ナイルパーチの女子会・柚木麻子

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感想を述べるにあたり、内容や結末に触れないとどうしようもないので、知りたくない方はお戻りください。
「知ってるよ!」とか「それでもいいよ!」という人だけどうぞお進みください。

ナイルパーチの女子会

柚木麻子さんの「ナイルパーチの女子会」は「同性の友達」がいなくて30代になった女性同士が友達になってその後に訪れる恐ろしい話の顛末です。
友達がいない人同士が「友達」になった。
ここまでは普通の話です。
でも、同性の友達がなくて過ごしてきた主人公は「距離感」が分かりません。
「友達」とは「こうあるべき」という主人公の考えとは…。
「自分の要求をすべて飲んでくれる人」の事でした。

面倒なので図式で解説します。

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鏡にうつった自分の姿に驚愕

主人公は相手の弱みに付け込んで自分の要求をすべて飲ませていました。
「否定する事は許さない」自分にとっての「イエスマン」を「親友」という名目で手に入れたのです。
相手は何も言いません。
間違っていても否定はしません。
もし逆らいでもしたら「あんたが浮気してたってバラすわよ!こっちには証拠だってあるんだから」という勢いです。

そして、主人公はある日、鏡に映る太って醜い姿に気が付きます。
ここまで酷い状態になっても「親友」は一言も言ってくれなかったのです。

主人公は証拠の写真を携帯(ドラマではスマホ)から消します。
そして、「親友」に別れを告げます。
やっと解放された「親友」でしたが、浮気をしていた事を旦那に告白。
今度は旦那から距離を取られます。

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実は私もこういう人に苦しまされた

この話にいたく感銘したのも、自分自身がこういう主人公に振り回された経験があるからです。
私は20年以上、こういう「友達でしょ?」と言えば何でも許されるタイプの人間に苦しめられてきました。
いわゆる毒友です。
この毒友もこの主人公と同じように「自分が悪い」とは一切思っていません。
「自分は正義」「誰からも好かれている」「みんな、何でもタダでやってくれる」というようなことを平気で口に出来る人間です。

私自身も友達が少ないタイプの人間です。
折角「友達」と思ってくれる人です。
この人を大事にしたいという気持ちがあったのも確かです。
でも、毒友は私のそういう気持ちを悪用するばかりです。
それも悪い事ではなくて彼女にとっては当然の権利なのです。
だから、無理難題は「お金」「社会的地位」「人脈」をすべて自由自在に使えると本気で思っていた事でした。
そして、そのいくつかは本当に実行されたのです。

『お金』は顕著でした。
最初に少額を立て替えさせて買い物をさせます。
「払うから」と言っておいて金額と商品を渡すと「今度何かするね!」と踏み倒されます。
「今度」がいつ来るかは知りませんが、毒友と付き合っている20年間「今度」は来たことがありません。
勿論、一度や二度の事ではありません。
金額はどんどん大きくなるし、果ては「毒友の親の面倒をみろ」とまで言ってきました。
他にも山ほどあるのですが、分かりやすいお金の部分ではこういうところでした。
毒友の言い分は「親友」だから面倒見てよという話なのです。
「面倒をみる」というのは毒友にとって「タダでやって」と言う事でした。

さすがにこの時には「この人はダメだ」という気持ちがありました。
でも、私は何も言いませんでした。
(ここがだめでしたね。今にして思うと)
やりすぎたと思った毒友は「これは夫が言い出した事だ。家族全員で決めた事だ」と言い訳をしてきました。
ですが、この時点で既に私の名前を出されてあちこちに迷惑をかけられていたので、私自身が謝罪行脚に回ったのです。
これにかかる費用も私が負担しました。
この時に中心になって動いてくれた人に「どうしてこんな人の為にここまでするのか?」とかなり詰問されました。
私は「この人は哀れな人だからです」と答えるしかありませんでした。

本当にそう思っていたし、今でもそう思っています。
但し、もうこれ以上迷惑をかけられたくないという思いもありました。
私には救いもありました。
には私に的確なアドバイスをしてくれる人がいたのです。

