿入歌も良かったです。
今でも全曲歌えますね。
マイナーで知る人の方が少ないと思いますが。
主題歌は「10億光年の愛」挿入歌は「さらばとは言わない」「愛はまぼろし」の合計3曲です。
全部サウンドトラックには入っていますが、この3曲は森田公一作曲です。

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サウンドトラックの作曲は「すぎやまこういち」
主題歌は別の人です。

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超銀河伝説はこんなお話。

地球に天変地異が起こりだす。
宇宙人(ダガス軍団)が地球を襲おうとしている事が判明。
ギルモア博士は自分たちが作ったサイボーグ戦士たちを招集することを決心。
地球以外の有人惑星も襲われ、SOSを求めて来る。
(コマダー星のサバ)
001とコズモ博士も誘拐され、宇宙に連れていかれる。
その宇宙人が乗ってきたイシュメール号に乗って、はるか宇宙へ向かう。
001や他の博士(他の有人惑星からも能力の高い人がさらわれている)が連れていかれたのは、この人たちの脳のデータをすべてブレーンタップするためであった。
(今のハッキングみたいな感じ)
ダガス軍団の中枢、カデッツ要塞に乗り込み、001とコズモ博士を救出するものの、コルビン博士は既に命を奪われていた。
(コルビン博士はコルビー星からSOSを求めて来たサバの父)
有能な人達からのブレーンタップに成功したダガス軍団の長・ゾアは宇宙を支配するボルテックスに向かう。
その跡を追跡する001の頭脳。
それに連動する009。
ゾアに追いついたが、ゾアは神と同じ能力を持ったが、増強し続けるその欲望に自ら滅んでしまう。
所詮、ボルテックスを制御することなどできなかったのだ。
しかし、追跡していた009はその時にボルテックスの能力を少し使う事が出来た。
その間に全員で地球に戻る事を祈り、その願いは叶う。
地球に無事生還することになった00メンバーたちサイボーグ。
ギルモア博士に迎えられたものの、彼らは004を失っていた。
いきなり、004が現れる。
009がボルテックスの能力を得た時に004の復活を願っていたのだ。
そして、彼らは再会する。
003はパリの舞台へ、009はモナコグランプリへ一緒に行く事を誓ってエンディングへ。

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無茶苦茶、端折りましたが、こういうお話です。

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今更ながらすごすぎた

今になって思うとすごすぎる設定のオンパレードです。
何億光年先にあるか分からない敵の中枢に行くのにスターゲートを通ります。
スターゲートは他のSFではワープ出来、時空を捻じ曲げて何億光年先の敵の場所につくのです。
優秀な人の頭脳をブレーンタップするのも今のデータを抜き取ってバックアップする感覚ですが、すべての脳の中の記憶や知識をコピーすることも出来るはずもなく、壮大な話だったんだなと思います。
ちょっと笑えたのが、宇宙船についた爆弾を005が除去するために宇宙船から外に出ます。
その時に、宇宙服なし(サイボーグだから)命綱だけという驚きの軽装なのです。
爆弾を除去し、爆発させることに成功しますが、大爆発の中の005を誰も心配しないのです。
彼が屈強なサイボーグであっても「それは、ないよ~」と思いました。

これを当時は手作業で全部描いているんですよね。
ものすごく綺麗な作品です。
東映アニメの最高峰の一つですね。
私はこの時代のアニメ作品がとても好きですが、「009」と松本零士の「999」は両方大好きです。

VODや配信ではAmazonPrimeでのみ視聴出来ます。
他ではBlu-ray、DVDが発売されています。
ジャケットがとても綺麗なので、手元に持っておきたい人が多いのかもしれませんね。

地上波初放送時、004は復活しなかった?

テレビで初放送された時に004が復活するシーンがまるごとバッサリ切られていた為に、ここでも「004は死んでいない」論争がありました。
004が自爆して復活したのですが、この時、生身の人間で生き返り、しかも再サイボーグ化すると言う話が「作品の趣旨」と違うと往年のファンからのバッシングがあったと言う事を後になって知りました。

004は特異な存在

石ノ森章太郎の009全シリーズの中でも004は特異な存在です。
「機々械々」編と言う作品で、自分を好きになってくれた女性に自分がサイボーグである事を知られるとバケモノと罵られて終わると言うお話です。
全身が武器である004は他のサイボーグ戦士たちの中でも最も機械化された部分が多いのです。
まあ、その辺を知っていたファンたちにとっては違和感しかなかったかもしれませんね。
私も後々にこの話を知って「なるほど」と思ったのです。

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009と999

「サイボーグ009」と「銀河鉄道999」は比較される事も多かったと思います。
この原作者の石ノ森章太郎と松本零士は同年同月同日の生まれで全くの同い年なのです。
そして同じように機械化された人達を描きます。
ただ、設定は全く違います。
009は強制的に機械にされた人達の話。
999は機械人間に憧れて旅立つ人達の話です。
どちらにせよ、機械化された悲劇なのです。

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戦争の悲劇から始まる物語

サイボーグ009のサイボーグ戦士。
00メンバー(ゼロゼロメンバー)と言われます。
彼らの悲劇は「サイボーグにしてもかまわない人間」とされます。
身寄りがなかったり、罪を犯してしまったり、ただ実験台にされたりと理由は様々です。
ハッキリしているのは自分の意志でサイボーグになった人間は一人もいないと言う背景です。
決して表に公表される事もありません。
普段の暮らしをする時に彼らはとても辛い思いをしながら生きています。
戦争の傷跡と綺麗ごとでは済まない現実が良く描写されていると思います。
今回、映画を観て確かに今となっては差別的な用語や発言があるけれど、彼らが直面した苦しみ悲しみはそんな差別的な言葉でさえ表現できないと思いました。

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キャストとスタッフ(管理人の蘊蓄付き)

  出身国 声優 管理人の蘊蓄
009(島村ジョー) 日本 井上和彦  
003(ランソワーズ・アルヌール) フランス 杉山佳寿子  
001(イワン・ウィスキー) ソ連 白石冬美 旧作の001の声優が復活
002(ジェット・リンク) アメリカ 野田圭一  
004(アルベルト・ハインリッヒ) ドイツ 山田俊司  
005(ジェロニモ・ジュニア) アメリカ 田中崇  
006(張々湖)チャンチャンコ  中国 はせさん治  
007(グレート・ブリテン) イギリス 肝付兼太  
008(ピュンマ ) アフリカ 曽我部和行 キャラデザが大きく変わる
       
ギルモア博士    八奈見乗児 旧作の声優が復活
コズモ博士    永井一郎  
タマラ    鈴木弘子 旧作の003の声優
サバ    小原乃梨子 当時のドラえもん「のび太」の声優
ガロ    大塚周夫  
ゾア    大平透  
       
スタッフ      
原作・総指揮 石森章太郎 この当時は「石ノ森」ではない
脚本 中西隆三    
音楽  すぎやまこういち ドラクエの作曲家  
監督  明比正行    
       
主題歌      
「10億光年の愛」      
挿入歌      
「さらばとは言わない」      
「愛はまぼろし」 主題歌を歌った山本百合子は元アイドルでこの当時は声優に転身していた。
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