100分de名著 ちょっと裏話
Youtubeを観ていると、たまたま100分de名著の伊集院光さんの対談がありました。
(対談相手は千原ジュニアさん)
その対談の中で100分de名著の裏話が出てきました。
100分de名著は伊集院さんのスタンスとしては飽くまで「インプット」の為に引き受けた仕事だそうです。
「知らない事を知りたい」という事だったのです。
ただ、この100分de名著に出て来る題材の本は難解なものやそもそも日本で出版されていなかったり翻訳が既に絶版になっていたりと少し敷居の高いものが多いのです。
世界的には有名でも実は読んだことがない題材も多いのです。
NHKに来るレベルの先生たちはこの難解な本を研究している最前線の先生方なので伊集院さんがふと思った一般的な疑問や質問にも真摯に答えてくれるし、分からないと言う事がないそうなのです。
その中でも「さすが」と思ったエピソードを話してくださいました。
カフカの「変身」
この時の指南役の先生は京都大学の先生。
教える学生たちも京都大学の学生です。
その学生たちが疑問に思わない事を伊集院さんが質問したのです。
その質問は「虫って何ですか?」だったそうです。
「変身」は主人公が朝起きたら「虫」になっている事から物語が始まります。
ただ、この「虫」が何であるかは言明されていません。
ただし、原書のドイツ語で「虫」は害虫で「役に立たない」という暗喩もあると言うのです。
この質問は指南役の先生からしても自分が教えている学生からは出ない質問だったのです。
京都大学に行くくらいの学生であればそれは周知の事であったのですが、一般のドイツ語を知らない人からするとそこまでの意味は思いに至らないのです。
新翻訳へ…
この質問にむしろ感動された先生は「カフカ」の「変身」を自分自身でもう一度翻訳されたそうです。
そして「虫」と書かれてそれが一般的だったかつての日本語訳を見直し「虫けら」としたそうです。
「虫けら」と言う事で害虫である事や役に立たないと言う暗喩が日本語によみがえったような気がしました。
「学問ってすごくない?」と伊集院さんは語られます。
本当にその通りだと思いました。
何と長年の翻訳をこの番組で変えてしまったのです。
日本語訳では「虫」だったり「毒虫」だったりする事が多かったのです。
「虫」では何の虫かは分かりませんし、「毒虫」では言葉が強すぎます。
ここで「虫けら」という言葉を充てる事で「虫」になってしまった主人公の役に立たない虫になってしまった悲壮感が出て来ると感じました。
テキストと番組は違う理由は?
100分de名著のテキストと比べてみると面白いのですが、番組が始まる前にテキストを買って予習するのですが、内容がまるで違う事が散見するのです。
それは多分収録は100分どころではなくて、かなり長いスパンで収録され切り抜いた部分を番組で放送すると言う形式だからだと思います。
きっと現場では先生方は「喋りまくる!」と言った感じではないのでしょうか?
100分と言わず、収録した未公開の部分も全部観てみたいなと思ました。
私自身も細々と感想を書いてアップしていますが、毎回新たな発見と色んな考え方に触れ学問の素晴らしさに感銘を受けています。
私のつたない感想を読んでくださる皆様に感謝をしながら、また共有できる幸せを噛みしめながら今日は筆をおきたいと思います。
100分で収まっていないであろう100分de名著。
これからも視聴していきます。
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