「話は聞くだけで良いのよ」
神様からの言葉かと思いました。
毒友から利用されるには私も自分自身の事をペラペラしゃべっていたのです。
毒友のように「人を利用する事が当たり前」と思っている人間に情報を与える事を私自身がしていたのです。

そこからも10年くらいになりますが、毒友には利用される事は少なくなりました。
それでも、「ゼロ」にはなりません。
今度は毒友の「一方的な愚痴の捌け口」にしてきたのです。
これが昼間であろうが夜中であろうが関係ありません。
電話が鳴り、そこから数時間、愚痴を聞かされ続けます。
私は何も言いません。
毒友にとって私は「親友」だそうです。
一方的に話をして、何も言わない事を良い事に電話を切れば良いのですから。
そりゃ、スッキリするでしょうね。
私は毒友を嫌いになるばかりでしたが…。
この時に恐怖を感じた感覚がこの「ナイルパーチの女子会」に通じるものかなと思っています。

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毒友も醜く太ってきました。

毒友は誰の忠告も受け入れる人ではありません。
ナイルパーチの女子会と全く同じです。
自分は正しい、自分は誰よりも成功している。
だから、私に対してもマウントしまくってくるのです。
人を見下している感がものすごくある人です。
但し、初対面やちょっと付き合っただけではこの人の本質は分かりません。
むしろ、最初は『良い人』に見えたし、尊敬できる人にも思いました。
でも、中身は全然違いました。
毒友がトラブルを起こすのも本人はトラブルとは思っていません。
自分が正義な訳ですから。
すべて、毒友以外の周りが悪いのです。
このマウント思考は私に対してだけではありませんでした。

「誰に対してもこういう態度なんだ」と思った瞬間、私も気持ちが晴れました。
毒友がこれ以降、私に関わってくるのは勝手。
私の事を「親友」というのも勝手。
だけれど、私は彼女には何もしない。
それで良いのだと思いました。

そして、毒友もブクブク太り、ダラシナイ人間になりました。

ここまできて「ナイルパーチの女子会」と同じと思いました。
いるんですよ。実際に。こんな人間が!

私が救われたのが私は友達が少ないけれど、的確なアドバイスをしてくれた人がいた事でした。
「話は聞くだけで良い」これに尽きるなと思います。

毒友と知り合って20年目くらいに明らかに私の態度がおかしい事に気が付いたんでしょうね。
毒友からは連絡がほとんどなくなりました。
(ほとんどというのは年賀状だけはあるのです)
「もう一度、お話がしたいです」と書かれていました。
お話なんてしていません。
この人の愚痴を一方的に聞かされていただけです。

今年に入って毒友からの電話がありました。
ここで4年ぶりくらいだったのですが、相変わらずと言った感じで弾丸のように自分の事だけを喋って終わりました。
何が「お話したいです」だったんでしょうね。
こういう人は変わらないんです。
反省なんかしないんです。
毒友からのアプローチは今後もあると思いますが、自分の事は話さないようにしていきたいと思います。

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ドラマ・ナイルパーチの女子会

2021年にひっそりBSでドラマになっていた「ナイルパーチの女子会」。
夜に観る「昼ドラ」みたいな感じで面白かったです。
ドラマでは主人公がブクブク太るシーンがありませんでした。
ですが、「友達がいない女同士の悲劇」が存分に楽しめます。
VODで観る事が出来るようなのでどうぞ。

話数  

放送日(2021年)

第1話 やっと出来た女友達 1月30日
  肉食魚ナイルパーチは誰…!? 狂った友情劇  
第2話 ストーカーになる!? 2月6日
  一方的な友情の行方…想像を絶する女子会  
第3話 異常者扱いしないで 2月13日
  謝るつもりが泥沼展開 壊してしまった関係  
第4話 止まらない誹謗中傷 2月20日
  ネット中毒女に忍び寄る恐怖…遂に豹変  
第5話 元友達の浮気現場に乱入…!? 2月27日
  歪んだ愛情! 壊れていく人間関係  
第6話 念願の2人温泉旅行 3月6日
  私の言うことを聞いて 壮絶な過去の真実…  
第7話 壮絶な潰しあい…いよいよ家庭崩壊へ 3月13日
  壊れていく女性たち  
最終話 涙の結末 3月20日

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