吾妻鏡(中央文庫)竹宮恵子

吾妻鏡
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大河ドラマの原作

2022年の大河ドラマ、鎌倉時代を主題にしているのだけれど、この時代の本は意外と少ない。
歌舞伎や狂言のお題目では結構あるものの、史実の記録書と言えば、少なくなるというのが現実だろう。
私もこの時代の有名な歴史書やそのと類になると思いつくのは「吾妻鏡」くらいしかない。
あとはこの時代の人が詠んだ和歌などが残るくらいで有名どころを探せば、「平家物語」と言う事になるのであろうが、それではこの大河の時代とはわずかにリンクするものの「平家物語、その後」言った感じなのである。

じゃあ、その吾妻鏡を読もうとなった時にこれを完訳したものにはめったにお目にかからない。
ほとんどが専門書レベルになり、高額で入手困難である。
多分、図書館で見つけても持ち出し禁止である事が多いと思う。
こうなると、教科書で抜粋されたものくらいしかないのだが、実はこれもかの中央文庫の「マンガ日本の古典シリーズ」が網羅している。
本当にこのシリーズすごい。
私はこのシリーズは全巻初版で持っている事が自慢なのだが、本当に買っておいて良かった。
だから、これを読んでくださる皆さんにも是非お勧めしたいのです。

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美しく再現化された吾妻鏡

中央文庫、「マンガ日本の古典」14,15,16巻の三冊である。
この三冊は竹宮恵子先生によるものなので、絵がとても美しいのです。
また、三代目の将軍、「源実朝」は疱瘡を患って痘痕が残るのですが、これも16巻(下巻)の表紙に見事に描かれています。
実朝は和歌や文化を愛する文化人の代表だった人で将軍になどなりたくなかったのだろうなと言うのが随所に感じられます。
将軍として、外国に行きたくて船を造ってもその船で出港することはありませんでした。
彼は終始「お飾り」の将軍だったのです。

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意外や意外、百人一首の一人でもある実朝

彼が風流を極めた文化人であったことの一つに「百人一首」の一首に選ばれていると言う事があります。
「世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも」
この世は平安であってほしいとか、日常がいとおしいとか言う気持ちがこもっているように思います。
ただ、前述のように外国に行きたくて造った船を動かすことが出来なかったと言う事であったなら、この意味は少し違ってくるのかもしれません。

グレース
グレース

百人一首では「征夷大将軍、源実朝」ではなくて鎌倉右大臣となっています。宮廷の呼び名で表記されている事も皮肉な運命を物語っているかもしれません。

実朝はあっと言う間に早世してしまいます。
この後、鎌倉は荒れていき、「尼将軍」が立ち上がっていくのです。

さて、この続きは皆さんでお確かめください。

ワイド版も出ました。装丁が更に綺麗です。