チェルノブイリの祈り

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辛すぎる真実の話

グレース
グレース

読後の最初の感想は「はだしのゲン」と変わらないという思いでした。
「はだしのゲン」というのは日本で原爆被害に遭った著者の子供時代を漫画にしたものです。

チェルノブイリの祈りは「チェルノブイリ原子力発電所事故」の当時の記録が綴られたものです。
色んな立場の人から見たこの事故の取材をまとめたものです。
どれも、目を覆うばかりの悲惨な内容です。

私自身の初読時のXです

コミック化にあたり、第1巻は5つの話が紹介されます。
第1話 孤独な人間の声
第2話 プリピャチからの移住者
第3話 兵士たちの合唱
第4話 ドアに記された人生まるごと
第5話 古い預言

事故が起きた当時、その地域の人々に事態の深刻さが伝わっていないという恐ろしさを感じました。
原発事故が起きた後であっても、原爆症の恐ろしさを知らない人々は「自分だけは大丈夫」という安易な思いから、ハグをしたりキスをしてしまったりします。
これであっと言う間に自分自身も同じ状態になってしまいます。
結果、命を落としてしまうのです。
自分の身に授かった命も失っていきます。

担当する医療従事者でさえ、手の施しようがないのです。
ついには見捨てるような発言も散見されるものの、現実として「これ以上のことは出来ない」という事だったのだと思われます。

「はだしのゲン」から「チェルノブイリ」までは40年以上の時間があります。
この間に放射能汚染が人体にどれだけの影響があるかという事を世界の人は分かっていなかったのです。
もし、日本が戦時下に受けたあの悲惨な状況を少しでもこの国の人々が知ってくれていたら二次的な被害だけは防げたのではと考えずにはいられません。

鎮静に当たった兵士たちも訳も分からずに連れていかれています。
当地に入り、処理活動をするものの、みるみる体調を崩していきます。
何も聞かされていないとは言え、「おかしい」と気づき始める兵士たち。
でも、その疑問に上官が答える事はありません。

命からがら帰っても「チェルノブイリ」という言葉を聞くともうまともに相手にされなくなります。
最初は英雄だと祀り上げられていてもそれは表面的な事に過ぎません。

子供を身ごもっている間に被爆した母親もいます。
生まれてきた子供はとても普通の生活が出来る様子ではありませんでした。
医師たちも匙を投げるなか、外国ならだれかが興味を持つかもという言葉に母親はたくさんの手紙を書きだします。
1分1秒でも長く生きてほしい。
その結果、実験的な事をされても良い。
母親の決死の行動は実を結ぶことはありませんでした。
それどころか「補償金目当て」と一蹴されてしまうのです。
そして、精神を病んでいきます。

重度の患者は何かを言い残すことも出来ずに死んで行ってしまい、折角生き残った子供も大人になる事も出来ずに死んでいきます。
また、差別や偏見から充分な弔いも出来ずに行く悲惨な人達もいました。

グレース
グレース

ざっと読んだ感想を書いてきましたが、読んで下さった方々も目を覆うような内容だったのではないでしょうか?
それでも、とにかくこういうことがあったのだと知っておいてほしい。
まずはそこからです。

チェルノブイリ原子力発電所事故とは?

当時の事を知らない若い人たちに。
事故は大変な大規模なもので多くの人を苦しめ続けています。
被害を受けた人たちは今も苦しんでいます。

発生日1986年4月26日
発生場所ソビエト連邦(現在のウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所
規模国際原子力事象評価尺度 (INES) においてレベル7(最も深刻なレベル)
被災地域事故周辺のウクライナ、ベラルーシ、ロシアを含む広範囲な地域

チェルノブイリの祈りの原作とコミック情報

原作と日本語訳のスペック
タイトルチェルノブイリの祈り:未来の物語
原名ЧЕРНОБЫЛЬСКАЯ МОЛИТВА. ХРОНИКА БУДУЩЕГО
発行年1997年
日本の出版岩波書店(1998年)岩波文庫(2011年)
コミック化のスペック
タイトルチェルノブイリの祈り
原作スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ
漫画熊谷雄太
監修今中哲二・後藤一信
発行年2024年
出版社白泉社

はだしのゲン

日本も同じような辛い体験をしました。
この機会に是非お読みください。
タイトルはだしのゲン
作者中沢啓治
ジャンル戦争漫画、ドラマ
初出版1973年
舞台主に広島市
物語の時代第二次世界大戦中の日本、および広島市への原爆投下後
主なテーマ戦争、平和、被爆、生存、人間の善悪など
影響戦争の悲惨さをリアルに描いた漫画として広く知られる。
アニメ化や映画化もされ、社会的な議論の的となった。